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あの頃に戻れたなら  作者: 達也
4/8

あべま

記憶違いだった部分修正

生物専攻の男子3人→5人

 初日は始業式だったり、プリント配布による説明だったりと事務的なものが多く、特に授業といった物はない。午前中ずっとホームルームをしている感じだ。午後からは何もない。授業は翌週から始まり、基本的に最初の授業は簡単な説明と先生の自己紹介だけのようだ。

 ホームルーム中、担任の松原は適当な感じの人で時より私語が大きくなったときに

「うるさい」

と一言そっけなく言うだけで、小声ぐらいは無視して配布しているプリントの説明を淡々としていた。小声と言ってもクラス中が喋ればそれなりの大きさとなるのだが、松原先生的には特定できるほど騒がなければいいらしい。俺も前の席に座る奈川と雑談をしていたが特に注意はされなかった。後ろの西中はおそらく隣の女子と話している。おそらくというのは声の感じを聞いているからであって、別に顔など覚えていないし見る勇気もなかった。女子というだけで妙に壁を作ってしまいがちな俺にとっては、西中がなんだかうらやましく感じた。仲がよさそうだ。若干信田を巻き込んでいるような感じもして、奈川と話していても気になった。

 男子22人女子12人合計34人のA理組。一応このクラスの中でも生物専攻と物理専攻に分かれてはいるが大体男子物理・女子生物で分かれている感じ。自分を含めて5人の男子が生物専攻だが。クラスの女子が少ないのは文系に多く流れたからで、学年としては女子のほうがやや多い。

 クラスの席は出席番号順で、1列6人であり右から男子、女子が男子の後ろから連続して続いていると言った感じ。出席番号2番の石松は1列目前のほう。3列目の真ん中から出席番号15の奈川、俺、西中、信田の順で座る。石松とはさすがにホームルーム中に話をする距離ではない。信田の身長からかわいそうだったが一番後ろの席だ。そして4列目の先頭に八谷から残りの男子4人。ちょうど俺の隣までが男子で、西中の隣から女子が続く。

 ふと筆記するタイプのプリントが配られたので、奈川との雑談をやめてプリントに書き込みをはじめた。俺は不意に消しゴムを落とした。先ほどまで雑談に夢中で筆記具なんて適当に置いていたからだ。わざとではない。ここで隣の女子が拾ってもらえる展開になるようなことはない。隣は残念ながら男子だ。少し丸みを帯びた俺の消しゴムは軽く転がって、後ろに座る左に体をよじらせた西中の左足の元で止まった。俺の位置からは遠い。俺は席を立つのをめんどくさがって手を伸ばして取ろうとする。西中は完全に横を向いて隣の女子と話していたから気がついていなかったようだ。

「あ、あしもと」

不意に女子が会話を途切らせた。俺のせいで申し訳ない。西中が女子の言葉のおかげで俺の動きに気がついた。

「西岡どうしたの? あぁ消しゴムね。言えばいいじゃん」

笑いながら西中が話しかけてきた。うらやましいとは思ったが、別に邪魔をしたいという気持ちはなかったので、そんなこと言えるはずもない。「言いにくかった」と言うのもなんだか変だし、黙って頭を下げた。

「ほい」

西中が足元の消しゴムを拾い上げ、俺に渡してくれた。

「ありがとう」

俺は受け取るとまた前を向きなおそうとした。会話をとぎってごめんなさいといった気分だ。西中と話していた女子は笑っていた。

「ははっ。うちらが話していたから言いにくかったんでしょ! ごめんね西岡君だっけ? 私は阿部真由美 西岡とは同じ中学で1年のときも同じクラスだったの」

なるほど、それで仲がよかったのかと納得する。阿部真由美と自己紹介した子は、どちらかといえば可愛くはないという印象を受けた。髪の毛は長めでポニーテールのようにアップはしていないが後ろを束ねた髪型。顔は少し大きい卵型といった感じ。でも、気さくな感じだなと思った。

