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彼らの居なくなった元の世界①

サブタイトル「彼らの居なくなった元の世界①」

「なっ、クビ?!俺は社長だぞ?!この俺を!社長を解雇する事は出来ないだろ?!」


一人の男が幹部役員らに対して怒号していた。

とある県境の有名企業にして――――明智英司が会社をクビにされた後の出来事である。


彼の親が不審に思い、幹部役員の一人に話をしたらしく、その幹部役員は内密に調査をした時に社員らからの告発があった旨の報告を受けていた後だった。


「既に会長・・・あなたのご両親にはすでに社員の一人から報告をさせて貰いまして、本日付けで社長である貴方を会長の権限において解雇通告とさせて頂きます。荷物を纏めて出て行ってください」

「んなっ!?」

「義娘であるお前の嫁さんにも解雇宣言を済ませた。あとはお前が荷物を纏めて出ていくだけだぞ。出て行かないのなら・・・警察を呼ぶまでだ。信彦」


会長がそう言ったタイミングで役員がスマホを取り出し、警察署へ連絡を入れていた。


信彦と呼ばれたその社長―――御神信彦は実の父親であり、ミカミコーポレーション総合取締役会長の御神壮志郎からそう言われた。


だが、その男、御神信彦は粘る。


「ちょ、ちょっと待てよ!親父!俺や妻がやったって言う証拠はあるのかよ?!」

「あぁ、既に証言は取れている。お前が以前に『役立たず』と言ってクビにした部長職についていた明智君からだ。他の社員からもお前の圧力に耐え兼ねてその場で退職届を私に渡す程だ。流石に暮船君達が止めて事実確認をして貰ったがな」


話を聞いた御神信彦はその場で膝から崩れ落ちて絶望した。


「最もお前達夫婦が二人を平等に愛して社員達も平等に大切に接していればこうはならなかったんだがな。流石に明智君から正直に孫二人を今後の後継者候補二人を死なせたお前達に・・・用は無い!出て行け!」

「そ・・・そんな・・・・っ」


連絡を受けて駆け付けた警察官に御神信彦は連行されていった。


「皆、私の息子夫婦がこのような事をして本当に申し訳無い。今後は別の者を私の判断で社長の権限を渡す。それまでの間はいつも通りに仕事を行ってくれ。それと、出来る限り社員らのフォローも頼んだぞ」

「「「「「「「はいっ!」」」」」」」


数日後――――


「そうですか・・・わかりました。私の父と母は・・・どうなるんでしょうか?」

「孫達の事も含めて労っておく。君も落ち着きを取り戻したら・・・また我が社に復職してくれないか?」


彼、明智英司は頷き


「その時からまた・・・よろしくお願いします」


そう言って頭を下げた。

彼は続けて


「当時の卒業した学校やその学校の先生達や元校長先生も調べて貰えませんか?関係者の殆どがアイツに対して手助けしなかったので」

「そうか・・・わかった。君の頼みだ。私の残された次男坊達を使って調べておく事にするよ」


二人はそう話し終えてその場を後にした。


数日後―――彼がまだ自宅療養している間の警察署にて――――


「信彦、お前には失望したぞ。あれだけ父さんが『平等に接するように』と口酸っぱく言った筈なのに・・・なんでお前は朱美と一緒に偏った教育をしたんだ!」

「・・・・っ。史郎兄さん―――」


御神史郎と呼ばれているその男はその場で立って実の弟である信彦に告げる。


「もうお前とは夫婦揃って絶縁だ。叔父さん達も叔父さんとこの従弟達も達也達もお前達とは『縁を切る』と言っていた。じゃあな」

「そんなっ?!待ってくれよ!兄さんっ!兄さんっ!!」


一方で彼の妻、御神朱美(旧姓:坂元明美)も同様に数多くの罪状があり、言い逃れ出来ない状況まで来た。

唯一の肉親である妹の坂元美紅と面会をしていた。


「失望したよ、姉さん。あれだけ可愛い甥っ子達に酷い仕打ちをしたなんて」

「み、美紅、ち、違うのよ。アレは――――」


慌てる彼女に対して冷たい目線で見て―――


「最も、私が甥っ子達を無理矢理引き取っておけばよかったよ。もう、姉さん達の所為で私も仕事の立場が危うい所まで追い詰められたんだから。もうウチには一切関わらないで」

「そっ、そん・・・そんなっ!待って!美紅!お願いっ!もう一度私にチャンスを――――!」


冷たい扉から出て行ったその女性は実の姉を見限った。

残されたその女性は一人寂しく取り残されていった――――。


「今日から社員らの面倒を頼むよ。それまでは少し忙しくはなるが・・・君達なら出来るはずだ」

「はいっ!会長が育てたこの会社を支えて行ける様・・・懸命に努めて参ります!」


数日後の会社にて。

元凶である二人が会社から排除されて社内の空気は新しい社長と副社長を交えて新しくなり、その優秀な幹部の一人が社長になり、もう一人の幹部の一人が副社長がなった影響で社員達の仕事量も出来る人出来ない人を正確に分けて会社の仕事のし易さも変わっていった。


「明智君はまだ来れないのかね?」

「連絡は取れたみたいですが・・・前社長の件もあってまだ気分が優れないみたいです」


新社長は心配する気持ちになり


「分かった。また電話するタイミングがあったら『無理せずにもう少し有休を消化しなさい』と伝えておいてくれ」

「分かりました」


数日後、彼らのクラスメイトが同様の会社に勤めていたが――――


「そ、そん・・・な!?」

「社長直々の命令なんだ。悪いが荷物を纏めて出て行きなさい。」


“社長直々の命令”と聞かされたその社員は反論する意欲も余地も無く、ただ荷物を纏めて会社を去っていった。


「これで何人目かね?」

「10人目位だろ・・・社長と会長に顔を出そうぜ」


彼らは社長と会長である御神壮志郎に面会し、社員を増やす案を出した。


「ふむ、そうだな。分かった。君達にも面接官として手伝ってくれ」

「「「「分かりました」」」」


この後、明智英司が消えるまで、彼らの勤めるミカミコーポレーションは新社員が多く入社したお陰で営業職やその他の担当部署も業績が大きく伸びた。


一方で、御神天魔や明智英司が通っていたとされる高校や中学校などにも悪い意味での大きな変化が訪れたのであった。


次回「彼らの居なくなった元の世界②」です。

お楽しみに( `ー´)ヨッシャァ‼

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