再びの葛藤①
冷蔵庫から調整豆乳を引っ張り出し、コップに急いで注ぎ入れ、一気に飲み干して“う~ん! 毎日のことだけどたまらないおいしさだな!”と空になったコップをまるで初めて飲んだおいしい飲み物かのように驚きの目でまじまじと見つめながらテンションを上げ、使ったコップに水を入れて流しに置き、早速着替えを出し始めた。
かなりの時間眠っていたため、体力は回復している感じはするものの、だるさが相当に出ている。頭はいつもよりかなりぼーっとしている。しかし、準備にはさほど時間はかからなかった。
家を出る直前に5分くらいで時短でメイクを済ませて、髪も整え、身だしなみをチェックし、ノートPCをトートバッグに入れて肩にかけると、玄関のチェーンを外し、鍵を開け、ドアノブを捻って外に飛び出した。
外に出た瞬間に手のひらで陽射しを遮って眩しそうに目を細めた後、部屋の窓に目を向けた。カーテンが閉じたままだ。
しかし、時間がないのでしょうがないと思い、閉められたままのカーテンをチラチラと気にしながらも部屋の鍵を閉めて足早に大学の方へと歩き始めた。
歩きながら携帯を見ると12時15分だった。微妙な時間だな、と新地結菜は思った。
家から学食までは歩いて5分くらいだが、その前に『プレリュード』に寄らなければならない。昼を過ぎているので店はおそらく相当な混雑のはずだ。今から行って並んで、12時40分に学食にたどり着けるだろうか。
(『プレリュード』までは2分くらい・・。『プレリュード』から学食までは5分くらいか・・。『プレリュード』で注文するのに10分・・万が一15分かかったとしたら到着は37分か・・何とか、何とかはなりそうだな・・)
そういつもよりぼーっとした頭を何とか回転させて、結論が出ると、急いで『プレリュード』に向かうことにした。
マンションを出て通りに出ると、あらためて天気が良いな、雲ひとつないな、と眩しそうに空を眺めた。