1:長男はFランク
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「お兄ちゃん、頑張ってね!」「兄ちゃんならきっと才能あるよ!」「がんばえ~!」
「ああ、兄ちゃんを信じてくれ!」
三人の妹たちに応援されながら、俺は村の教会に入っていった。
この世界では12歳になると、女神様から魔法の才能が与えられる『祝福の儀』がある。
魔法の属性は火・水・土・風・雷・光・闇の七つがあり、さらにFランクからSランクまでの格付けが行われるのだ。
ここで高い才能を得られるかどうかで人生が決まるといってもいい。
俺は家の長男として、絶対にBランク以上を手に入れてみせる!
そう意気込んでいた時だ。『祝福の儀』を行っていた女神官がにわかに色めきだった。
「おぉぉおっ! ミトラ様、【水属性:A】【光属性:A】です! 二つも魔法を獲得した上に、片方はレアな光属性で、しかも二つともAランクとはッ!」
「おーーーーっほっほっ! 当然よぉ、このミトラ様は神に愛された女なんだからッ!」
金色の髪をした目つきのキツい少女が高笑いをした。
……彼女の名はミトラ・ミスラエル。このミスラエル村の村長の娘で、よく小さい子をいじめているどうしようもない女だ。
彼女は俺の存在に気付くと、ニヤニヤしながら近づいてきた。
「あらぁ、貧乏一家の長男ことアンリ・マニウスくんじゃない。そういえばアンタとは同い年だったけ? このミスラ様と年が同じとは生意気ね!」
「いや、12歳児なんて世界中にいるだろうが……」
「うるさいうるさいっ! そうやっていつも口ごたえする! 貧乏なくせに、他の連中と違ってどうしてアタシに媚びへつらわないのよ!」
キーキーと叫ぶミトラ。
だが俺は決して怒鳴り返したりはしない。長男はいつだって冷静でなくてはな。
「神官様、どうか俺にも『祝福の儀』を」
「うむ」
ミトラを無視して俺も儀式を始めてもらう。
俺の額に杖を当てる神官様。すると杖が輝きを放ち、身体の中から何かが沸き上がってくる感覚がしてきた。
おそらくはこれが『魔力』というやつだろう。
さぁ、はたして俺は何属性のどんなランクに目覚めたんだろうが?
そう思っていると、女神官の顔がなぜか憐れそうに曇っていき……、
「……アンリくん、アナタは【火属性:F】よ」
「はっ?」
俺は耳を疑った。
Fランクなんて一番最低の結果だ。人類の中でも5%くらいしかいないとされており、そのうちの多くが初級魔法すら唱えられずに一生を終えるという。
一番多いCランクならば一発で唱えられる『ファイヤーボール』すら、使えない可能性があるのだ。
「プッ、キャハハハハハッ! アタシはダブルAランクなのにFランクとかウケる~! しかも火属性とか一番目覚めるやつが多い属性じゃない! ぷーくすくすくすっ!」
……床に転がりながら爆笑するミトラ。
そんな彼女の笑い声を聞きながら、俺はフラフラと教会から出ていった。
◆ ◇ ◆
――家に帰った俺は、家族に結果を報告した。
Fランクなんて蔑まれてもおかしくはない最低の才能値だ。
人間としては下の下のゴミだ。
だがしかし、女手一つで俺を育ててくれた母は、優しく頭を撫でてくれた。
「別にいいじゃない才能なんて。アンリは優しい子なんだから。私にとってはそれだけで十分よ」
「で、でも母さん、それじゃあ……母さんの手術代が……」
そう、俺の母さんは病に冒されている。
村の女医師によるとかなりの重病らしい。若くて美しいというのに、最近ではベッドから起き上がることも難しくなってきたほどだ。
だからこそ、長男として高い才能に目覚め、この人を救うために魔法使いギルドに入って大稼ぎしようと思っていたのに……それなのに……!
「母さん、ごめんね……俺、弱くてごめんね……!」
そうして俺が、血のにじむほど拳を握り締めた時だった。
そんな俺の拳を三つの小さな手が触れた。
「兄ちゃん、元気出して……!」「兄ちゃん泣かないで!」「がんばえーっ!」
「おまえたち……!」
三人の幼い妹たちが、俺のことを励ましてくれる……!
俺みたいなFランクの劣等は蔑まれてもおかしくないのに、彼女たちはまだ俺のことを『長男』として見てくれていた。
そのことを自覚した瞬間、沈んでいた心に火が灯る。
俺は両頬をバシッと叩き、愛する家族に宣言する――!
「俺、長男として戦うよ! 王都のギルドに就職して、モンスターたちを狩りまくって絶対に治療費を稼いでみせるッ!」
『ええっ!?』
俺の言葉に驚く家族。
まぁそれも当然か。モンスターとは人類に仇なす凶悪な生物たちのことで、コイツらを倒すにはCランク以上の魔法の才能が必要になるという。
Fランクの俺では、そこらへんのゴブリンにすら勝てるか怪しいだろう。
だけど絶対に諦めない。
なぜなら俺は、長男だから――!
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