旧ノーブル孤島の新たな町と新たな住民
サブタイトル「旧ノーブル孤島の新たな町と新たな住民」
流れ始めた映像は人型になり、立体となった。
元の世界で言う所の3Dホログラフィック映像とか言ったやつかな?
『―――――と。ふむ、映っとるかね?・・・さて、私は柏重蔵と言う。ニホンと言うこの世界とは別の世界から来た。ただの島国の人間である』
映像に流れていた男は映像から判っている通り、何度も苦しそうに咳をしていた。
「病気を持ったままでこの世界に来たのか」
「確かに、なんか辛そう」
男がしゃべっている時に俺と弟はそう言う。
『この映像が再び開かれた時、私はもうこの世には居ない。私はこの異世界の腐った人間共から逃げるように遺跡を造った。そして事前に神々にお願いしていた私は、己の扱う召還魔法で―――最初の使徒と悪魔の両方を召喚した。いずれこの世界では悪魔達を“魔族”と呼ぶ事になる。そして――――』
映像の中の男は深いため息をして続けて言う。
『我が真意に気付く者の為にこの映像と長年の夢を詰め込んで造り上げた魔導機生命体であるエルザをお前さんかお前さんの一族の最後の者に託す。決して我が機械技師の技術力と魔法を扱った戦争を一度たりとも起こしてはならない。絶対にだ』
「(確か、孤児院に居た10歳の時に・・・国の連中は結局、遺跡の在りかを探す前に魔物達から逃げて戻って来たんだっけか)」
俺や弟やエバーとエバーの家族が居なくなった後、何故か魔物達が住み着いたらしい。
一時期、来た時に島を乗っ取っていた魔物達を駆除するのに一苦労した記憶がある。
『念の為にそれらに関する設計図は既にエルザに遺した。原紙となるモノは既に焼き尽くしてこの世には無い』
「そう言えば、彼らに探して貰っているけど、未だに存在してないのはそう言う事なのか」
自分達の意図に気付いたかのような言葉を言われて思わず納得した。
『今を生きる者よ、これらを宜しく頼んだぞ』
その映像は終わって魔道具は使えなくなった。
使用したタイミングで使用後には使えなくするように造った代物のようだ。
「・・・エルザ」
「何でしょうか?」
俺は彼女にとある事を聞いてみた。
「君の前の主はどこで眠っている?」
「遺跡の最奥に居座ったまま眠りに着きました。私はスリープモードに移行する前にゴーレムを造り上げてそのままスリープモードに移行して今に至ります」
「確かに、苔が生えてあるなら周囲がただの石としてカビになる筈ですね」
案内して貰いながら最奥に進む。
その奥に居たのが――――
「お前達、墓作りの経験はあるか?」
「いえ、あまりは――――」
俺は何度も頷いて
「スコップを持ってこの遺跡の外の一か所に穴を掘ってくれ。君達は新鮮な大きい布を持っていたらそこの床に大きく広げてそこにある遺体を寝かせてくれ。俺らの家族を造り上げた始祖の人間を埋葬する」
「分かりました!今すぐに準備します!」
弟と俺はそのままその遺体に黙祷をし続けた。
調査員達を連れて一通りの事を済ませた後―――
「エルザ、コレから俺はある事を先に済ませて来る事になる。それまでは――――」
俺は彼女を墓の傍に座らせ
「ソイツが・・・もしくはソイツの末裔が来た時にそいつを代わりに主になってくれないか?」
「畏まりました」
俺の思いを感じたのか、彼女は反論をせず、その場に座り込んで目を閉じた。
「―――この自然は魔力で溢れている。お前達、暫くここは住民であっても俺と弟の一族以外の立ち入りを禁ずる事にする。口外しないようにな」
「「「「「はっ!」」」」」
そしてその島を出る前に―――調査員の一人に呼び止められた。
「バアル様、念の為にここを通さないように、遺跡やその周辺のみをバアル様の魔法で認識阻害と瞬間移動の両方を組み込んでみてはどうでしょうか?」
「ふむ、そうだな。俺か弟の血筋が来た時に解除されるように組み込んでみるか」
その調査員の案を取って実行に移した。
元々、俺の魔力は俺の子供かその血筋の者じゃない限り魔法事態の影響を受けやすく、魔力酔いになりやすい。
「そう言えば、昔―――俺の魔力を諸に中った所為で一時期意識がヤバかった王子が居たな」
「遠方に居た時に手紙に書いてあったアレ?」
弟のベイルが不在の時に起きてしまった珍事件だった。
まぁ、その王族に謝ったら直ぐに許してくれたけど
「兄さんは特にこの世界の支配者だから皆恐れてたんだよ」
「やっぱあの時からそうだったか!」
夕暮れを前に、急いで屋敷に戻って行った。
次回「眠る故人達への墓参り」です。
お楽しみ( *´艸`)<書き終えた~♪




