1200年目の秋②、様々な秋模様
サブタイトル「1200年目の秋②、様々な秋模様」
1200年目――――とある絵画展にて。
「凄いじゃないか!俺や妻が描いた絵より絵師としての才能があるぞ!」
「お誉めに戴き、有難う御座います。しかし、私は新参者。まだまだ学ぶ機会は多く在ります故」
金賞に輝いたのはとある絵画好きの青年だった。
その青年が描いたテーマの【秋】は、家族連れをモデルに彩りのある落ち葉や風に煽られて落ちていく紅葉。
そう言った様を描いていた。
「審査員、君から見てこの絵はどのように見える?」
「そうですね・・・秋、と言えば寒々としたイメージを持ちますが・・・この絵は暖かみのある。家族や紅葉などの美しい描き方に私は温まりましてね」
アグニの前でそう饒舌に喋る審査員は咳払いをし
「他の絵も・・・アグニ様の絵も素敵です。ですが・・・そんなアグニ様の描いた絵よりも彼は素晴らしい才能を開花している。我々審査員一同はそう言った話を踏まえて今回、彼にしました」
「納得いただけましたか?」と審査員は最後まで言い切る。
アグニは――――
「あぁ、納得の良く理由だよ。その調子で審査員頑張りな」
「はっ、最後まで責任を以て務めさせて戴きます」
次の日、早速新聞が世間を賑わせた。
「ほう、アグニ様を差し押さえて一位になった天才が居るのか」
「モデルになってみようかしら?」
その新聞は彼ら二人の健闘を讃えるような一面がデカデカと書かれていた。
「新聞でも結構人気になったわね、彼」
「そうだな」
彼ら夫妻は微笑みながら外の青空を眺めていた。
「先生!」
「アグニ様!」
絵画教室に通い詰めている彼は瞬く間に人気である。
「惜しかったですね~」
「いやいや、彼の実力も相当ですよ」
こうして、彼らは様々な方面での活躍の幅が広がっていた。
「――――よし、この角度でどうだ?」
「良いですね~セヴィス家の中で最も目立ちますね」
屋敷内の使用人達も大絶賛だった。
次回「1250年目の冬①、暖をとりたい時期」です。
お楽しみ('ω')<まぁたやらかした・・・




