結果発表と兄弟の懐かしき曲の再会
サブタイトル「結果発表と兄弟の懐かしき曲の再会」
演奏が終わり100番目の順番の最後に出て来た貴族の少年の歌で一通り終わった。
司会者が会場の真ん中まで来て進行を進める。
『えー、只今より審査員の皆様の採点を行います。つきましては採点が終わるまでの間は小休憩と致します』
司会者がその場を捌ける。
ここで席側の人達も背伸びをしたり、水分を取ったり、トイレ休憩などの行動を取っている。
「――――さてと、俺は採点終えたから少しトイレ休憩してくる。ベイルは?」
「俺はまだ採点中だから兄さん先に行きなよ」
「それじゃ、ボクも採点を終えたからトイレに行くよ」
トイレ休憩を終えて、さっさと審査席に戻る。
「バアル様」
「あぁ、集計は終わった。人の出戻りを確認してから始めてくれ」
司会者が頷いてその場から下がり周囲を見渡し、客席の人が全員戻って来たのを確認して――――
『皆様、大変お待たせ致しました。審査員の方々による審査結果が終わりましたので早速結果発表に移りたいと思います』
手に持った集計表を確認しながら順位を次々と発表する。
『今年度、栄えある優秀賞は――――エントリーナンバー「79番」、アナスタシア公爵令嬢様による【エネ・トゥ・ゼラ交響曲】による演奏です!皆様、盛大な拍手を!』
【エネ・トゥ・ゼラ交響曲】とは、この異世界の貴族の喜劇から悲劇による日常物語を音楽のみで表現したちょっとした皮肉交じりの演奏項目の曲にあたる。
この曲に共感した多くの貴族は似た事が起きた相手に対し、皮肉を込めて「エネトゥゼラの様に滑稽だ」と例えて言う事がある。
優秀賞の決定に多くの客が「だと思った!」とか「そうきたか!」と笑いながらそう言う人も多く居た。
『続きまして・・・今回特別に優秀賞とは別で【女神賞】がございます!エントリーナンバー99番!アミュー様による――――』
「司会者、【星の民】と言う曲だ」
司会者が咳払いをして
『あぁとそうでした!【星の民】です!皆様盛大な拍手を!!!』
俺が壇上に上がり、女神賞用の星の色どりのあるペンダントをその女性に差し出す。
司会者からマイクを貰い
『初めて名前を聞く人もいるだろうからこの場で教えよう。昔、まだ私と弟が小さかった頃に親友の一族が演奏と歌で披露したのが【星の民】と言う曲だ。この曲は・・・もうずいぶんと昔に起きた戦争によって親友の一族は親友が遠出をして留守にしている間に起きてな。もう二度と聴けない貴重な曲となっている。それをこの場で聞いた君達は実に幸運だ。おめでとう。そして―――』
演奏してくれた平民のその女性に向けて
『懐かしい曲を聴かせてくれてありがとう。この女神賞は特別賞の一つで・・・私たち兄弟の心を掴み取った者一名もしくは一組のみに与える賞になっている』
「ボク初めて聴いたんだよねぇ~それほどすごい曲なの?」
「あぁ、二度と聴けない幻の曲ともなっているからね。悲劇が起きなければ国外へ演奏や歌唱なども長の息子である俺や兄さんが許可を降ろしているだろうからね」
そして、一通りのプログラムは終わり、それぞれが帰宅を始めた。
「とーさーん!」
「おう、みんなも疲れてないか?大丈夫か?」
「大丈夫よ。それより・・・」
なんと、その曲を聞いた事があると言う元部下が居るのをラピスが言った。
「本当か?!」
「えぇ、確か、アナタと同じあの島の出身者だったて言う女性から聞いたみたいなの」
「義姉さんの話が本当であれば・・・吟遊詩人として流浪しているかもしれないな・・・」
俺はその事を聞き、何故か少し安堵した。
「――――あの!」
「君は・・・さっきの」
女神賞を受賞した平民のアミューと名乗る女性が来た。
「もしかして・・・お師匠様の事をご存知でしょうか?」
「・・・やっぱり、君が彼女の弟子か」
作曲したその女性の名は【エバー・テムズ】、テムズ一族の生き残りで音楽が取り柄で音楽が生き甲斐で音楽が好きな人である。
「君に色々と教えた後は旅に出たのかい?」
「えぇ、お師匠様から伝言で『音楽祭に必ず彼らが来る。必ず成功させなさい』と」
全く、俺らが生きている事を見知っているかのような発言だな
「そうか、ありがとう。また彼女に再会したら『ありがとう』と伝えてくれるか?」
「分かりました!そのようにします!」
彼女は俺や弟に一礼してその場を去る。
俺達も行こうとするが―――
「少しよろしいでしょうか?!」
優秀賞を取ったアナスタシア嬢がその場で息を切らして立っていた。
「エルシー・アナスタシアです、是非ともお二方にアドバイスを貰いたく!」
「ほう・・・良いよ。今日はそのまま帰るけど、来週に公爵と一緒にセヴィス領に来ると良い」
その御令嬢は何も言わずに一礼してその場を去る。
迎えの馬車に全員で乗り、そのまま帰宅する。
道中のその途中で―――
「兄さん、アレはまだ納得していない顔だったみたいだよ」
「だな、音楽に飢えている表情だ。ああいった子にはまだ可能性を秘めているかもな」
「そうなの?義姉さん」
「えぇ、普通の人であればあの場でやり切った顔になって後は手出ししない事があるの。あの子は類い稀に神経がまだ整っていない状態の“芽”にあたるわね」
ラピスの言う通り、二人のあのお嬢さんはまだやり切ったと言うような顔になっておらずまだ上を目指している顔だった。
「さて、仕事溜まってるな~帰ったら」
「兄さん、俺、商いの方手伝うよ。古参のクランに顔を出したら?」
・・・そうするか
次回「星の民と少女と奏歌の師」です。
お楽しみに~(*^-^*)ドーモドーモ




