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弟子勇者と親友と言うお似合いカップル

サブタイトル「弟子勇者と親友と言うお似合いカップル」

「師匠」

「・・・あぁ、ヤツは紛れも無い、“初代魔王”だ。千年も前に倒してお前の先祖と“封印”したはずの・・・」

「・・・・・・」


魔物の核(ダンジョン・コア)の前に倒れ込む様に地面に座っていた。


だが・・・なにか様子がおかしかった。


「ねぇ、バアル。確か魔王って復活すると共に力と魔力が元に戻るんだよね?」

「あっ、あぁ。俺と勇者(あいぼう)が後世にずっと書物を通して正しく伝えたんだが・・・」


エバーが気付いた。

そう、目の前に居る魔王は、全盛期とは違って魔力が(カラ)になっている。

そして、力も――――


「・・・我が子孫は我とは違って国を豊かにしているのか?」

「あぁ、お前が封印されている間に俺に対して謙虚になっているよ。お前の息子が亡くなる前に世代にずっと正しい歴史を伝えたらしいからな」


魔王は周囲の魔素を吸収し、強くなる事が出来る。


だが、今の魔王は吸収しているどころかすぐにヤツの体内の魔力が体の外に霧散していった。


「・・・魔力欠乏による後遺症か」

「えっ、師匠、それって魔力を溜め込めれる器が無いって事ですか・・・?!」

「ううん、オスカー君。正しくは器の“形がいびつ”だから残りの魔力もヤツが息を整えるだけですぐに魔素が出て行ってしまうの。魔力に変換出来ずにね」


獣人以外がなってしまう病気の一つの後遺症により、本来魔力を溜め込む為の器の形は皆、それぞれ違っている。


当時の魔王は史上最凶であった為、器の大きさは想像するより凄いとされている。


「我が魔力を溜め込む事が出来ないのは・・・空の状態で嘗ての我が配下に残りの魔力をやったからだ」

「そう言えば・・・魔族は魔力を補充しないと器が錆びついて歪になるってのを昔、聞いたな」

「そう言えばその話、私もお父さんから聞いた」


初代魔王が信頼している配下と言えば宰相が居る。

宰相ディムは魔族の中でも知性があり、相手を貶す事無く紳士で真摯に対応をする男の魔族。


「俺が倒した(・・・)と思ってたディムか・・・それより、今のお前さんを知って討伐をしに来る連中が現れる。暫くはこの国の王様に匿って貰いな」

「・・・!貴様、我に魔力を―――」


俺やベイルやエバーなんかは創造神たる女神の使者で魔神や天神の使者でもある為、魔族や天使達への魔力譲渡は出来る。


「――――ふっ、我を倒した英雄が今度は私を救うとは・・・矛盾するものだな」

「さてと、行くか。二人共」


俺は魔王を肩に担ぎ、ダンジョンを他の二人と共に後にした。


数時間後――――


「バアル様の応急処置のお陰でこの御方は少しずつ魔力を自己回復出来るかと」

「そうか、良かった」


上位の種族から下位までの種族に渉る魔族や天使達は天神や魔神と同じ血統である一族から魔力を受け取ると魔力の器がその分自動的に回復し、自動的に修繕する仕組みになっている。


「お前達に見て貰った通り、この元魔王は戦う意思が無い。暫くは現魔王の所に返らせるとその内に内部戦争を起こす可能性がある。ディゼルバル、暫くの間この国に匿ってやれるか?」

「問題御座いません。代わりにこの者にも出来る仕事を今日決めて就かせる事にします」


ダンジョンのリポップ問題もこれで解決した。


数日後、屋敷に戻った後の手紙ではやはり、初代魔王がダンジョン・コアを吸収していた所為でリポップする魔物の数が結構減って行ったと言う事が分かったらしい。

今では問題なく去年と同様に変わらず稼働出来てるらしい。


「しかしまぁ、その元宰相も元魔王も復活となると世界中が大混乱するよねぇ」

「現魔王たちには伝えたんですか?義兄様」

「あぁ、包み隠さずにな」


魔王国内でも多少の混乱はあったが、無害となると国民や王族が全員安堵しているらしい事を魔王国内先でオスカーとエバーがデートしている間に連絡をくれた。


「しっかしまぁ~兄さんの弟子の勇者とエバーが付き合うとはね~」

「今じゃ国中が大歓喜だと」


一方で――――


「ねっ、オスカー君。どう?似合う?」

「似合うよ、エバーさん。店主!これとお揃いのを頼む!」

「あいよっ!」


予定を済ませていた二人は正式にカップルとして付き合う事になり、こうして色々な国へデートをしに色々と動き回っていた。


「おっ、この縫い包み・・・女将、もしかして転生者からこれの取引とかやってたりは?」

「やってるよ~、因みにその子の裁縫教室なんてのもやってるから気になるなら行ってみな!」


雑貨屋の女将さんに言われた通りの教室を見つけて、二人で通う事になったそうな。


「ん?裁縫教室?・・・あ~、多分俺の姉貴のだ」

「元居た所の?」


ラピスに聞かれた俺は頷く。


「役員の一人が保護してな~、元居た所じゃ俺、恵まれて無かったから警戒してたんだけど俺に出会った途端にガチ泣きして抱き着いて来てね~」

「へ~、この世界に来た理由とか聞いたの?」


一方で――――――


「ヴィアさん、そろそろ休憩に入ろうか」

「分かりました。先輩」


元魔王はヴィアと言う名前に偽装し、暫くは娯楽の国で働いていた。


「すいません、景品と交換したいんですが・・・」

「分かりました、こちらの方で確認するので暫くお待ちください」


ヴィアは生真面目な働き方でコツコツと頑張ったお陰で周囲の人達から好印象を持たれた。


「休憩入りまーす!」

「ヴィアさん、裏手の喫煙所でタバコ吸おうか」


今の彼は眼が輝いていた。

次回「今の時代に馴染む魔王と娯楽都市に来たバアルの転生前の姉」です。

お楽しみに~\(^o^)/イェ~イ

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