学食にてランチ①
今日は日曜だが、学食は平日の昼ほどではないにしろ混雑していた。部活の昼休みの人たちが来ているようだ。席が空くのを待って並んでいる人はいなかったが、ほぼ満席のようで活気に溢れている。
学食の中を荒々しい息遣いで進んでいき、各列の席をキョロキョロと見回して桐野玲を探したが、見当たらなかったので、手に持っていた携帯で電話した。
「・・はいはい~♪ 着いたね~・・今ちょうど・・12時40分だね~。さすがに遅れないね~、でも、結菜にしては珍しいね、いつも必ず余裕を持たせてやってくるのに、今日はほんとに大変だったんだね。・・こっちだよ~・・。談話室の方だよ~。・・そうこっちこっち! ・・見えるでしょ? ここだよ~♪」
新地結菜は談話室の方を振り返った。桐野玲は見えなかったが、談話室の大きな窓に近づいていくと、カウンターに座ってソフトクリームを食べながらこちらを見て手を振っている桐野玲がいた。桐野玲の前には本が開いてある。本の大きさから『ハリーポッター』だとすぐに分かった。
“ああっ、そっちね・・”と少しくたびれた笑顔で口を開くとスタスタと歩いていきながら会話を続けた。
「・・いや~、何とか間に合ったけど、全力ダッシュだったよ・・。・・おかげで汗は余計にかくし、暑い暑い。でも変な力は抜けてちょっと心地良い感じになってきたけどね」
「全力ダッシュ? どこか寄ってきたんだっけ? ・・それでか、たしかにお風呂上がりのような熱っぽさを感じるね。顔が火照っているね」
二人ともとっくに携帯なしで会話できる距離に入っていたが、電話で話し続けた。声は電話を通さなくてもお互いに相手に聞こえていて会話は成り立っていたが、目を合わせながらニヤニヤと会話を続けた。




