エルフの里
サブタイトル「エルフの里」
「よく来た!クリス!」
「久方振りです。顔を合わせる機会が無くてすません里長様」
とある神聖な森林の奥地、エルフの里にて――――
四終帝のクリスは父親の秘書で同い年であるスフィアと故郷であるエルフの里に足を運んでいた。
父親のサプライズとは知らずに、である。
彼がここに一度に訪れたのはダークエルフであるスフィアの件で父親と来て以来である。
「スフィアさんも・・・良い子に育ってよかったよ」
「有り難うございます。ラード里長様」
ラード・ダイヤモンド。
ハイエルフと人間との間に生れた心の優しき現在の里長である。
「二人が来る事は精霊王様から聞いているからね!すでに準備してあるよ~」
「そうですか・・・有り難うございます。お言葉に甘えて」
ダークエルフは今現在、クリスの異名とジョーカーの名とを聞いた彼等はエルフ達との諍いを避けている。
要は引き籠り状態である。
「そう言えば、初めての宴会も養父上が張り切っていたなぁ~」
「そう言えば・・・そうでしたね」
多彩な魔法を使った飴細工、かき氷などの彼等に出会った当時は夏だった為に自ら披露した手口である。
「さて、里長様、私も幾つか披露しても?」
「来たばかりなのに良いのかい?」
彼は頷き、子供達を前に遊技となる魔法を披露する。
「はい、そこのお嬢さん達にはこの氷結華をどうぞ」
彼はそう言って女の子達に氷の魔法で創った綺麗な花をプレゼントする。
評価は良かったようで、黄色い声が出てくる。
「紳士なお兄さん♪私にも一つ下さいな♪(いざ言うとなると恥ずかしいわね)」
「勿論♪どうぞ」
彼はスフィアの前で片膝を着かせ、人前で
「レディ、私と結婚を前提に・・・お一つどうぞ」
「――――勿論、喜んで」
彼女は彼からその花を受け取り、応える。
「二人の思い、私がしかと見届けた!皆の者!二人に祝福を!」
周囲のエルフ達は皆、拍手喝采と黄色い声援が飛び交い、二人を祝う。
「さて・・・と、片付けの手伝いしましょうか」
「えぇ、そうですね」
二人が付き合い始めたのを周りから認められてから数時間後に賑わい終えた宴会の後片付けも手伝う事になった。
「申し訳ねぇな、二人に手伝わせてしまって」
「良いんですよおじさん。里長様だって張り切っていたみたいですし」
念話を終えて早速、職場での仕事も一目散に終わらせて屋敷に戻る。
翌日――――
「全て洗い終わりました。他に残ってるものは御座いませんか?」
「もうねぇな~、カミさん達も手伝ってくれて楽になったと喜んでるし・・・もう二人共休みな!長様が寝床用意してっから」
二人は同種族のエルフのおじさんの言葉に甘えて客人用の一軒家に寝泊まりする事になった。
「どう・・・ですか?」
「お美しい・・・」
皆が寝静まる頃、二人は寝間着に着替えて寝床に就く。
「(まさか、ここまで距離が縮むとは思いませんでしたね・・・さて、寝るとしましょうか)」
二人は体を寄せ合って寝始めた。
一方で―――――
「ホレ、ラード里長。二人の寝泊まり場に忍び込もうとしていた野盗を全員捕まえたぞ」
「助かります。ジョーカー様」
二人の様子を見ようと里長の下へ転移したは良いものの、未だに誘拐や拉致で奴隷商人に売っている野盗や金品を盗む盗賊などが増えた為の報告を聞いた。
まさか二人を捕まえようと動くとは・・・・
「俺に捕まった事を有難く思って欲しいね、全く」
「ですね・・・」
里長は苦笑いをして言う。
彼は二人の事を知っている。
特にクリスの事に関しては人一倍気にしていた。
「お酒は飲まれますか?」
「あー、一杯飲みたいけど・・・先に犯罪者共をギルドに報告しなきゃだからそのまま帰るわ」
二人の事は里長から聞いている。
二人がくっ付いて良かったよ、全く
「そうですか・・・お気を付けて下さいね」
俺は手を振って犯罪者共を連れて転移をする。
「―――おや、ジョーカー様」
「おう、エルフの里での誘拐の件。まだやる気のある野盗を捕まえておいた」
王都のギルドに遅くまで来た俺は裏手に居た夜勤警備担当のギルドの職員に身柄を渡す。
「分かりました。上の方に連絡を入れておきますね」
「頼む。ついでに魔封じの枷を付けさせておくぞ~」
手枷や足枷をやって身動きを封じた野盗をギルド職員に任せ、俺は帰宅する。
次回「ダークエルフとエルフの関係」です。
お楽しみに~((;・∀・)アラァ~




