星の民と少女と奏歌の師
サブタイトル「星の民と少女と奏歌の師」
音楽祭から一週間後、溜まりに溜まって居る筈であろう書類は弟と二人で処理を終えた。
「ん?女神賞受賞者の子が?」
「えぇ、商業ギルドで働きたいそうで」
部下の一人がそう言って面接用紙を持ってきた。
その面接用紙を受け取り、確認をする。
「・・・へぇ~、親戚に商業に携わってる人が居る・・・なぁ、アミューの親戚ってもしかして」
「バアル様が請け負っているビヨンド商会の店長さんですね」
そう言えば前任の店長、他の国の商業の業績が悪化した話を聞いて出向いて行ったから新店長雇ったんだっけ?
「名前は確かガムレット・メルム店長です。実兄が不祥事を起こして結局平民として追放されたらしい話を聞きまして」
「は~、マジか。分かった。面接官として俺、同席していいか?」
そしてその日は面接を始め――――
「と言う訳で新人として私の姪を雇って貰った。皆にはうちの姪を対等に扱ってくれると有難い」
愛想や家庭事情は除き、意欲はハッキリとしていて採用を決めた。
「えっ、私の演奏を聞きにいらしてたんですか?!」
「そ~なのよ~、ウチの子あなたの演奏を気に入ってね~・・・あっ、店長さ~ん!」
彼女の知名度もそこそこ良いらしい。
「ん?小説家の出版本を売って欲しい?」
「えぇ、商業ギルド太鼓判の出版社ガーデンが幾つか有名小説家の本を売って欲しいと」
そうだな・・・
「ポップを考えるか・・・」
「ポップ?って何ですか?」
分からない事を聞いて来た部下を含めて店長や幹部らを一度招集した。
見本となる物を書いて皆に見せる。
「―――とまぁ~こんな感じに書物の雰囲気を実際に自分達が見て妄想して「~~~で、~~~な」みたいな感じに思った事を正直に書いてその本の所にガードを置いておくんだ」
そうしたら気になる客層は思わず手に取って見てしまう。
そして気に入ったらすぐに購入すると言う寸法になる事を言う。
「成程・・・よし、私は他の子やバイト達とやってみます」
「我々もイチ社員として考えてみるか」
「だったら今すぐ始めよう!」
その場に居るメンバー全員が意気揚々と立ち上がって早速行動を移した。
数日後――――
「って事で、娘が買ったマンガっての?アレ気に入ったらしいよ」
「お、早速?ウチの息子は小説を気に入って買いに来ていたのを部下から聞いたよ」
弟から話を聞き、商売はまぁまぁ上がったりと感じた。
だが――――
「は!?新発売の書物のほぼ半数が売れた?!」
「はい!書店の方でも協力していますがかなり売れ筋が良すぎまして!学園の生徒らの間にも人気らしいです!」
まさかの人気ぶりに驚いた。
「――――凄いですね、バアル様」
「おう、そうだな」
店員に昇格したアミューが休憩に入ってきたようだ。
「そうだ・・・エバーの事について色々と聞いて良いか?」
「あっ、ハイ。良いですよ」
エバーと出会ったのが今から数年前らしい。
「初めて楽器とやらに触って初めて演奏したら大層気に入られまして」
「エバーは変わったヤツだからなぁ~」
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数年前―――――
「~~~♪」
「良い音色を奏でてるわね」
流浪をしていたエバーは興味を持った音程を持つ人の元へ必ず現れる。
「どちら様ですか?」
「私?私は――――」
それが彼女たちの初めての出会いだったそうだ。
初めて出会ってから暫くして――――
「やっぱり師匠の音色は素敵です!」
「ふふっ、そう?それなら貴方にこの楽器をあげるわね」
そう言ってエバーは彼女に不思議な形をしている縦笛の楽器を受け取った。
「師匠、これは?」
「私のね、古い友人が作ってくれた楽器なの。元となっている楽器の失敗作なんだけど・・・私が吹いた時、奇麗な音色だったでしょ?」
笛の形はどれも均一だったりそうでなかったりする。
エバーは村長の息子であるバアルにお願いしたらしい。
その時はまだ魔力が安定しきれていなかったが故に出来た笛だと言う。
「・・・そうだ、近々その友人が音楽祭を開くってのを伝手で聞いたの。あなたはそれに参加しなさい。私が認めたあなたの実力なら納得のいく結果になるわ」
「分かりました!師匠の意思を継いで頑張っていきます!」
エバーはうんうんと何度も頷き
「彼らは必ず来る。その時は・・・必ず成功させなさい。別に失敗しても構わないさ」
「彼らは器量の良い同族だから」と彼女はそう言ってアミューに見送られながら旅を再開して行った。
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話を終えて、また仕事に戻っていった。
暫くして数日後
「エバーが帰って来た?!」
「そうなんだよ!兄さん!」
弟から情報を得た俺は早速二人で指定されている待ち合わせ場所に行く事にした。
次回「友の再会」です。
お楽しみに~(^^♪お菓子ウマウマ




