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最年長精霊のジジイ、見参

サブタイトル「最年長精霊のジジイ、見参」

「・・・さてと、少し外に出るよ」

「えぇ、気を付けて下さいね。ジョーカー様」


ジョーカーが外に出ている間、二人の秘書が仕事をしていた。


「ラピス様、またですか?」

「えぇ、不定期的に起きるから、困ったものよねぇ~ホントに」


ファントは「ですね~まったく」と言って手を止めずに書類処理を進めていた。


「あの・・・ファントさん。何の話ですか?」

「ん?あ~、カテュは知らないか。外、見てみ?」


三人共窓の外を覗き見る。

すると――――


『だぁからしつけぇよジジィッ!!!』

『ホッホッホ。まだまだじゃぞ~小童』


魔力とは相対的とされている霊力を持つ“精霊”という存在が在った。


「め、珍しい・・・ジョーカー様があそこまで押されているの」

「あのお爺様はね、養娘であるリリィの血の繋がった祖父で初代精霊王ファンタス様なのよ」


精霊、それは名付けとされているネームドも居れば無名であるノーネームも存在する。


更に言えば名は有れど名字の無い精霊が基本的に多い。


「あの子の実父は戦争時はナンバー2とされる程の実力を持っているの」

「そう言えば・・・孤児院出身でしたっけ?リリィ様は」


ダークエルフは精霊との交流は一切行っていない。

故に精霊の存在を今まで知らないでいたのであった。


「えぇ、あの子の実父である精霊がね孤児院に預けた後、ジョーカー様に内密な手紙を寄越したらしいの。それが切っ掛けで養子(むすこ)達と出会ったのよ」

「成程・・・それに今居る所のこの国は昔からどんな種族の者でもウェルカムなんですね?」


ラピスは頷く。


「さてと、そろそろリリィがファンタス様に圧倒的な差を見せるわよ~」


彼女がそう言った途端、地鳴りが大きく響いた。


『お爺様・・・養父様に何をしていらっしゃるのですか・・・?』

『リっ、リリィ!?あっ、イヤこれはちが――――』

『んじゃ、俺は仕事に戻るわ』


外に出て行ったジョーカーはそのまま執務室に一瞬で戻る。

そしてまた外で大きめな地鳴りが響く。


「いやぁ~、巻き添え喰らわずに済んだわ」

「あの子が落ち着くまで暫く置いておきましょ」


外では―――――


『ギャーッ?!スマンて!!!ちょっ・・・殺意高過ぎぃぃぃッ?!』

『待ちなさいこのく〇ジ〇ィ!!!!!!』


彼女が落ち着くまで暫くジョーカー邸に居る者は仕事の手休めをしたのだった。



「ハァ・・・ハァ・・・、わ、ワシが悪かった。もう許してくれ」

「・・・・次、やったりしたら・・どうなるか分かりますね?お爺様」


笑顔でそう先導精霊のリリィは言うが・・・全然表情より中身が笑っていなかった。


「(普段から真面目にあの子に接して良かったよ・・・ほっ)」

『ハッ、ハイィィッ!!!』


元精霊王ことファンタスとは随分と昔に一度顔を合わせている。


自身の息子が戦争で亡くなって以降、俺を次の息子として接してくれるのは有り難いが・・・


節度が甘い。


俺は決してじいちゃん子ではないがじーさんが俺に執拗に可愛がってくる。


「あっ、そうだリリィ。彼氏の件だけど――」

「養父様ぁ~!!!聞いて下さいよぉ~!」


俺の方からそう話しを切り出すとリリィは表情を緩く変えて俺に泣き始めた。


「彼ったら・・・私にキスをしてくれないんです~~~っ!」


そう言って半泣きしていた。


「リリィも大概・・・じぃさんに似て来てるぞ?性格が」

「あんな耄碌じじぃと一緒にしないで下さいっ!」

「ガーンッ!?」


そして次の日―――――


「って事でな、息子と義娘の墓参りついでに特定の魔物を討伐して欲しいんじゃよ」

「そうですか、それでその魔物は計何体程で?それと素材は?」


「年寄り相手に容赦ないなぁ」と思いながら隅っこで書類整理をしていた。


「うむ、三体でどれもS級でな。また最近辺りに森を荒らしまわっているようでな。エルフ達や儂らの精霊の里でも非常に困っとるんじゃよ。んで、その魔物じゃがな~」


仕事を終えた俺は同席する事にした。


「たしか・・・パンドラボロスとエレトリカルフロッグとクラスタルホッパーだったか?」

「うむ、田舎では農夫の天敵じゃ。そ奴等を討伐して欲しいんじゃ」

「分かりました。ご依頼を受けますね」


リリィはそう言って―――――午後過ぎに大蛇と大蛙と飛蝗の亜種を合計で5000体程倒して依頼品を届けたらしい。


「―――って事で、殲滅しようとしたんですが少数体程逃げられてしまいました。むぅ~・・・」

「おっ、おう。普通はそこまで多く狩る必要は無いぞ?」


ギルドの派遣員から連絡があり、一人で殲滅しようとした所、それらの魔物は勝てないと悟ったのか尻尾を巻いて逃げたようだった。


「お疲れ様。あのお二人に挨拶はした?」

「えぇ、偶然にも彼氏も二人のお墓に花を添えてくれました」

「そうかそうか」


そして別の日に養子である娘が彼氏をやっと連れて来たのはまた別の話である。

次回「養子の長女、彼氏を連れてくる」です。

お楽しみに~(^ω^)イキマースッ!

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