オスカー・ヴェスピアと言う男
サブタイトル「オスカー・ヴェスピアと言う男」
「そう!腰を引いて一撃を穿て!」
「セェイッ!」
養息子達二人に勝ったオスカーを弟子にし、適性のある職全てを覚えさせる事にした。
俺みたく全ての職に適性があるのは極稀であり、希少価値がある。
「ディヤッ!」
「うぉっし!一旦休憩挟むぞ~」
休憩を入れて休ませる。
「休憩の合間は魔力を限界まで練って見ろ、良い特訓になるぞ」
「分かりました!」
「お茶が入ったわよ~」
ラピスから暖かい緑茶を受け取り、啜り飲む。
「そう言えば・・・とある異国では魔力が無い代わりに“異能力”なる存在が在るらしいですね?」
「あ~、知ってるよ。確か武装国家アドミニオンだったな」
武装国家アドミニオン、魔法や剣術、闘技などを無効にしつつ特別な力を備わった集団の居る国家である。
一度、自分の腕試しに行った事あるが・・・中々骨のある連中で良い特訓になった。
「確か、彼等は彼等の力を尊重して私達の様な魔導師も尊重しているのよね?」
「あぁ、俺みたいな技量のある連中が居る国だと友好になり易いからな。お陰で双方の情報を共有出来るって訳だ」
彼等も元は異能力なんてのは持ち合わせていない。
突然、超常現象の災害の被害を受けて数多くの人口が10分の1のみしか減っておらず10分の9の人口が生存していてさらにその多くが特別な力を得ていた。
「ふむ・・・いつかそこの人達に鍛えさせて貰いたいですね」
「そうか、俺の知り合いにそこらへん詳しいヤツいるから頼んでみようか?」
彼は頷き
「お願いします」
「・・・うっし武技は大体出来てるから次は剣術を身に付けるか」
休憩を終えて早速特訓を再開する。
「養父上、丁度良かった。特訓用に剣を作ってみたんだ。使って感想を頼んでも良いかな?」
「おう、任せろ」
丁度自室の工房から出てきたグッスから真剣を二本受け取り、片方をオスカーに渡す。
「・・・グッスさん、強度を均一にしてるんですか?」
「?おう、そうだぞ」
オスカーにそう答えるグッスに
「ふむ・・・成程、後で工房を学んでも?」
「おう、良いぞ~」
そして、剣術を扱った特訓をするのであった。
時間が過ぎ――――
「ジョーカー様、オスカー君は?」
「ほれ、アレ」
俺がそう言ってその方に指す。
指した方にはオスカーとグッスが煤塗れになりながらも打っていた。
「凄いな・・・一通り教えた筈なのに、俺より品質が良いぞ」
「本当ですか?」
確かに、オスカーの作った武器のステータスでは―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
武器:鋼の剣
品質:C+4
説明:
オスカーにより造られた鋼のインゴットで作られた剣。
質が良く、騎士団が正しく扱えるぐらいに良い基準になっている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「・・・あれ、殆ど騎士団に卸したら訓練以上に守りが固くなるかもしれん」
「あら、凄いじゃない」
流石、勇者の力を持っているだけはある。
因みに勇者の力を扱える人が居た場合、看破でもしない限り俺の鑑定スキルでもステータスを覗く事は不可能である。
「俺が二人呼ぶから先に待っててくれ」
「分かったわ」
ラピスが食卓の方に戻り、俺は二人の元へ行く。
「・・・よし、鞘も出来たんで入れて見ましょう」
「そうだな」
二人が作った剣と鞘を合わせて―――鋼の剣が完成していた。
「おーい、二人共。ご飯食べるぞ~」
「あっ、分かりました!その後にお風呂の用意して貰えるよう執事達に頼んで貰っても良いですか?」
俺は了承し、そのまま二人を食卓へ連れてくる。
「そう言えば・・・他のお三方は居ないんですね?」
「あぁ、三人はそれぞれ婚約者の自宅で過ごして貰う事にしたぞ」
グッスの方はまだ二人は付き合いたてである為、そんなに頻繁に寝泊まりと言う事はしていない。
「それじゃ・・・食べるか」
食後から暫くして――――
「スゥ―――――フゥ―――――」
一人の男が魔力を練り始めた。
『ジョーカーとやら・・・絶対オレの事を見ているな』
『お前の事を見ていたとしても、口に出さないだろ?』
彼の背後に同じ姿勢で魔力を練っていた“影”の姿を模した男が現れた。
『成程ね~・・・察してくれた訳か』
『そろそろ人が通る。中に戻れよ』
“影”は頷き、彼の中に戻る。
すると扉の外側からジョーカーの専属執事が声をかけて来た。
『オスカー様、ジョーカー様が御呼びです。『書斎にて待つ』と』
「分かりましたー!今行くとお伝えください」
執事に言われた通り、彼はジョーカーの書斎に足を運ぶ。
「先生!御呼びですか?」
『おっ、来たか!中に入ってくれ』
彼はそのままドアを開けて中に入る。
次回「オスカー、竜王に挑む」です。
お楽しみに~(;・∀・)マジデ?




