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ケーキの予約②

 女子学生たちでごった返している店内は楽しげな音楽と声に溢れている。


 新地結菜は相当に緊張していた。みんなそれなりに楽しく、ケーキを注文しているのだろうが、こんな妙な緊張感を持ってケーキを注文しようとしているのはおそらくここには自分一人くらいだろうな・・と思った途端、せきを切ったように愚痴が溢れてきた。


 (・・まったく、なんでこんなことになってしまったんだか・・。・・ふ~っ、自分で自分の状況が笑えてくるな、あいつはさらさら覚えてなんていないだろうに・・無理と無駄が一番嫌いな自分がこんなに無理して、こんな無駄になるかもというか、それを超えて場合によってはドン引きされるかもしれないようなことを、こんなに非効率的にやっているなんて・・)


 新地結菜は下を向いて小さな声でブツブツと文句を言いながらとても惨めな気分になっていたが、店内は気温上昇を始めている外とは違いとても心地よい温度、湿度に保たれているようだ。


 その心地良さのおかげか、次第に愚痴は頭の中から消えて行った。体から余計な力が抜け、心もリラックスしてきて、いざ決心して並んでしまえば、思っていた程大変なことではなかったかもしれないという気がしてきた。


 周囲の盛況ぶりを見る余裕が出てきて、たくさんの女子学生たちの楽しそうな姿がより鮮明に視界に入ってくる。


 新地結菜は店は今日も大人気だな・・と嬉しくなり、自分もこの店が大好きになって、それをきっかけにこの大学に来たようなもんだったからな、とケーキを食べながらはしゃいでいる女子学生たちを何となく眺めていた。


 「・・いらっしゃいませー、お待たせいたしました、ご注文は?」


 気づくと注文は彼女の順番になっていた。この店の店員の対応はとても手際がよく、結構な人数が並んでいたのにもう順番が回ってきており、店員が笑顔で自分の反応を待っている。


 店内の様子にすっかり気を取られていた新地結菜はちょっと心の準備が遅くなってしまい、一瞬どぎまぎしてしまったが、目を閉じて深呼吸して気を取り直すと、ひととおりショーケースのケーキを眺めた。


 「・・それじゃあ・・あの・・、・・バースデーの予約をしたいんですが・・」


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