気づいたらもう3時過ぎ
女の子は、散々悩んできたがとうとう決意し、その勢いで残りの温くなってきていたホットミルクを一気に飲み干した。
椅子に座ったまま、空になったマグカップを片手に持ち、大きく両手を上げて伸びをすると、ここ数日の間、散々悩み続けてきた事が体からようやくすっと抜けていく気がして、気持ちが楽になり、悩みが解決に向かっているという心地よさを徐々に感じ始めてきた。
「・・さてと・・そう決まれば、明日お店に行ってこの件を片付けてしまうとするか。・・いい感じに・・眠くなってきた・・」
女の子は手で口を押さえながらあくびをし、椅子から立ち上がるとマグカップをたらいに入れ、ホットミルクを作るのに使った温度計を水で洗い、調理台の所定の位置に戻した。
それが済むと、ゆったりと伸びをしながら洗面台に向かって口をすすぎ、歯を磨いた。
テーブルに置いてあった携帯を手に取り時刻を確認するとすでに深夜3時を過ぎている。少し表情を曇らせたが、気分は悪くなく、そのままベッドに向かった。
「・・あれ・・? ・・これは・・。・・はぁ~、やっぱり飲み過ぎだ・・今日は大丈夫だと思ったのに・・。最後の一気飲みが余計に悪かったのかも・・あたしは一体何やってるんだ・・」
ベッドに向かい数歩、歩みを進めるとお腹から“ポチャ、ポチャ”と音がするのが自覚される。
女の子はたっぷんたっぷん言っているお腹を押さえながら嫌だ、嫌だとベッドに急いだ。
仰向けに倒れこむようにどさっとベッドに体を放り投げ、Tシャツがはだけて少し見えているお腹の方をじっと観察しながら体を揺するとやはり、“ポチャ、ポチャ”とホットミルクの波打つ音がする。
「・・今日も結局、お腹がたっぷんたっぷんになるまで深夜にホットミルクをついつい飲んでしまった・・。こんな無様なところをまさみに見られたら何と言ってくるか・・。ふっ、でも今日でそれも終わりだ。片がつくんだから。
・・あ~、お腹、いちいち動くたびにたっぷんたっぷんと鳴るなよ。ちょっとくすぐったいんだけど・・。・・ちょっと・・ほんとにちょっとだけだけど、何とも言えないような切なくなった時のような・・苦しさが・・」
女の子は“おっ! ・・おおっ!”と自分のお腹を両手で押さえながら揺すって“ポチャ、ポチャ”と音がするたびに目を丸くした。
そうしているうちに連日の夜中の格闘の疲れが出て、開けていた目も半開きとなった。その後も何度かお腹を揺すったが、程なくそれも自然にやめて、リモコンで居間の間接照明のスイッチを切ると、ウトウトと眠りについた。