聖女への試練
サブタイトル「聖女への試練」
「ラピス様!サファイア様!御呼びでしょうか?」
「あら、丁度良い所に来てくれたわね。カティ」
「アナタを呼んだのは他でもありません。貴方の成績及び実績を総合的に踏まえてジョーカー様のご判断の元、聖女の上の大聖女になって貰う為に聖女の試練をあなたに受けさせて貰います」
カティ・グルーヴ、ラピスとサファイアに続く新しい聖女で彼女の前の聖女も大聖女となり別の国で大切に扱われる事となったと言う事で1000人目の新しい聖女となった子である。
現段階ではまだ見習いの修行を終えたばかりなので大聖女になる為の最終段階である聖女の試練をクリアしなければならない。
これをしっかりと考えたのがアグネス様本人だ。
「分かりました。受けます!」
「では、試練の塔にてジョーカー様がお待ちです。支度を出来次第向かってください」
そして、俺はと言うと―――――塔の最上階に居た。
「おっ、来た来た。頑張れよ~新人聖女」
特殊な魔法道具で新人である聖女の試練が始まった。
大聖女になる為に3つの試練が用意されている。
その一つに付き三段階があり、それぞれ聖女にとって厳しめの対応力を施されている。
一つは耐久の間、一つは聖界の間、一つは運命の間。
それぞれ聖女にとってその場の“判断力”を試される。
「ふむふむ、良い線を行ってるね」
そして最上階に居る俺の所には他の国の王族が観戦をしていた。
「良い判断力を持っているな」
「ですな、だがまだ甘い所がある」
「そうですねぇ・・・」
因みに双子の女性の中で双子共々聖女にはなれるが二人で一人の括りになる為、双子の居る場所が離れている場合は効果が発揮されない。
「そう言えば・・・聖女が属していない国の代表はこれだけですかな?」
「ですな、他は親の代から結婚して子に新たに継承されているのでその子はこの試練を受ける必要は無いですし」
聖女の中で素養も愛想も良いのが基本ではあるが一つが欠けていても一国の民の為に力をふるまえる程度であればなんでも良いと言う事もある。
『――――――!!!』
「ほほう?彼女は良い判断を下したな?」
「ジョーカー様の作った幻影を見破るとは・・・感が良いですな」
俺は「確かに」と言って頷く。
「普通は鑑定なんかの魔法を使いがちだが彼女はそれすら使って無いな」
「多彩な魔法をお持ちですが伯爵家では厳しい訓練や家訓などは無いと伯爵殿が仰ってましたなぁ」
「ほほう?」
映像に移る聖女は終盤辺りまで突き進んでいった。
「殆どであればストレスから逃げて失格になる聖女も居るが・・・彼女は図太いな?!」
「まさかとは思いますが・・・転生者なのでは?」
確かに、転生者であれば逃げ出す事はせず、己の力量の限界を極めて立ち向かう人は居る。
彼女なら例題に嵌り易い。
「さて・・・そろそろ着く頃合いだな」
そして、聖女はやっと最上階の階段を上り
「やっと、着いた・・・っ!」
「試練の事よりも己の限界を極めるタイプの聖女ですな」
一人の国王が言うと周囲の王族達は頷く。
そして話し合いを終らせ――――
「お疲れ様、君の活躍は見させて貰ったよ」
「有り難うございます」
俺の判断は――――――――
「所々失敗している箇所はあったが・・・・それを後にカバーできる器量はあったとみなしマイナス点は低いと決定する。よって・・・・」
周囲の緊張が迸る。
「聖女の試練は合格だ!」
「・・・・っ!」
そして所属先を決める事になっているが・・・・一ヶ所だけどうしても配置したい国があった。
「君には・・・カウス魔王国に所属して貰う」
「本当ですか?!」
聖女・・・いや大聖女カティは合格と判断され、瘴気の酷い魔王国に所属する事になった。
「自分の身は自分で守れるかい?」
「勿論です!伯爵領では自己判断で鍛え上げたので!」
ものすっごいやる気に満ちた瞳をしている。
「帰ったら教皇と自身の家族にご報告なさい。我々からは以上だ」
「はいっ!有り難うございました!」
彼女は魔法で入り口付近まで転移した。
「さて、他の聖女も来る頃合いだな」
以降、試練を受けた聖女100名の内55名程が合格し45名の不合格者が多く出た。
因みに次の試練を受ける時はまだ先な為、それまでに慈善活動を行うのは許可されている。
次回「ラピス・ラズリィとサファイア・フォンスター」です。
お楽しみに~(◦д◦)ウマピョイッ!




