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生きてる

 吹き飛ばされてからの記憶があまり無かった。

で、目を覚ますと病室の上に至ってわけ。薬やら魔剤やらの匂いが鼻につく。


「随分吹っ飛ばされたねー」


さっきいたのは学校の中だからここは保健室だろうな。それでこのダウナー気質のメガネをかけた女性は養護教諭か何かだろう。


「あ!そうそう。校長が君に話があるそうだから目覚め次第すぐさま「おいで」だってさ」

「絶対『おいで』なんて言ってない」

「まぁニュアンスは同じだし」


またまたあのハゲをお目にかかるとは思わなかった。それにこの部屋とも。


最初に会った頃とは違い怒りのオーラを感じる。そしてその感覚は合っており初っ端から話のギアをフルスロットルだ。


「お前は!……頭がおかしいんじゃないか?!」


俺はプチン、ときた。


「おかしいのはそっちだろうがよ!なんで俺の相部屋相手が女子なんだよ!普通男は男、女は女だろうが!」

「お前が!急に!来たからだろ?!入学式が終わって次の日に入ってくるやつなんぞ聞いたことがない!お前は厄介ごとを連れてくるモンスターだな!」

獣人(けものびと)もいるこの学校でモンスターを蔑むような言葉にしちゃいけないだろ」

「……それもそうだな」


なんだこのハゲ。情緒が不安定だな。


「とにかくだ。仲良くやりなさい」

「いきなり爆発魔法を使うようなやつが?」

「……」

「頼むよ。なんとか言ってくれよ」

「ドア代はいらない。頑張ってくれ」

「違う。その言葉は違う」

「空きがないんだ!どの部屋もな!」

「はぁ……」


俺は頭を抱えながら寮につく。

そして恐る恐る部屋を開くと彼女は下着姿ではなくちゃんと制服を着ていた。


「うわ」


彼女の汚らしいものを見ているかのような視線はあまりよろしくない。


「うわ、じゃねぇよ。お前頭だいぶイカれてるな。普通こんな狭い空間で爆発魔法使うやついないから」

「緊急避難」

「いやそれでも法的責任は基本的には問われるからな」

「チッ、なんで意外と賢いのよ」

「お前が馬鹿すぎるだけだ」


俺は空いている部屋がないか辺りを見渡す。

どうやら2LDKの作りになっており、玄関を進むとリビング。その間にキッチン。そして奥側には左に一部屋、右に一部屋。そして真ん中にトイレとお風呂がついていた。


「お前どっちの部屋使ってるんだよ」

「どっちも」

「片方にしろ」

「はぁ?床で寝れば良いじゃない」

「俺が寝てたら絶対踏んでいくだろ」

「それは……否定しないわ」

「はぁ……俺は右を使うからな」

「ま、待って!」


開けると汚部屋(おべや)が広がっていた。ベットの上にはお菓子やら下着やらが散乱している。おかしいな。入学式が昨日で1日しか経っていないはずだが。


「変態最低」

「最低なのはお前の整理技術だろ。変態的なのはこの部屋だし」

「片付けるから出ていって。何も盗まないで」

「盗んでも価値ねぇよ」


これはしばらくかかりそうな予感、いや運命を感じるので俺は散歩に出かけた。この学校のことをあまり知らないのもあるが少し気分転換が欲しかった。だって考えてみてくれ。慌ただしすぎないか?


寮から出ると近くにある公園に入ってみる。するとこの学校の全体図を示しているマップがでかでかと中央に看板として建てられていた。


「クラストファー魔法学校」。それがこの学校の名前だった。この学校は科学と魔法が発展した今の時代に合わせるように必ず生徒はどちらも履修しなければならない。学校によっては古典的な魔法学校も未だにあり、科学を真っ向から否定する。


マップから見るにこの学校は思っているよりも巨大だった。


まず玄関とも言える大きな鉄製の門、これを正門とするとそこからまっすぐ行くと本館、そして左右には時計塔が建っている。また本館の後ろには別館があり、そこから右に行くと寮棟が5つ建っている。さらにそこから右に行くとこの巨大な自然に囲まれた公園がある。で、別館の左側はと言うと体育館だったりプールだったり、レストラン街やらショッピングモールまでもがある。下手をしたら一国の大きさよりも遥かに大きいかもしれない。



ぼんやりと考え事をしていると不意に俺のスマホが揺れる。何かの通知が届いたようだ。

開いてみるとそこに表示されたのは新たな戦争を伝えるニュース速報だった。


「魚人とまた争いか……」


この世界は複雑で色んな種族が住んでる。だがその中でも優劣をつけたがるのが生き物なのか分からないが魔法を得意とするのは人間だった。

そしてそれを利用するように人間は獣の見た目をしている獣人を奴隷として扱ったり、魚人達を殺しては彼らの宝を奪うということもしていた。これは隠せない事実だった。


近年は落ち着いてきたと思っていたが場所によっては争いがまだある。魚人達とアンデットの争いは未だに住む場所を巡って争いは絶えない。汚染された水か新鮮な水か、どちらが大切かなんて俺は知らない。巨人と人間だって仲は良くない。この狭い世界じゃ縄張り争いは不可避だろうな。


俺は考え事をしていたこともありお腹がなった。

先ほど見たレストラン街とやらに行ってみよう。


明日から授業開始するんだ。お腹は膨れている方がいいに決まってる。



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