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言い訳上手になりたいです

 思いのほか長風呂をしてしまって、少々のぼせ気味で部屋に戻ると、彼は窓際の椅子に腰かけて本を読んでいた。金髪綺麗だし、顔の造形とか女の子みたい…。王子様ってすごいなぁ。

「あがったの?」

 わたしが一人であれこれ考えている間に、彼はこちらに気づいたらしく、わたしを見て首を傾げていた。無表情でも可愛い! なにあの生き物は!

「そこにいたら寒くない? 湯冷めしちゃうよ」

 柔らかさを含む口調に、彼の優しさを感じた。少しだけど、彼と話して分かったことがある。彼はこれを伝えようと決めたことはかなり事務的なかっちりとした言い方をするけれど、普通の会話だと容姿にぴったりな優しげな喋り方をするようだ。

「大丈夫です! わたし身体が丈夫なんで!」

「そう?」

 不思議そうな顔をしながらも、彼は頷いてくれた。

「あ、そうだ」

 彼は思い出したようにわたしを見た。

「さっき叫んでたけど、何かあった?」

 ……まさか浴室の広さに思わず叫んでしまいましたなんて言えまい…。

「そ、そうですか? わたし何も叫んでませんよー」

「そう?」

「そうです! 断じて叫んでなど!」

「本当?」

 じっと見つめられて背中に嫌な汗をかいた。お風呂上がりだというのに…。

「本当です! 叫ぶわけないじゃないですか! いくら浴室の広さにびっくりしたからってー」

「ふぅん。そう」

 彼は可愛らしい微笑みを浮かべてそれだけ言うと、そのまま浴室に消えていった。

 なんだろうあの笑顔…。意味深な…。

「……って、あれじゃ叫びましたって言ったも同然じゃない!」

 アリシア・ローゼズ、人生最大の過ちを犯してしまった気がします。

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