「西岡君さっき自己紹介してて西中と名前が似てて面白いなぁって思って聞いてたよ」

まくし立てるように話し出す。エンジンが掛かったときの饒舌モード石松は行動も暴走気味になるのでまた違った感じだ。でもこういった女子のほうが話しやすいから好きだ。1年のときも春香がこのような感じだったので、智子と話すきっかけになったと言っても過言ではない。

「これからよろしくね。あーうちのことはクラスにあべが2人いるから”あべま”って呼んで! こっちは安倍ゆりって言うんだけど、ややこしいから”あべゆ”で」

安倍ゆりといわれた人は気がついていないのか特に反応はなかった。あべゆって言いにくいなっと思いながらあべまのほうを見ていると、

「分かったよ阿部さん」

西中がわざとらしくあべまに言う。

「なんで西中はそういう風に言うの!」

あべまの声が少し大きかった。

「うるさい」

松原先生の限界を超えたのか、注意された。なんだか怒られ損だった。まぁ軽く先生は言うだけなのだが。


 帰りの時間、朝の6人組(俺、奈川、石松、西中、信田、八谷)が集まった。奈川から順に4人並んでいる席だ、集まる場所は自然とここになったらしい。

「西中たちは電車通学?」

この高校は駅から非常に近いため、軽く見積もっても全校生徒の大体8割くらいは電車で通学していた。俺は会話の流れで聞いてみる。案の定3人とも電車通学と返事をした。


 ーーーどうしても電車通学者が多く物語の都合上駅が多く出るかもしれないので、高校の近くの駅のことを”高校駅”と便宜上つけることにする。これから先も便宜上地名などを勝手に決めるが、実際には存在しないと思う名前なので気にしないで戴きたいーーー


 高校駅は地方としては大きめな2種類の路線のホームがある。ローカル線と主要線路(日本全国にある○○本線というもの)といった感じだ。ローカル線の方はディーゼルエンジンという電気を使わない古いタイプなので、正確には電車とは言わないらしいのだが、学生は基本的にどちらも電車と呼んでいた。高校駅から見て、ローカル線は北から南に走る線路。本線は北東から南西に向かって走る線路である。俺はどちらの線路を用いても家に帰ることができる。ややこしい話になるのだが、家に帰るための線路は高校がある南側の地点で東西に走っており、高校駅からでる2種類の線路と繫がっているからだ。地図上で見ると三角形になっている感じ。どちらを用いても帰れるとは言っても、ローカル線の方はディーゼルエンジンが古いタイプなので、スピードが出ないから基本的には使わなかった。単線と呼ばれる、線路が1本しかないのも理由らしい。駅と駅の間で離合ができないから、どうしても離合のために各駅で長時間停車するため遅いのだ。またローカル線には奈川がいるが2駅ですぐ降りてしまうので楽しくないというのも理由のひとつである。

 八谷は本線の北東方面、信田はローカル線の北方面。で1人ずつである。石松が本線の南西側でいつも俺と一緒。一緒の区間は俺が乗り換えるまでの3駅だけだが。奈川と西中がローカル線の南方向という感じ。6人とも見事にばらばらだが、高校駅までは一緒に行けると笑いあっていた。駅まではすぐなのでそんなに長い時間話すようなことはできない。駅の構造上、北と北西、そして南・南西に向かうホームで別れていたのでそれぞれ別々になった。

「石松、悪いけど今日はローカルのほうで帰るよ。俺どっちでも帰れるしさ、西中と話してみたい」

俺は石松に断わりを入れて、いつもとは違うローカル線で奈川、西中と一緒に帰ることにした。

説明ばかりになってしまって申し訳ないです・・・


線路とか地名とか分かりにくそうだから簡略地図を挿絵に入れたほうがいいかなぁっと思いましたが、文章だけでやりたいと思ったので、入れませんでした

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