500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢②
サブタイトル「500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢②」
「こぉのぉ~!!!」
頭に血が上ったジャス王太子が真剣を使い襲い掛かって来るが―――緊急事態が起きた。
「ジョーカー様ァ!申し訳ありませんがクランの方々をお借りしてもよろしいでしょうか?!」
「うぉっ?!なんだなんだ?どうしたの?」
慌てて急いで来たその騎士が言うには同種で特異種の危険な魔物が出現したとの事だそうだ。
なんでもSランクの冒険者10人が束になっても勝てず軽傷程度で済み、守備の高い職のSランクの冒険者に任せて助けを呼びに来たらしい。
「まったく、空気を読まない魔物が居るもんだな・・・他のクランを呼び寄せて避難誘導と怪我した冒険者に手当を頼む」
「ハッ!因みに魔物は――――」
俺は彼の方を向き
「そんなに時間は掛けないさ。【法界の魔導明王】の名に懸けて討伐してやるよ」
「ハッ!お前達!各クランへ連絡を入れろ!手の余ってるヤツは避難誘導だ!」
ジョーカーがその場から出た後、ジャス・ファフス・ディアー王太子は冷静になり、騒然とするその場にぽつんと立っていた。
そこに国王グロウ・セッティア・ディアーが彼の下へ行き
「私が何故、あの御方に頭を下げているか分かるか?息子よ」
「・・・いいえ。全く以て分かりません」
ジャス王太子は自身の煌く紅い瞳に驚きの表情は出ていた。
「・・・初代国王が唯一恐れている御方でな、一度この世界はあの御方の怒りを買い滅びかけていたのだ。無論、各国の初代の王達の誠意のある謝罪を受け入れて世界の滅びは“無かった《・・・・》”事にして貰ってな」
「そう・・・なのですか!?父上」
ジャス王太子の問いにグロウ国王は黙って頷く。
「たとえ全種族が戦争をしかけようとすればその国はジョーカー様ただ一人によって滅ぶ事は避けられん。故に初代以降は全ての国・・・魔王国も含み平和協定並びに奴隷売買の制限規制が始まった」
「そ、それじゃあ私が思い留まって居なければ・・・」
王太子は唾を飲み込み、国王はまた黙って頷く。
「今はあの御方に生かされた事に感謝して・・・自分の今までの行いを改めなさい」
「・・・分かりましたッ。父上」
彼はそう言ってただただ俯き地面を見る。
そして間近で見ていた多くの御令嬢達もいつの間にかその場から去っていたのだった。
一方その頃の―――――
「ほれ、お前等下がれよ~」
「・・・!リーダー!あの人の指示に従いましょう!!」
「ライズ?!しかしッ!」
年上らしき厳つい体をした男が戸惑いつつ特異種の魔物からの襲撃を防いでいる。
「いいから!ここは離れましょう!!!」
「くっ・・・分かった!お前達!その場から離れろ!!!」
男の指示に従ってその場に居た他の冒険者達は一斉に離れる。
特異種の魔物は離れていく冒険者を襲い掛かるが――――
「グルゥアッ?!」
「君等個々の特異種が束になっても俺の作った防壁は簡単には壊れないさ」
既に俺が展開していた膜の極薄の壁を展開してバラバラになっていた冒険者達の安全を確保する。
「カモーン、特異種共」
「グルルルルゥオオオオォォォンッ!!!」
ゴブリンの特異種であるゴブリン帝王達が挑発に乗っかり一斉に俺に襲い掛かって来る。
「さぁ、ショータイムだ」
俺は瞬時に魔法陣を全属性分発動する。
「【時空加速】【音響楽団】【反射面鏡】【氷結時代】【大竜巻】【大地讃頌】【鉄塊流星】【無法大切弾】【赤華灼熱】【大海刀雨】【《雷醒撃】【暗黒伏魔】【裁断光】」
「?!」
俺から出てくる魔法が次々と容赦無くゴブリン帝王に襲撃する。
相手は逃げ場も無くただただ俺の魔法で一網打尽となる。
「ハイッ!終了!」
「おぉ~すげぇ」
冒険者の一人が俺に向かってそう言うと、他の冒険者までもが同じ事を言う。
そして城壁外に国王が遅れて出て来た。
「全く、精霊達の森を破壊しては困りますぞ」
「おっと失礼【超速再生】・・・これでどうよ?」
即座に発動した俺の魔法により消滅した大地と木々が奇麗に後形も無く復活する。
「これで精霊王に文句言われずに済みますな、ジョーカー様」
「だな、んじゃもう俺は帰るから褒章はそこに居る冒険者にやってくれよ~」
俺はそう言って手を振りながら自分の事務所兼自宅へ帰る事にした。
次回「500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢③」です。
お楽しみに~((/・ω・))/<ウェーイ