500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢①
サブタイトル「500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢①」
リティア・シュラス・ハーフェン公爵令嬢のご先祖である初代ハーフェン伯爵家のご令嬢、アルテミナ・ティル・ハーフェンに出会ったのは今から500年前の夏場にまで遡る。
「ん?俺に会いたい人が居る?」
「えぇ、マスターの“噂”を聞き付けて来たとか」
スフィアから聞いた俺は仕事を中断し、中に入れる様に促す。
その令嬢は何と言うか・・・少女漫画のメインヒロインのような女性のモデルになりそうな普通の女性だった。
「実は・・・私、とあるお方の妹分として関係を築きたいんですが・・・」
「ほうほう、それで?」
彼女が言うにはその御方は女性で“お姉様”と呼ぶに相応しい才色兼備な女性であると。
だがしかしその女性の婚約者が自分を好きになってしまい余計な行動が増えているらしく、困惑していると言う事らしい。
「ランディン学園に通うお姉様と同学年であるジャス王太子様なんです」
「ディアー王国の知り合いである国王の第一王子じゃ無いか、原因はわかるかい?」
彼女は頭を抱えて「小説では心当たりが満載でして・・・」と嘆いていた。
因みに彼女も俺と同じ転生者でかなり社会の進んだ近未来的な日本にて病気で亡くなってこの世界に転生したらしい。
「世の中のテンプレじゃあ悪役令嬢にもなるパターンってあるんですよ。私そっちになりたかったぁ~・・・・」
「そうかいそうかい。まっ、取り敢えず茶でも飲んで落ち着きな」
話を戻すが、要はその王太子に厳重注意をして欲しい事らしい。
「厳重注意だけで良いなら・・・後の事は俺に任せな。スフィア、ちょっくら行って来る」
「行ってらっしゃいませ、マスター」
ジャス王太子の父、グロウ国王陛下の下へ行く。
「お?ジョーカーの旦那じゃん」
「おや、ジョーカー様。今日は何用で?」
「飲み仲間に会いに来た。すぐに連絡入れて貰ってもいいかい?」
門番をしていた二人の騎士は俺の事情を察してか直ぐにその場で連絡を入れて門を開けた。
「連絡入れ終えたんでそのまま陛下の書斎にどうぞ」
「あんがとさん。後で秘書に値札の良いヤツ送っとくよ」
俺はそう言って門を潜り、城内に入る。
国王陛下の居る書斎にそのまま入り
「お待たせしました。今日は何用で来られたのですか?ジョーカー様」
「おう、お前んとこの王太子に関しての相談を持ち掛けられてな」
俺がそう言うと「またかぁ」とグロウ国王が愚痴を零す。
「息子が幼少の時からアリア嬢一筋だったんですがね・・・」
「何やら訳アリっぽいね?」
俺はアイテムボックスから出来立てのお菓子と温かい紅茶を取り出し、話を聞いた。
「アリア・クェン・シュナー公爵令嬢とは数年前から婚約契約を息子が結びましてな。」
「ほんほん、それで?」
国王が言うにはアルテミナお嬢はアリアお嬢をお姉様として親しむ為にジャス王太子のしつこい誘いを何度も断っているらしい。
「息子はどうやら精神の幼さの成長が不十分だったようだ・・・申し訳ないが」
「おう、聞いた話だと説得しても無意味みたいだな?んなら俺流で少し・・・イジってやるかぁ」
俺がそう言いニヤニヤしていると国王が
「手加減無しでお願いします。ジョーカー様の手腕でならあの子も反省して二度と迷惑はかけないでしょうし」
「王族としては面倒毎は避けたいもんな。よっしゃ任せろ」
書斎を出た俺は宰相の格好をした美青年に声を掛けた
「王太子に1分以内に訓練場に来るよう伝えてくれないかい?」
「か、畏まりましたッ!」
彼の瞳は琥珀色・・・あぁ、俺の魔力を感知したのか。
「さて、そろそろかね?」
暫くしてやっと王太子が重装備の格好やって来た。
「全く、女性との交流も忙しいというのに・・・・俺様の邪魔をした貴様にはそれ相応の報いを受けて貰うぞッ!」
聞いていた話以上にイヤイヤ期が続いてるなぁ~、しかも会場には他のご令嬢が居るし
「へーへー、よろしくね~坊ちゃん」
「き、きぃさぁまぁ~!!!今直ぐに処してやるッ!!」
俺のからの煽りを受けた王太子は実にキレ具合が浅いらしい。
愛用らしき宝剣を持って襲い掛かって来た。
次回「500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢②」です。
お楽しみに~(´-`).。oO(ナニシヨウカナ…?)