閑話:彼女は一体どんな人?
目の前の友人の嬉々とした表情に、僕はどうしたものかと戸惑っていた。
「で、奥さんがいるってどーよ?」
「別にどうとも…」
「どんな感じなんだよ。俺にも紹介しろよ」
「どんな感じと言われても、よくわからないよ。……あ、そういえば」
「なんだなんだ?」
「部屋とか浴室とか、広いって言うんだよね」
僕の言葉に、友人は意味が分からないという不満たっぷりな表情をした。
「最初は嫌味かと思ったけど、本気で言ってるみたい。狭いかなって心配だったけど安心した」
「……そのエピソードから俺は何を汲み取ればいいんだ?」
「いい子だってことを言ったつもりなんだけど…」
「そんなの分かんないだろ。今は猫かぶってるだけかもしれないし」
「悪い人ではなさそうだけど、そういうものかな?」
「清純そうに見えて恐ろしい悪魔みたいな女かもしれないだろ? ユエンはそういうのあんま感知できなそうだから、気をつけろよ?」
「あー、うん。そうしておくよ」
それからしばらく彼と話して、彼とは別れた。僕が世間知らずなのか、彼の忠告はまるで小説の中の泥沼な人間関係にしか当てはまらないようにすら思えた。けれど用心しないよりはした方がいいだろう。彼女の行動に不審な点があれば疑うようにしなければ。
「あ…」
あれこれ考えているうちに、僕は一つ大事なことを思い出した。
「彼女が清純派じゃないこと言うの忘れてた」