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21.賢者はSランクの認定をゲットする

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 特に「バージン魔王が~」は本作と関連が強い作品となります。

 ユーティ達一行と、イセスが呼び出していた古代白竜との模擬戦は、ユーティ達の勝利で幕を閉じていた。

 それまで聴衆に対して様々な事を語っていたものの、ユーティ達に対して話しかけるタイミングを掴みかねていたらしい所長が、話が途切れたタイミングで話しかけて来る。


「イセスさん、ユーティさん、お疲れさまでした。おかげさまで、帝国冒険者ギルドにはこれほどの戦力があると言うことを示す事ができましたよ」

「ふむ、まあ、容易い事じゃ。余の仕事はこれで終わりかの?」


 イセスの質問に、所長は指を一本立てて見せた。


「あと一つだけ、です。ユーティさん達はSランク認定という事でよろしいでしょうか?」

「無論じゃ。あの手並みから見ると、Sランクの必須条件である、ただのドラゴンなんぞ瞬殺じゃろうな」


 あっさりと肯定したイセスの発言を聞いた所長は、にこやかに笑いながら懐から書類を取り出し、イセスにサインを求める。


「では、ここにサインをお願いします。――はい、ありがとうございます」


 イセスのサインが記入された書類を受け取った所長は、ユーティ達の方に顔を向けた。


「これで、イセスさんからSランク相当の添え書きをいただきましたので、今日からSランク相当として依頼を確認できますよ」

「それは助かります。イセスさんも、ありがとうございました」


 礼を言われたイセスは、豊満な胸の下で腕を組んで胸を反らして返事する。


「なに、容易(たやす)い事じゃ。それにしても、こんなに面白いとは思わなんだぞ。ル・ジーヴに任せずに余自らが相手をすれば良かったわ」

「それはどうも」

「何なら、今から手加減抜きで二戦目を行っても……」


 挑発的に笑いながらユーティに提案するイセス。と、そこに後ろから止める声が掛かった。


『お嬢様、街を吹き飛ばすおつもりですか? おとなしくお昼に行きましょう。タルトのおいしいお店を予約してありますから』

「む~~~~~ タルトか……」


 目をつむり、考え込むイセス。長考の末、いかにも苦渋の決断と言った風情でユーティに断りを入れる。


「ユーティとやらよ! 済まぬが余をタルトが待っておるようじゃ! 再戦は後日の楽しみに取っておこう」

「は、はぁ」

「よし、征くぞシャノン! タルトが待っておる!」


 と、早速歩み去ろうとするイセスに、シャノンが後ろから声を掛けた。


「お嬢様。こちらでございます」

「そういう事は早く言うのじゃ!」


 別の方向に行きかけたイセスが凄い勢いで戻ってきて、シャノンが指さした方向に大股で進んでいく。

 そしてシャノンは、所長とユーティ達に向かって深々と礼をした後、イセスを追いかけて歩み去って行ったのだった。


 甲高い靴音と共に去って行ったイセス達を呆然と見送ったユーティだったが、ふと冒険者タグの事を思い出し、所長に質問してみることにした。


「そ、そういえば、冒険者タグはどうなります?」

「あ、はい。申し訳ないのですが、作成に時間が掛かるため、お渡しは明日に窓口で、と、なります」


 ユーティは明日朝まで滞在しなければならない事に、渋い顔をする。ただ、既に時間は昼前になっており、仮にこのまま出立したとしても、日が暮れる前に隣の町に辿り着く事は難しい事から、許容せざるを無い事を理解し、小さくため息をついた。


「ふむ……ま、仕方ありませんね。今日からSランク相当の依頼を確認できますか?」

「ええ、もちろんです」

「分かりました。それでは午後にでも伺わせて頂きます」


 ユーティ達一行は、後片付けがあるらしい所長と別れ、ひとまず昼食のために広場を離れていったのだった。



              ◇   ◇   ◇



 手近な食堂を訪れた一行は、個室に案内され、適当にパスタやサラダ、肉類に飲み物をオーダーする。


 料理がくるまでの間、まず最初に口を開いたのはユーティだった。


「さて。先程のイセスという女性について、どう見えただろうか?」

「うーん……美人さんでしたねぇ?」


 人差し指を唇に当て、少し考えながら答えたのは、ユーティの斜向かいに座ったティエンだった。


「ユーティさまは、あのくらいのプロポーションがお好きですかぁ?」

「「――――っ!」」


 ぽやぽやした口調で投げかけられた爆弾質問に、ユーティの横を陣取ったアマリエと、正面に座ったシャテルに緊張が走る。


「ん? いや、そのような視点で聞いたわけでは無いのだが……」

「どうなんですぅ?」

「プロポーションは気にしたことは無いかな。やはり判断するのは人柄だね」


 と、当たり障りの無い返事を返しておく。実のところ、胸は大きければ大きい方がいいという嗜好は持っているものの、流石に女の子三人に性癖を暴露する訳にもいかないユーティだった。


 そして考え込んでいたために、アマリエとシャテルの間に走った緊張と、そしてユーティの答えを聞いてそれが解けた事には気付いていなかった。


(で、あれば、うちにも機会はあるようじゃな! あのイセスとか言う女のようにデカければ良い、と言うのでは、他の二人に太刀打ちできんからのう)

(流石はユーティ様、普段の親交度が重要という事ですね。その場合、常日頃から御世話させて頂いている私が一歩リードという事になるでしょうか?)


 彼女達もまた、ユーティに注目していたため、自分以外に緊張感が走っている人がいた事に気付いていなかったのだった。

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