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婚約破棄された地味で無能な令嬢、実は最強錬金術師でした。  作者: まつもと


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4 「エレノアの雫」と広がる噂

別邸に戻ってから数日後。

冒険者ギルドでの初販売がきっかけとなり、「エレノアの雫」の噂は王都の貴族街に急速に広がり始めた。

ギルド員が興奮気味に話した結果、貴族令嬢たちの耳にもすぐに届いた。

数日後、ギルド経由で連絡が入り、初めての客が別邸を訪れることになった。


最初にやって来たのは、伯爵令嬢のリリアナだった。

馬車から降りると、控えめなドレス姿の私を見て、少し驚いた表情を浮かべる。


「本当に……あなたがあのエレノア様なのですか?」


私は静かに頷き、別邸の応接室に通した。


リリアナはテーブルの上に置かれた瓶を手に取り、目を輝かせる。


「これが……噂の『エレノアの雫』。ギルドで、傷が一瞬で治ったと聞いて」


私はポーションを差し出す。


「試してみてください」


彼女は小さな針で指を軽く刺し、ポーションを塗った。

傷が瞬時に塞がり、赤みが消える。

さらに、肌が滑らかになり、わずかに輝きを増した。


「信じられない……!これ、美肌効果まであるの?」


リリアナの声が弾んだ。


「傷の回復が主ですが、軽い若返り効果もあります。

一回で数日持続します」


彼女は興奮を抑えきれず、すぐに数本を購入した。


「これ、絶対に広まるわ。私の友人たちにも教えてあげないと!」


その日から、次々と貴族令嬢が訪れるようになった。

侯爵令嬢のセシリアは、シミが消えたと涙ぐみながら追加注文。

子爵令嬢のエミリアは「これがあれば、舞踏会で自信が持てる」と笑顔で金貨を積んだ。


売上は初週で金貨数百枚を超え、勢いは増すばかりだった。

別邸の部屋は、次第に材料と瓶で埋まっていった。


一方で、噂は公爵家にも届いていた。


ミレイユは、鏡の前で化粧をしながら苛立っていた。

最近、カイル様の機嫌が悪くて、肌の調子を気にするようになった。

少しのシミやくすみも許せなくなり、焦りが募る。


「どうして……あんな地味な女のポーションが……」


彼女は小声で呟き、鏡を睨んだ。


ミレイユは実家時代、エレノアの研究室からこっそりポーションを持ち出していた。

それを薄めて高値で転売し、小遣いにしていた。

婚約破棄後は、カイルの浪費を扇動しながら、さらに薄めたものを売りさばいていた。


「私がもっと可愛いはずなのに……」


彼女の指が、鏡に触れたポーションの瓶を強く握る。


王都の貴族街では、「エレノアの雫」の噂が止まらなくなっていた。

令嬢たちの間で、

「クローヴィス家の元令嬢が作ってるらしいわ」

「婚約破棄されたのに、こんなにすごいなんて……」

という囁きが広がる。


私は別邸の窓辺で、新しいポーションを調合しながら、静かに息を吐いた。


これで、少しずつ形になってきた。


売上金で材料を買い足し、工房を少しずつ整える。

まだ道のりは長い。

でも、確実に、流れは変わり始めている。

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