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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

創作のそばにあるもの【エッセイ】

作者: かぐつち・マナぱ
掲載日:2026/03/06

創作の場にいると、ときどき「正しさ」と「やさしさ」の境目が、わからなくなることがあります。


これは、ある出来事をきっかけに考えたことを、少しぼかして書いたものです。


特定の誰かを責める意図はありません。


こうであるから、こうであれ、と押し付ける意図もありません。


ただ、創作のそばにある空気のようなものを、言葉にしてみたくなりました。m(__)m


あるとき、ひとつの作品をめぐって、少し考えさせられる出来事がありました。


ある作者様が、交流のあった若い書き手 様をモデルにした物語を書いておられました。


もちろん、ご本人様(若い書き手様)もそれを喜んでいて、周囲も温かく見守っていた作品でした。


けれどある日、周囲からこんな声が上がりました。


「もしかしたら、少し危ないかもしれない」


その若い書き手 様がまだ未成年であること。


名前が実名に近いのではないかということ。


もし誰かが問題だと感じたら、作者様が困ることになるかもしれない……。


そんな心配からでした。


もちろん、そこに悪意があったわけではありません。


むしろ「大丈夫かな」「何かあったら大変だよ」という、善意の気遣いだったのだと思います。


──ただ、創作というのは、ときどき不思議です。


たとえば、海で子どもたちが砂の城を作っているとき。


遠くから見ていた大人が、ふと、こう言うことがあるかも知れません。


「潮が満ちてきたら危ないかもしれないよ」


その言葉はきっと正しいのでしょう。


波が来れば、砂の城は崩れてしまうかもしれません。


大きな波が来れば、命の危険もあるかもしれません。


けれど、子どもたちにとっては、今、目の前にあるその城こそが、大切な世界だったりします。


守ろうとする言葉が、ときにその世界を終わらせてしまうこともある…。


その作品は最初、検索から外される形になり、やがて作者さんは悩んだ末に、作品そのものを消す決断をされました。


きっと、とても辛い作業だったと思います…。


なぜなら、①ご本人の了承済み(少し込み入っておりますので、詳細の説明は省かせていただきます)、②悪意なし、③楽しい企画で、④周囲も喜んでいた、そういう経緯があったからです。


なのに、「危ないかも知れないから、削除した方がいいよ」と言われた。


私も作品を書いている者の端くれとして、少し理不尽に感じてしまう部分があります。


もしかしたら、善意から始まったことが、「嫌な人間があつまって、自分をおとしめている」。


そんな感情さえ抱いてしまうかも知れません。


楽しく始まったものが、心配や配慮や、いろいろな思いの中で形を変えていく。


むろん、これはネットだけでなく、日常でも起こりうることです。


誰かが悪かったわけではなくて、みんな それぞれの立場で「守ろう」とした結果だったのでしょう。


特に、気軽に情報を発信し、閲覧できるネット環境では、「問題になるかどうか」は後から決まることが多いです。


ご本人様が問題ないと思っていても、周りから見ると問題になる可能性がある。


ここが、とてもズレやすいのだと、私は思うのです。


そして、この件で一番の大きな問題は、「誰が責任を取るか」です。


もし問題が起きて、通報や運営判断、ご親族様からの問い合わせ、などが起きたとき、責任を取るのは、「作品を書いた作者本人」になります。


私もついつい夢中で書いてしまうので、その意識がおろそかになることがあります。


そんな時に、周囲の方々から「これは気を付けた方がいいよ」と言っていただけると、本当にありがたいことだと思うのです。


ただ正直に言うならば、削除までは やりすぎだったのでは?と、その作品を楽しみにしていた、一読者は思うのです。


この『小説家になろう』の仕様では、作品の削除のほかに、①検索除外、②更新停止、③作中の名前変更(架空名)、④内容の変更、などをすることができます。


これはつまり、その作品は残すが、実在性を消すということになります。


ひとまず、このような形にできなかったものかと、そうも思うのです。


実を言うと私は、その交流のあった若い書き手様が、都合により退会されたことを知っています。


その方は「○年後、しっかり親族と話し合って、責任をとれるようになり、了承してもらえたら、戻ってきます」とおっしゃられてました。


周囲は「待っているよ」と、あたたかな声かけをしていました。


そんな架け橋でもある作品が、ひとつ消えてしまったことには、少し寂しい気持ちも残ります。


創作の世界は、人と人のあいだにあります。


だからこそ、自由に書ける喜びと同時に、誰かを思う気持ちや、慎重さも必要になるのでしょう。


そのバランスはとても難しくて、ときどき、こうして立ち止まって考える時間を与えてくれます。


この出来事も、きっとそんな時間のひとつだったのだと思います。 


正しさと、やさしさと、自由。


創作の世界では、それらが同じ場所に存在しています。


だからこそ、ときどき難しくなるのでしょう。


それでも、できることなら。


誰かの灯した小さな火が、周りの大切なものを焼いてしまうことがないような、


あまり寂しい形で消えてしまわない世界であればいいな、と私は想うのでした。


拙い言葉ばかりを並べたエッセイですが、お読み下さり、ありがとうございました。m(__)m

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― 新着の感想 ―
作品拝読し、考えさせられました。2度読み返して、しかしこの一連の事象について「危ないかも」と思うのもむべなるかな。と思います。 関わった全ての方に言いたいのは、今回の問題に対して「正解」や「不正解」…
 う~ん、やはり未成年との接触は軽率だったのか……。  とはいえあれだけ危うい存在を放置というのもまた微妙。コミュニティを築き守りたくもなるというものでしょう。  ですが今回の件はそれが裏目に出てしま…
 いろいろ考え方はあると思いますが。  未成年の作者が実名に近いと思われるハンドルネームで、危うさを感じるようなものを書いたなら、止めるのは大人の責任だと思います。  文章一つ、写真1枚。一度公開し…
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