表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/115

よくあるテンプレの令嬢

サブタイトル「よくあるテンプレの令嬢」

「ん?例の?」

「えぇ、そのご令嬢様が今日、訪問しに来る予定です」


とある日の朝、いつものように商品の確認チェックの最終確認をしている最中にとある令嬢が来る旨の話を聞いた。


その令嬢は俺が助けたとある少女が立派な貴族となり俺と良好な関係を築けたのが切っ掛けでその子孫であるお嬢様が訪問にしに来た。


今回訪問に来るのは500年前にあたるその令嬢の遠い子孫にあたる女性だと秘書であるスフィアから聞いていた。


「そうか、あのご令嬢であれば今の商品を一新しないとな」

「マスター、既に記載されている商品がそのご令嬢の為に一新されたリストです」


うっそぉ?!気付かずにそのまま二重チェック点けちゃったよ?!


うーん、最近スフィアが上手(うわて)過ぎて俺の威厳が・・・


「んじゃ、従業員に成りすましてそのまま接客しちゃいますか」

「そう言うと思って既にこちらの袋に従業員用に用意しました」


相変わらず手早いね、ウン。


因みに従業員は幹部以下の者達には顔を偽装している為俺自身がお偉いさんだと言う事を知らない従業員は多い。


まっ、仕事の方に関してはしっかりと俺に伝えて動かしてくれているので問題無い。


「んじゃ、行って来る」

「不在の間、私が代理として動きますのでご安心を」


彼女(スフィア)自身は幼少期から俺がエルフの一族から預かって経済面を動かして貰っている為、冷淡にしかも冷静に行動している。


彼女の幼少期以降あまり笑顔や泣き顔は見てすらいない。


転移魔法でいつも通りの時間帯に裏手通りから表の方へ行く。


「おっ、ジークさん。おはよ~」

「おはようございます。なんか今日は賑やかですね?」


従業員の一人に言われた【ジーク】は俺の偽名である。


従業員の一人から一通り話を聞き


「なんでも、そのご令嬢さんは初代から会長と交流があったらしくてね。ここ等辺は俺等皆、幹部の方々から詳しい事を聞いてみんなで共有してるんだ」

「成程、因みにその御令嬢のお名前は分かります?」


勿論俺は知っている。


敢えて彼等に聞いて性格的に答えられるかが重要だから。


「リティア・シュラス・ハーフェン様だな。確か初代以上に商才があったりとかで有名でな。公爵令嬢らしいよ?」

「ハーフェン・・・聞いた事あります。去年辺りに前当主が侯爵になったって話ですよね?」


確か初代から先々代まで辺境伯か伯爵辺りだったな


「そうそう!因みに結構珍しい鉱石の採掘場を発見して国王に渡したらしくてな。リティア嬢がその時に現当主になったから確か公爵か太公になってた気がするんだよな」

「(惜しい・・・「公爵」なんだよなぁ~)」


そして別の従業員が「来た!」の一声でその場で動いていた従業員は俺の傍まで行って並ぶ。


そして公爵家の紋章が彫られている馬車が目の前に停まり、女性が降りて来た。


「お待ちしておりました、リティア様!公爵家である貴方様の為に新商品をご用意させていただきました!どうぞ!」


リーダー格の従業員のその一声で他の人達が一斉に動き各々新商品のポジションに二人ずつ配置された。


リティアお嬢が扇子を閉じ、美しい顔を魅せる。


「態々(わたくし)の為にご用意させて頂き有り難うございます。ビヨンド商会の皆様。今回は私のお知り合いがコチラの商会の商品の事を気になって居る様で。出来ればその方々のご令嬢の分も包みたいんですの。お願いできるかしら?」

「分かりました。それぞれそのご家庭に一点ずつとなりますと・・・合計で130万8千ルベスとなります」


リーダー格の従業員がそう言うと、リティアお嬢の傍に居たメイド長らしき女性が前に出て硬貨と貨幣を取り出した。


「こちらでよろしいでしょうか?」

「はいっ、丁度・・・ありがとうございました!」


他の従業員は一斉に箱詰めを始め


「新商品の入ってる一箱目完了!次!」

「同じく!二箱目完了!次!」


一斉に動き出した従業員は次々とその分の箱を手押し車の様な大きな台車に置き、セットが完了した。


「ジーク!代わりに君が残りの箱を持ってお屋敷に届けてくれ!」

「分かりました!」


馬車は動き始め、先に屋敷の方へ戻る。


俺は裏通りに行き、台車ごと転移魔法でとある屋敷に転移する。

そして―――リティアお嬢のお屋敷に入り


「――――で、だ。お嬢様、今回はどれぐらいの評価かな?」

「そうですね、80点と言った所でしょうか?」


実は、彼女のお屋敷とは古い付き合いがある為に俺の正体を知っている。

俺はあえて従業員の“テスト”をスフィアを通してお願いして貰っていたのだ。


「これでもまだ甘い方かぁ~」

「えぇ、お嬢様からすればもう少し厳しめにするでしょうから」


まっ、案の定だが低い点数を喰らう。

お嬢様のお隣にいた執事長がそうカバーする。


「まっ、それは良しとして・・・フォン、お願いね」

「畏まりました。各領主邸に運んでおきます」


美青年の凄腕執事長フォンにより各領主邸の御令嬢達に新商品全て一式行き渡った。

結果的にリピーター層が増えてその日以降もずっと忙しかったのは言うまでもない。

次回「500年前のとあるご家庭の前世持ち令嬢①」です。

お楽しみに~|'ω')<チラッ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