裏切った者と裏切られた者の再会
サブタイトル「裏切った者と裏切られた者の再会」
「・・・・」
「・・・・」
「(ねっ、ねぇ叔父さん。何で応接間は空気が重たいの?!)」
「(わからん、取り敢えず・・・この場に居ると圧し潰されそうだから皆、別の場所に避難しよう)」
重たい空気が重力に撫でられる様に重く圧し掛かっていた。
理由は至って簡単。
そう、それはその前の場面まで戻る――――――
「へ~、そら大変だったね?ウチの商会長も結構苦労してたんだよねぇ~、この世界に生まれて千年間長生きしている間は」
「へ~、因みにその人のお名前は?」
元の世界から迷い人として今の世界に偶然通りかかったその男はそう聞く。
行商人はその人の名前を教える。
「そーだね~、名前はバアル・セヴィス様だよ。あの御方の転生前の名前は本人に聞いてみないとわからないんだけど――――」
「あの・・・バアルと言う名前、もしかして――――」
行商人からその名前を教えて貰ったその男は表情を変えた。
行商人に見られない様に。
「(ウソだろ・・・?まさか、本当にアイツが・・・?!本当なら・・・!)あの、その人の御屋敷に案内して戴けませんか?助けて貰った恩もありますし」
「そ~かい!確かに商会長は今日はお子さんと奥さんと一緒に過ごしているから案内してあげるよ!」
この時、彼の判断は間違いではなかった。
彼の行いは元の世界では悪かった。
一人の人間を犠牲にして。
だが、彼は気付いた。
そのような行いこそが自分への罰だと言う事を。
「ほい、到着!おーい旦那~!」
「おう、バアル様んとこのか。いつもより早いな?」
行商人が話をしている間にその男は荷台から降りて門番の元へ行き、一礼する。
「―――で、そこの彼は?」
「商会長にお客さんだよ。なんでも元の世界での知り合いらしくてね」
行商人の話を聞いた門番は彼を中に入れてくれた。
「旦那様を呼んでくれ。応接間に待たせる」
「分かりました。お客様、少々お待ちくださいませ」
「あっ、ハイ。お願いします」
傍に居たメイドから茶菓子とお茶を受け取り、待っている間に口に運ぶ。
すると、バアル・セヴィスがドアの前までやって来た。
『俺に用があるのは行商人じゃないの?』
『いえ、旦那様のお知り合いとしかその御方に聞いていないものでして』
応接間の扉が開き、二人は対面する。
「・・・?!」
「あっ・・・天魔」
彼は途端に表情を変えて
「俺以外は全員・・・席を外せ」
「は、はっ!」
バアルの傍に居た執事はメイドや執事達にその場を離れるよう指示を促す。
そして彼は無言で向かいのソファーに座る。
そして今現在に戻る。
「・・・・ハァ、・・・で、何でお前がここに居るんだ。明智」
「(くっ、空気が重苦しい・・・!)おっ、俺にも分からねぇんだ。仕事帰りに気づいたら森に居て」
“森に居た”と聞いた俺は異空間から地図を取り出し
「もしかして・・・ここから来たのか?」
「あっ、あぁ、そう。偶然にもバアル・・・さんの職場の人が通りかかって」
彼、明智英司から聞いた俺はその道―――行商ルートの森から出て来たのだと感づいた。
そう、その森は紛れも無い。冒険者さえも深手を負う“魔の森”と言う俺以外に攻略が難しいとされる森の端だからである。
「そうか・・・良く生きて出て来れたな。あそこは死者の墓場とか言われている難易度が鬼以上の森だぞ?」
「ファッ?!」
俺の話を聞いた明智は体を震わせる。
そんな男を見て俺は呆れる。
「わかった。取り敢えずお前の言いたい事は分かったよ。姉さんの件も片付いて一段落したばかりだからな」
「姉・・・さん?もしかして天芽さんもこの世界に?!」
俺は頷く。
そうだ・・・聞きたい事があったな
「俺が居ない間の俺の家族はどうだった?」
「あっ、あぁ。天芽さんもバアルも居なくなった後に後継者を失った事でおじさん達の会社は潰れかけたんだ。あの人達から脅されて生活を脅かされた人達からの告発も相まって数日後に新社長が誕生した話を聞いたけど」
その話を聞いた俺は長年の胸のつっかえが勝手に剥がれ落ちてスッキリした気分になった。
「そうか・・・他の連中は?」
「あぁ、先ずは――――」
俺と姉さんが居ない間のその世界はお父さんとお母さんは自分達の双方の親族からその件含むいくつかの話も上がったらしく、夫婦共に自分の実家や親族らしき人達から絶縁を言い渡され、借金まみれのまま返済を自力で充てる生活になったらしい。
俺や姉さんの件を聞いた親族の人達は本当の真実を知り、今更ながら後悔したらしい。
「お前を馬鹿にしていた連中もその親族の人達の圧力で消されたって言う噂もあって」
「・・・俺の件や姉さんの件の両方で目が覚めたのか」
明智が言うには毎日俺や姉さんの墓場に謝罪をしながら会社に出勤しているそうだ。
そのお陰か、その人達が変わった事が切っ掛けで会社も存続し続けたらしい。
会社をクビになったクラスメイトの殆どは家庭もあり、真実を聞いた妻子や夫子には逃げられて自殺までしている人が増えたそうだ。
「お前をカバーしなかった先生達もお前の親の親族の権力が効いて教育委員会が学校に強制調査を行って元校長含む複数以上の教員が市やお前の親の親族に合計で数千万以上の慰謝料を請求されて汚名を被ったらしい。大体そんな所だな」
「いや、やりすぎだろ、俺の血筋の親族・・・」
世の中、そんなに甘くはないと実感したのであった。
数日後―――――
「仲直り出来たの?!」
「えっ、えぇ。まぁ」
「ウン、一旦放してくれないかな?苦しいんだけど」
俺と明智の事を聞いた姉さんは感動のあまりに俺や明智にシメる程に抱き着いた。
「そう言えば・・・明智君のご両親は大丈夫だったの?」
「大丈夫・・・と言うか、バアルの事は元から知っているので特に被害は。後、バアルの事を気にかけて手助けしてくれた人たちも何人か居た様で、その人達には結構感謝してましたよ」
俺の知らない裏で俺を助けようとしてくれた人が居たのか・・・・
でも俺が死ぬまで俺の親の所為で表経てが出来なかったと言う事か
その日、真実を知り尽くした俺は明智に大体のサポートをするように、とある仕事を任せたのであった。
次回「彼らの居なくなった元の世界①」です。
お楽しみに(*^-^*)♪




