新人冒険者研修会
サブタイトル「新人冒険者研修会」
「研修会?」
「えぇ、今日がその日です。因みにギルドから特別要請が出ていますが」
冒険者ギルドは研修生の難易度から超が付く程の危険な難易度まである。
各ギルドは安全面を考慮してランクの低い冒険者にはランクアップ用の“試験”がある。
初めてギルドメンバーになった人は仮免で研修生と言う認識になり、代表国の規定によりギルドに最低ランクである仮免メンバーにのみ認定研修を行う事になっていた。
「支部長から直々に?」
「えぇ、『マスターが居てくれれば今年もそれ程死者は出ないだろうから安心する』との事で」
自分自身がこの世界に来てからちゃんとした規定を定めていなかったのでそこそこ多くの死者は出ていた。
俺自身そう言うのを間近で見て来たからその日から今に至るまで新人冒険者達を守ろうと言う事に決めた。
「分かった、早速行って来る。連絡入れておいてくれ」
「分かりました。【月光ノ夜行旅団】から三名程選出しておきます」
早速いつもの格好になり、そのまま冒険者ギルド【五光星】に足を運んだ。
後から俺の最古参のクランメンバー三名が代表として舞台に上がる。
「なぁ、あの人達ってあの伝説のパーティーだよな?」
「俺も聞いた事がある!ウチの親が先祖の代からお世話になったって!」
新人冒険者達からそう言った声が上がる。
どうやら大昔か昔に助けた人の玄孫世代の人達だと俺は気付いた。
支部長であるペッシュ・ローレンが新人たちの前に立ち、咳払いをする。
「この場に居る者達には大体連絡をした通り、今日から研修会を始める!この研修会はお前達新人共の成長とランクアップの為の勉強会と自覚してくれ」
「(相変わらず顔が厳ついなぁ~ペッシュ君)」
支部長のその野太い一言により、そこ等一帯の新人達は皆緊張が迸る。
「良いか?新人共、お前達は貴族であろうと平民であろうと王族であろうと一人の人間で新人だ。お前達の行動次第で生死が決まる!生きたけりゃ仲間を組め!身分を捨てても仲間を頼れ!!そして仲間を死ぬ気で守れ!俺からは以上だ!」
「続いてですが――――」
支部長の激励とも言えるその一つ一つの言葉で冒険者達は真剣さを取り持つ。
「各冒険者は三班に別れて貰います。それぞれ得意分野のある冒険者はその一班のリーダーになって他のメンバーを導いて下さい。それと・・・ジョーカー様、こちらへ」
受付嬢の女性が俺を呼ぶ。
呼ばれた俺はそのまま舞台に上る。
「各班の試験官役の方々はこちらの方、ジョーカー様の作り上げた最古参クランのメンバーです。なのでそれぞれ試験官役の方々の監視の元で真剣に、研修会を行ってください」
「あー、ご紹介して貰ったこの俺がジョーカーだ。まぁ~なんだ、この俺が期待する様な立派な冒険者になるよう頑張れ。以上」
言い終えた俺はそのまま支部長の隣に行く。
この俺の発言によって疑問に思う奴はいるだろう。
だが、これが現実なんだ。
「ワリィな、態々来て貰って」
「いやいや、俺も丁度手が空いてたから良かったよ」
実を言うと、この支部長は俺と同様バーに通う常連だ。
生粋の酒好きで宿屋やってる奥さんも酒豪なんだとか
「んじゃ、制限設けるか」
「おっ、あの魔法使うんだな?」
俺の特殊スキルは常時発動型で人の考えや思考を先取りして考える様なヤツだ。
ただこれだけじゃスキルを上げてもステータスは上がらない。
俺も冒険者時代には必死に鍛え上げたり魔物を倒してダンジョンを攻略したりしたもんだ。
・・・・もちろんソロで。
「おう、行って来る」
俺は会場に先に向かい中心部分となる所に降りて
「うっし、やるか。【支配領域】」
空間魔法に似た特殊な魔法を俺は発動し、実際に現実的に近い疑似空間を作り上げた。
俺は上空から影と姿を消し、監視を始めた。
「さて、今年はどれ位が残るのかね?」
その日の一日でやっと研修会が終わり、結果発表が始まる。
発表前の前日にやっと研修を終えた冒険者達には特別に俺が全額支払った宿屋に休ませる事にした。
次回「君らなりのやり方を」です。
お楽しみに~(゜∀゜)アヒャヒャヒャ