気づいたらもう正午過ぎ③
「あっ、もしもし~? まさみ~? ・・あの、申し訳ないんだけど、二度寝して今起きたんだ~・・。・・やっちゃったね・・。今からちょっと1つ野暮用を足してから学食に12時40分くらいに行って食べてから図書館に行くね。
そうだな~、1時の約束だったけど、10分~20分到着が遅れるかもしれない・・。きっとレポートをやる人で混んでくるから席を3人分取っておいてくれると助かるな~」
「えっ・・おおっ、何だか昼から驚いたな~・・玲ならわかるけど、今日は結菜がお昼までの寝坊? ふむ、そんなことが起こるんだね~。完璧、パーフェクツな新地さんにもこんな可愛らしいところがあったなんて・・。
ファンの人が聞いたらその隙の見せっぷりを逆に喜んじゃうんじゃないですか? ・・ふっ♪ ・・わかりました・・少し早めに行って混雑する前に3人分のレポートと格闘するスペースを取っておきますよ! そんじゃあ焦らずにゆっくり食事を取って来てくれたまえ!
こんなことは珍しいんだからゆっく~りでいいからね~! おっと! 今わたしはトーストを焼き、目玉焼きとベーコンをこんがりさせているところなんだった! それじゃあ後でね! じゃあねっ♪ ふふっ♪」
そう言うと広戸まさみは新地結菜の言葉は待たずにさっさと電話を切ってしまった。
「あっ・・くそっ、まさみめ・・人のたまの失敗を喜んでるな・・あたしに何の弁解もさせないようにさっさと電話を切るとは・・やっぱりくっそ可愛い舌っ足らずで喜んでからかってきたか・・。
・・う~っ、どんな顔をしてからかっていたか想像出来すぎるくらいにできてしまう・・しかしまったく憎めない・・あの可愛い喋り方のせいか・・。あの喋り方、真似てやりたいが、真似てもあの可愛さは真似できない・・。あたしがやると引かれるだけだ・・」
ほぼ予想通りの反応をしてみせた広戸まさみにブツブツ言いながら、一方的に切られた携帯を恨めしそうに眺めて通話終了ボタンをトンッ、とタップした。携帯をテーブルに置き、一息ついて伸びをすると、新地結菜は急いで身支度を始めた。