久しぶりの音楽祭
サブタイトル「久しぶりの音楽祭」
「よっ、特別席用意してくれたんだって?」
「ようこそお越しくださいました!勿論!ご家族の席は王族席の対面側に御座います」
とある場所にて―――俺は弟の家族と共に大人数で音楽祭が行われる会場へ来ていた。
その会場の場所こそ――――音の都メビヴェ帝国。
元は戦争にも参加した過去がある国だが俺の案で600年以降は楽団などが結成する程に有名になった。
因みに発案者の俺は長年その国の審査員長として弟と審査席に居る。
「アナタ、サファと一緒にあそこに行ってくるわね」
「あぁ、分かった。演奏中は飲食出来ないから先に食事を済ませておきな」
「サファ、何かあったらいけないから陰に護衛を用意しておいたぞ」
「ありがとう、ベイル。義姉さんと行ってくるわね」
俺と弟は用意されている審査席に座る。
「って事で総合で計算して順位を――――」
「成程、大体理解したよ。それで・・・兄さんの隣の人は?」
俺の隣に居る人に指す。
「あぁ」と俺は言い
「今日から暫く君が担当になるのか、ルジア」
「あぁ、玄孫が観に来ているんでね。ボクも審査員として呼ばれたんだ」
ベイルに俺の隣に居る彼女を紹介する。
「昔から古い付き合いのある世界樹の子でルジア・オリジンって言うんだ」
「ルジア・オリジンだよ♪よろしくネ、弟クン♪」
「ベイル・セヴィスです、よろしく。しかしまぁ世界樹と言ったらあのお方の半神なんだよね?」
ルジアは元々片割れの双子の妹にあたる。
その片割れは自分の命を世界に新たに根付いて今現在まで二代目世界樹として存在している。
「アグネス様の世界樹とは違って少し細めだけどな」
「そーそー、アグネス母様(世界樹)の時は大陸のほぼ半分は根付いていたんだよー?」
「成程~・・・あっ、そろそろ始まります」
魔力を媒体とするスポットライトの光が消えて、一転に集中する。
『会場の皆様!お待たせ致しました!今年はまた豪華な方々を審査員としてメビヴェ音楽祭を開催いたします!まず、審査員の方々の代表として――――バアル様!壇上へお越しください!』
司会者に呼ばれた俺は会場の壇上へ行き、魔道具のマイクを貰う。
『司会者にご紹介されたバアル・セヴィスだ。今年は特別として私の弟も審査員として同席している。音楽祭に参加する若者達の汗と涙の努力の結晶の実力を―――――この場をもって期待している。また、会場の皆様にも心を震わせて感動して帰って貰う為、彼ら彼女らに期待してくれ。私からは以上だ』
一礼して司会者にマイクを返し、審査席に戻る。
「兄さん格好良かったよ」
「そうか」
「ウンウン、やっぱ世界を救った立場としては精神的に大きくなったんじゃないかな?」
司会者が司会を進行し、早速音楽祭が始まる。
「~~~~♪」
「ふむ、この番号の子は凄い歌唱力を秘めているな」
「確かにそうですね、この子なんかはどうです?」
「流石、天才の集いですね」
俺以外の審査員達は真剣に演奏や歌を聴き、厳しめに裁定をする。
すると、司会者が俺と弟の方へ来て耳打ちをした。
「実は、お二人に結果発表の際に賞の受賞の相談がありまして・・・」
「なんだ?」
「相談?」
どうやらルジアから【女神賞】と言った最優秀賞ではないが特別賞に位置する賞を考えてくれたらしい。
「どうかな?」
「良いんじゃないか?それに見合った子を載せれば――――」
「・・・もしかして、俺と兄さんの決定した子のための受賞?」
弟が言うとルジアは「その通り」と小声で言う。
「成程、それ以外の賞はいつも通りの審査か」
「そっ」
そして前半の部が終わり、後半までの間に各自のお昼休憩となった。
「――――と、戻ったぞ~、早速前半組の集計は?」
「ご覧の通りです」
資料を目にすると、明確に厳しく審査をしたおかげでちゃんとした差が出てきている。
「よし、後半の部も引き続き頼む」
「「「畏まりました」」」
そして、後半の部が始まり、終盤辺りに掛かる。
『エントリーナンバー「99番」アミュー様による演奏です。どうぞ』
司会者に促された一人の平民らしき女性は一礼し懐かしい楽器をもって、演奏を始めた。
「~~~♪~~♪――――」
「「?!」」
俺と・・・そして弟がその場で驚き、涙を流した。
「――――懐かしい、曲に久しぶりに出会えた・・・!」
「俺もだよ・・・兄さん」
俺と弟の涙を見て察したルジアは察し
「・・・決定だね。君らも良いかい?」
「勿論です」
「この曲は初めて聴いたな・・・」
審査員達も感動してしっかりとした採点となった――――。
次回「結果発表と兄弟の懐かしき曲の再会」です。
お楽しみに~(^^♪<ワッフル♪




