500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢③
サブタイトル「500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢③」
「おっ、謝罪しに来たんだ?あの王太子」
いつも通り仕事をしていたらスフィアがあの後の報告を聞きに行っていた。
「えぇ、お礼として500年続いているあの老舗の和菓子店から取り寄せて頂いたモノを差し入れてくれました」
「老舗・・・あ~、あそこかぁ」
老舗の和菓子店である【ファルフス】と言うのがある。
俺は生粋の和菓子好きなのを彼女が聞いたらしく取り寄せてお礼としてスフィアに差し出したと言う事になる。
「お前も幾つか食ってみろよ、結構美味しいぞ」
「調査済みです。マスターが行く先々は常に下調べをするので」
行動力の凄さに度肝を抜かれたわ
「後ついでにマスターと行動して居る所為か店主さんにいつも『差し入れを持って行くように』と色々と・・・」
「養子達の分もあったのはそう言う事だったのか」
あそこの店主、頑張り過ぎて倒れないか心配だなぁ
「後で店主ご家族に銭湯連れて行こ」
「そう言えば・・・銭湯が人気過ぎて他にも風呂場を作って欲しいと言う依頼が来てますが」
あれ、いつの間に人気になったのね?
「うっし、んじゃ掘り当てに行くか」
「水脈と地脈とを調べておきました。幾つか候補あるので予算内で済ませて下さい」
そして今現在である。
・・・あれからもう500年かぁ~
「そう言えば・・・老舗の和菓子店、改装始まったんだって?」
「えぇ、十分硬貨が溜まりに溜まったらしいのでリニューアルするらしいです」
俺は仕事を終えて
「久しぶりに挨拶しに行くか」
「そう言えば仕事して銭湯に行っての繰り返しだけでしたね。私も仕事終えているので明日行きましょう」
それから数日後、俺は息子達と銭湯に来ていた。
「養父上、季節に見合ったこの香り付きのは中々ですね」
「俺の元の場所じゃあこれは温泉にしか見かけないからな。・・・あっ、そうだ老舗旅館作るか」
「義兄上、養父上、私の知り合いに建造に携わるドワーフが居るので声を掛けましょうか?」
男湯の方では四終帝の長男ハーフエルフのクリスと次男エルダードワーフのグッスと入っている。
「良いのか?グッス、その人に頼んでも」
「勿論ですとも。彼とは古くからの付き合いですからな凄腕なのは確かですぞ」
俺は全ての種族に色々と技術力を教えた事があり、その技術力の偏りが出て来ない程に立派なプロが出来上がっていた。
「良いではないですか?グッスの信頼の置けるドワーフであれば一週間以内に終わらせる事だって容易いと思いますよ」
「・・・それもそうだな(スフィア、例のグッスが信頼の置けるドワーフ建築士にコンタクト宜しく)」
「(畏まりました。事務所に来るよう連絡を入れておきますね)」
同じ銭湯に来ているスフィアに念話し終えた後は親子で上がり、身体を拭く。
「そうだ、お前等に良い事を教えてやるよ。老舗旅館はな・・・風呂に入りながらお酒を飲める場所も出来るぞ」
「「そうなんですか?!」」
場所に寄るが基本的に温泉の効能が失われるので駄目である。
だがいい加減、大人であればルールは守れる。
「普通の温泉宿とは違って老舗旅館は豪華さが違うんだよ」
「確か年季の違いですよね?」
グッスがそう言う。
「そーそー、後で立てる温泉宿は普通に温泉宿と言われていて改築してより豪華になった場所を老舗旅館なんて言われているんだ」
「確か、前に言っていた「日帰り」か「宿泊」の違いとかもそうですよね?」
クリスがそう言い、俺は頷く。
他にも色々あるだろうけど・・・・まぁこんなもんだ。
「取り敢えず老舗旅館にするには改築改装改善だな」
「こりゃ~仕事後の湯浴みが楽しみです!」
三人で笑いつつ手に持っている飲み物を飲み干す。
「お待たせいたしました」
風呂上がりのいつも通りの仕事着に着替えているスフィアが娘達二人を連れて来た。
「おう、お前等も何か飲んどけ。風呂上がりの一杯は格別だぞ」
後日、俺が銭湯に来た事によってまたその銭湯は瞬く間に大賑わいになったそうな。
次回「恋人登場」です。
お楽しみに~(ノシ ◠‿◠ )ノシバァン