バアル、息子の成長を喜ぶ
サブタイトル「バアル、息子の成長を喜ぶ」
状況は既に一変した。
「ハァ~ッ!!!」
「!!!」
息子に継承した魔法が――――息子の考えにより、改良された原初の魔法となった。
「神魔法―――【滅留創成】!」
「うぉっ!?」
息子の魔法で辺り一帯が消滅し、そこから地形が元に戻る。
更に消滅した勢いの影響で俺も吹き飛んだ。
「まだまだッ!」
「(先読みのスキルが効かないッ?!)」
あの御方に最初に出会った時に言われていた事が起きてしまったようだ。
それが―――――今、この時のこの瞬間だ。
「二通りのパターンをスキルで認識していたが・・・どっちも囮だったとはな」
「――――父さんと同じように、この世界に転生してから俺も神様から特別なスキルを貰ったんだ」
息子が言うにはヴィレイシア様から受け取ったのは“自身の身に起こる全てを変える”といったスキル効果を持つ強力なスキルらしい。
「その名も――――【先制の後光】」
「全く、神々はセヴィス家を甘やかしすぎだろ・・・」
呆れて声も出ないが・・・息子の成長の事を思うと思わず笑みが零れる。
「さてと、俺を倒したからには――――もう判るな?」
「勿論。その為にここまで来たからね」
そう、俺を倒した直系の子は――――俺の後を継ぐ事になっている。
「父さん達が安心して向こうに行くまで暫くは俺がこの世界を治めるよ」
「そうか、頼もしいな。頼りにしているぞ」
そう安心していたが――――
「バアルさぁ~ん!」
「ん?」
アグネス様が突如、ダンジョンに入ってきたのだ。
「本っ当にごめんなさい!!!」
「えっ、えっ?どうしたんですか???」
創造神であるヴィレイシア様を落ち着かせて事情を聞くと――――なんと、俺が神界階層に行く為の特別ゲートがまだ開いていないそうだ。
「なっ、なので――――」
「あぁ~、だったらラピスと一緒に行くのはまだ先か・・・それならまだ時間に余裕があるな」
アグネス様への対応は既に慣れている。
「だったら父さん!」
「ふっ・・・、だなっ!」
それから暫くして――――
「おーい!全員集まったか?」
「揃ってるぞ!!!」
その場には既に養息子達に権限を渡しておいたギルドの面々と、商業ギルドの関係者の殆どだった。
「揃ったみたいだね。それじゃ、始めようか」
そして、みんなとの別れの時間が来た。
次回「バアル、妻と一緒に神界へ行く」です。
お楽しみ('ω')<we?




