職人ドワーフ、技術大会参加する
サブタイトル「職人ドワーフ、技術大会参加する」
「グッス様!準備万端です!」
「分かった!養父上にチェックを入れて貰ってから開会式を始めてくれ!」
年に一度に開催される商業ギルド並びに俺が主催する職人の腕を競う大会、【技巧大会】が始まった。
だが、今回はグッスは何度も優勝を飾った経験があるので本人自ら審査員を挙手候補して今こうして他の審査員と共に予選を審査して来た。
本選に関しては俺がチェックする為、本番を迎える進出者はかなり緊張している。
「ジョーカー様、そろそろ本選始まります」
「審査通った出場者はどんぐらい?」
過去に比べて出場者は結構な大所帯だった。
家族で参加する人も居れば兄弟か姉妹、もしくは個人で出る人が居る。
今回は特に兄弟か姉妹で出場する人が多く居たらしい。
「ほぉ~、これって厳しめにやったんだよな?」
「えぇ、グッス様が真剣に予選審査をした所の集計結果がこのような形で」
グッスは誰よりも魔力や戦闘は著しいが、技術に関しては誰よりもその凄腕を発揮する。
幼年期の彼には何度驚かされた事か。
「そうか、アイツが予選の審査員だから間違いは無いな」
「ですね、我々も気合が入っていますからね」
「各国の国王が御着席なさいました。始めても宜しいでしょうか?」
俺は許可を出し、直ぐに技巧大会の本選が始まった。
「ふむ・・・彼も巧いがあそこの彼もいいな」
「あちらの彼女も腕前が良くないですか?」
司会者もノリノリで国王陛下達へその場の選手一人ずつ出来栄えを伺ったり自己評価を聞いたりしている。
「ふむ・・・成程なぁ~・・・」
「「「「(ジョーカー様が真剣に見ている?!)」」」」
俺が真剣に見ていると、周囲の喋り声が何故か止んだ。
「(俺みたいに黙って見る事にしたのか?)」
最初の一組10名の審査が終わり、二組目、三組目も続けて行われた。
そして・・・・計5組50名の審査が終わり、集計する事になった。
「この中から一人か一組のご家庭でしたな?」
「えぇ、そのように聞いていますぞ。しかし・・・どれも良かったので迷ってしまうな」
それぞれが意見交換をし、やっと優勝者が決まった。
「え~、既にジョーカー様と国王陛下達による決定が下されたようです。それでは結果発表を行います!今年度による技巧大会優勝者は―――――」
俺は立ち上がり、優勝者の名前を口頭で言う。
「――――以上!・・・今年もどの挑戦者の技術、精密性、そしてその作品による面入れが詰まっているのを俺は大変感動した!どの作品も全員本気で取り組んで作り上げたのがよく分かった!だが敢えて君らの中からその優勝に相応しい作品を見て俺も・・・彼等も決めた!よって、この優勝はこの者こそが相応しいと判断を下した!会場に居る方々も、その場で奮闘した君等も彼に盛大な拍手を!」
「よくやったぞー!」
「流石だなぁ~!オイ!」
俺が言い終えた後に優勝したその人に向けて見に来た人達や本選に挑んだ彼等による盛大な拍手が送られた。
大会を終えて、片付けの手伝いをしている最中――――
「お疲れ様です!グッス様!ジョーカー様!」
「おっ、お疲れさん!」
「お疲れさん、審査担当」
記録とか殆どは俺がいくつか管理をしている。
勿論、一大行事も同様に。
「それでは別の片付けの所に行って来ますんで、失礼しました」
「おーう、お疲れさん」
大体半分を終えた所でグッスが声を掛けて来た。
「養父上、後は私に任せて先にお戻りください」
「そうだな・・・他にする事無いし、分かった。後は任せる」
俺はそう言ってその場から帰る事にした。
ジョーカーが帰宅してからの数分後――――
「親方ァ!こっちは終わりました!手伝う事ありますか?!」
「相変わらず声量でけぇな~・・・幾つか足りないもんがあったらチェック入れとけよ~ウィベル」
ウィベル・ベルベット、女性のドワーフにしてグッスを超える技巧者の一人。
彼女も技巧大会に参加はしたものの、今回は準優勝止まりだった。
「親方ァ~!足りないもの無いっす!」
「おう、んじゃ運ぶからそこ等の連中連れて来てくれ」
グッスの指示に従い、ウィベルは行動を起こす。
「全員連れて来ました!」
「おう!んじゃ、お前等!休憩の後に各自この大荷物を手分けして異空間庫に入れて運ぶぞ~!」
「「「分かりました!」」」
その場の彼等は一つずつ丁寧にスキルを駆使して異空間庫の中に入れる。
「親方!運び終わりました!ギルドにそのまま行って来ます!」
「おう!ギルドの倉庫に仕舞い終えた奴から帰宅して良いぞ~」
彼等は急いで商業ギルドに戻り、ギルドが管理をしている巨大倉庫に次々へとモノを置く。
置き終えた彼等は次々とその場で解散して行った。
「お疲れーっす」
「お疲れ~」
「この後飲みに行かね?」
「お~、行く行く!」
仕事終わりに呑みに行く者もいた。
「お疲れ様っス」
「おう、お前は誰かと飲みに行ったりしねぇのか?」
グッスがそう言うと彼女は首を横に振り
「親方と呑みに行きたいっす」
「ハァ~・・・分かった。養父上に一旦連絡させてくれ」
その後、二人がベロンベロンに酔いながらジョーカー宅に帰宅したのは言うまでもない。
次回「吞兵衛な女ドワーフ」です。
お楽しみに~('ω')ワクワク




