竜人の恋
サブタイトル「竜人の恋」
「え?付き合う事になった?」
「えぇ、お父様からそろそろ言われそうだと思って先手を打ちました。彼です」
リーナがそう言って連れて来たのが・・・ファントだった。
二人して何故か元気な気が・・・あっ、もしかして
そうか、そう言う事か。
二人は既にデキてるな
「そら良かった。言う手間が省けたよ」
「リーナの為により一層仕事に励みます」
彼はそう言って一礼する。
二人が仕事場に戻った後は――――
「取り敢えず一週間内のスケジュールです」
「・・・あ~、そう言えば今週一週間からか」
そろそろ座って仕事を・・・と思った矢先に早速スフィア並みの仕事の速さでファントは一週間分の職務表を見せてくれた。
「990年前からでしたっけ?この『技巧大会』って」
「おう、基本はドワーフの特権だが・・・当時からその考え方を180度変えて多種の種族から職人としてスキルを開花したヤツが腕試しをする為に俺が王会談で提供したら即決しちゃってね」
言った本人である俺自身、冗談のつもりで言ったが直ぐに実行された。
因みにその大会には各部門があるが・・・別の機会にするとしよう。
「・・・あっ、そうだ」
「ん?どったの?」
ファントは仕事中に何か思いついたのか別用紙で何かを書いていた。
「これは・・・」
「仕事終わりにひと狩り行っても?」
「おっ、おう。無理すんなよ?」
俺がそう言った瞬間に彼は瞬時に今差し出した仕事を終らせて俺にそれを提出した。
彼はその後にすぐに武器を持って出かけて行った。
「―――相変わらず手際良いし誤字や脱字なんかも無いな」
『御養父様、少々よろしいでしょうか?』
リーナの声が聞こえたので、俺は瞬時に彼が描いていたアクセサリーらしきデザインの用紙を手元に寄せて自分の席に戻る。
「おう、いいぞ」
『失礼しますね』
リーナがスフィアと一緒に入って来た。
「先程、彼が武器を持って出かけて行ったんですが・・・」
「あ~、あれだ。アイツ、兼業で冒険者やってるだろ?依頼品を取りに行ったぞ」
俺はスフィアを寄せて、俺が隠したものを見せる。
「(そう言う事ですか)」
「(あぁ、実にアイツらしい)」
「失礼致しました」と言ってリーナが職場に戻る。
スフィアは周囲を見計らい、俺からデザイン画を受け取る。
「たしか・・・竜人族って花とかの植物より鉱石類を好むんでしたっけ?」
「あぁ、昔からの好物でな。その竜人族の中ではその鉱石で作ったアクセを持って告白するか婚約するかって言う風習があるらしい」
竜人族の祖先はドラゴンである為、生き物は食肉で命を得て自然は流れに身を任せる。
そして、鉱石を好みその鉱石の種類によって様々な幸せな家庭が出来上がる。
「中々のチョイスですね」
「あぁ、だが竜人やドラゴン以外の種族は鉱石で出来たアクセはただの飾りとしか認識しないらしいぞ」
エルフであれば植物の茎と花で出来た指輪かあるいはクリスタルフラワーである。
人間だと指輪で婚約、結婚などに用いる。
「そうだ・・・ラピスの方はどうだ?」
「カテュの仕事が手早くて夫人会に出席を」
ようはティーパーティーか
「んなら、迎えに行くか」
「ファントが戻ってきたら後片付けをしておきますね」
後の事はスフィアに任せ、仕事場から夫人会である王城に足を運ぶ。
「・・・!ジョーカー様がお越しに為さったぞ!道を開けよ!」
「「「はっ!」」」
騎士の一人の呼び声により、周囲に居た騎士が一斉に集まりキレイに横に並ぶ。
周囲がざわつくが、ラピスが気付き俺の所にカテュと来る。
「お仕事お疲れ様です!ジョーカー様!」
「ジョーカー様、お仕事お疲れ様です」
「おう、茶会は楽しかったか?」
二人とワイワイと話をし、俺もお茶会に参加する。
「【衣装替え】!んでもって俺も・・・【衣装替え《チェンジ》】」
「あら、私好みの瑠璃色ドレス有り難うございます」
黒のタキシードを着て、上を脱いで空間に仕舞う。
袖なしのブレザーを着て準備は出来た。
「指揮者」
「OK」
演奏者側では俺の目線に合わせて音楽が始まり、それぞれの紳士淑女はダンスを始める。
「Shall We Dance?lady(私と一曲、踊りませんか?お嬢さん)」
「ふふっ。お願いします。愛しい御方」
周囲が見惚れる程の美しくも華麗なダンスを披露した。
曲が終わると同時に、周囲の人達から拍手喝采が起こる。
俺とラピスは一礼し、カテュが後の二人を連れて来た。
「おっ、もう渡したのか」
「えぇ」
次の日、リーナの代わりの竜騎兵団のリーダーの選別が始まり、新しいリーダーが決まった。
次回「職人ドワーフ、技術大会参加する」です。
お楽しみに~(;・∀・)<エッ・・・




