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4:長男は一万年を過ごす

一万年を過ごしたから投稿します!


長男の方は上↑の『ブックマーク』ボタンを押してください、ポイントになります!




 ――あれから10年の時が経過した。

 

 未だに俺は弱いままだ。

 ダンジョン内をさまよう『ドラゴン』や『フェンリル』などのS級モンスターたちにより、一瞬で殺される日々を送っている。

 

 今だってそうだ。対峙したドラゴンに向かって、魔法を放つが――、


「ファイヤーボールッ!」


『ガァァアアッ!』


 咆哮の衝撃だけで掻き消されてしまう……!

 さらに俺自身もまた壁際に吹き飛ばされ、全身の骨がバキバキに砕け散った。


「がはっ……!?」


 そうしてぐったりする俺を睨み付けるドラゴン。

 やつは巨大な尻尾を振るうと、まるでハエでも叩くように俺のことを殺害したのだった。


 ああ、今回でいったい何万回目の死を迎えるのだろうか……。



 ――さらに100年の時が経過した。 


 未だに俺は弱いままだが、進歩はある。

 ファイヤーボールの威力が少しだけ上昇したのだ。


 かつてはドラゴンの咆哮によって一瞬で掻き消されていたが、今では一秒くらいは消されないようになった。

 それに魔力消費量も最適化され、最初は一日3発も打てなかったのに、今では10発はいけるようになっていた。


「……ははっ、100年修行してこの程度か」


 つくづく『Fランク』の才能のなさに呆れてしまう。

 世間の連中が俺たちFランクのことをゴミ扱いするのも少しだけわかった気がする。

 100年頑張ってもほとんど成長しないような劣等など、もはや人間として終わっているだろう。


 だけど、


「それでもちょっとずつ成長してるんだ。俺は諦めないぞ、だって長男なんだからな……ッ!」


 今や懐かしき家族の存在を思い出し、俺は自分を奮い立たせた!



 ――そうして1000年の時が経過した。


 俺のファイヤーボールの威力は比べ物にならないほど上昇していた。

 最初はヒョロヒョロと飛ぶ火の玉だったのに、今では轟々と燃え盛る立派な火球となり、ドラゴンの咆哮にも消されないようになった。

 だが一発当てたくらいではドラゴンの鱗すら焼くことは出来ない。

 ゆえに俺は、一度に多くのファイヤーボールを飛ばす戦法を編み出した!


『ガァーーーーーーーッ!』


「新必殺技だ、食らえドラゴンッ! ファイヤーボール・六連ッ!」


 俺の周囲に六発の火球が出現し、ドラゴン目掛けて飛翔していく。

 それによって、ついにドラゴンの鱗に焦げ目がついた! 今までハエ扱いだった俺に対し、ドラゴンが害虫を見るような目をする……!


『グガァーーーッ!』


「がはっ!?」


 咆哮によってまたも吹き飛ばされ、全身の骨が砕ける音が響く。

 あぁ、今回も勝てなかったけど成果はあった……。ついにドラゴンから『敵』として扱われるようになったのだ。


 魔法の同時展開なんて一部の限られた天才にしか出来ない技だ。

 魔力量も魔力運用効率も稚拙なFランクの俺では、不可能だろうと思っていた。


 だけど努力したらできたのだ……500年かけてファイヤーボールを2個出すことが出来るようになり、600年で3個となり、そして1000年目でついに6個も出せるようになった。

 諦めなければ、人間に不可能なんてないんだ――!


「待ってろよドラゴン……次は倒してやるからな……!」


 最後にそう呟きながら、俺は数億回目の死を迎えた。



 ――そうして一万年が経過した。


 最近では『どうして俺はこんなところで戦っているんだ』と思うことが多くなった。

 だがそのたびに自分はかつて長男だったと思い出し、同時に家族の記憶が蘇ってくる。

 そうだ……俺は長男だから、家族のために強くならないといけないんだ。


 もはや名前すらもうろ覚えになる中、『長男』という概念だけが俺を人として成り立たせていた。


「俺は長男だ……長男は不可能があってはいけない存在なんだ。たとえ何兆回死ぬことになったって、長男だったら頑張らないといけないんだーーーーッ!」


『グルゥウウウッ!?』


 俺の叫びにドラゴンが怯む。全身を焼き焦がされながら、『長男ってなんだ!?』と驚愕していた。

 なんだかもう最近ではコイツの心がわかるようになってきた気がするな。


「さぁ、決着をつけようかドラゴン。――ファイヤーボール・千連発動!」


 そして現れる無数の業火球。

 最初とは比べ物にならないほど一発の威力が上がり、さらに魔力消費量もほとんどゼロの領域まで抑えられていた。


 これが一万年間、たった一つの魔法だけを極め続けた成果だ。

 今ではドラゴンを追い詰めることも多くなってきた。最初は俺のことを虫を見る目で見てきた奴だが、最近では怯えた目でこちらを見てくるようになった。


『グッ、グルルルルルッ……!』


 ドラゴンで視線だけで問いかけてくる。『いつまでもいつまでもいつまでも、どうしてそんなに諦めないのか』と。

  あぁ、そんなのは決まっているだろう。



「俺が、長男だからだーーーーッ!」


 

 そして炸裂するファイヤーボールの嵐。

 それに飲み込まれたドラゴンは、絶叫を上げながら灰となって消えていくのだった。

 

 修行から一万年目。

 ついに俺は、ドラゴンを倒すことに成功したのだった――!


 



・次回より、火属性魔法・壱の型『ファイヤーボール』を魔改造していきます――!



【作者からのお願い】


「俺も長男っ!」という方は、


広告の下にある☆☆☆☆☆からの評価や、ブクマへの登録をお願いいたします!

「いや、長男じゃないよ……」って方も諦めなければ長男なので『☆5』でお願いします!




執筆の励みになりますので、何卒お願いいたします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼滅アンチ扱いが理想?
[良い点] 昔ヤンジャンで「長男の時代」ってマンガがあったな
[一言] 流石長男だ!!!!!
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