火のないところに煙は立たぬ?
どうも、toroです。意外に早い投稿でびっくりしたのではないでしょうか?
え?びっくりしてない?そもそも読んでねぇよって?そんなこと言わないでください……
「次って実技だよな。緊張すんな〜」
《よければ私が代わりましょうか?》
「いや、全部任せるのは気がひける。流石にこの実技は俺がやるよ。」
《わかりました。私も手伝えることがあれば手伝わさせていただきます。》
「うん、よろしく頼むよ。」
俺(in悠慈)は、食堂で飯を済ませたあとすぐに教室へ戻った。特にすることもなかったので、窓の外をぼーっと眺めてると、いつのまにか集合時間になっていた。
「皆さん揃ってますね?ではこれから体育館へ移動してもらいます。試験のルールは移動してからとなります。」
〈ようやくだな!なんかワクワクするな!〉
《ついさっきまであんなに嫌がっていたのに。》
〈うっせ!ほっとけ!〉
俺(in悠慈)やそれ以外の受験生たちは言われるがままに体育館へ移動した。
「では、早速実技試験の内容を説明します。まずは魔力量計測器でどのくらいの魔力を持っているのか測ってもらいます。そしてその後、魔力をどの程度扱えるかを見るため、模擬戦をしてもらいます。」
〈なぁ、魔力計測器で魔力計られて大丈夫なのか?この体は。〉
《予想外ですね……。少しまずいかもしれません。》
〈俺が神様ってバレるってこと?〉
《いえ、神とはバレないでしょうが、魔術が使えないとバレてしまいます。》
〈それはマズイな。どうする?〉
《仕方ありません。少し強引な手段になってしまいますが、ここにいる人たちの記憶を書き換えましょうか。》
〈いや、それはやめよう。人に迷惑をかけるのはちょっと、な。バレたらバレたでまた考えればいいさ。〉
《わかりました。むしろ私としてはバレた方がいいと思っていましたので。》
〈まさか、わざとバレるように仕向けたんじゃないだろうな?〉
《さぁ?どうでしょうか?》
俺とクーリで喋っているといつのまにか他の人の試験が始まっていた。
「ウオォォォ!」
「魔力量1800。」
「やったぁ!自己ベスト更新!」
「では次の模擬戦を行うまで暫しお待ちください。」
もう少ししたら俺の番だ。
魔力計測器の方はどうするかは俺の方でなんとかする方法を見つけておいた。模擬戦とやらの方がどう乗り切るかが問題だ。
「はい次、次の方、ユーリさんどうぞ。」
〈なぁクーリ、ユーリって俺らのことか?〉
《そうですよ!ユージとクーリ、合わせてユーリとネーミングしてみました。どうですか?良くないですか?》
〈確かにいいな。ユージとクーリでユーリか……〉
《さぁ、行きましょう。私たちの番ですよ。》
「はい。」
「じゃあこの測定器に魔力を流してください。」
俺は手に持つ測定器に力を入れた。
「あれ?測定器がおかしいな。バグか?まぁいいや。とりあえず魔力を持っていることはわかったから。じゃあ次の模擬戦までもう少しお待ちください。」
〈やったな!うまくいったぞ!〉
《なるほど。力を一気に流し込むことであの測定器を狂わせたのですね?》
〈そ!そーゆーこと!な?周りの奴らのことを改竄する必要なかったろ?〉
《流石ですね。私が見込んだだけはあります。》
他の人の魔力計測が終わると試験官の人がまた説明をし始めた。
「えぇ、では次の模擬戦ですが、これは先程行うのは入学後と決まりましたので報告させていただきます。本日の試験は以上となります。試験、お疲れ様でした。」
試験の終わりは意外な幕引きとなった。
〈なーんだよ。せっかく模擬戦ができると思ったのにな?〉
《そんなに楽しみだったのですか?》
〈そ、そんなことねーよ!〉
《今日の夜にはもう発表されるそうなので後で見に行きましょう。》
〈そうだな。これからどうしようか。そういや妹、紫織やヒヨリの様子はどうだ?〉
《……そうですね、ヒヨリさんの方はわかりますが、何故だか妹さんの方は……様子が変ですね。ですが、心配なことはないですよ。》
〈そうか、それは良かった。〉
俺はクーリと会話を終えたと同時に誰が知り合いとすれ違った気がした。
〈今誰かとすれ違ったような……〉
《気のせいでは?》
〈そうかもな。知り合いなんているはずねぇし。〉
俺は気のせいだと思うことにした。
《試験も終わったことですし、どこか泊まるところを探さなければなりませんね。》
〈そうだな。でも俺ここの世界のこと全く知らないからなぁ。クーリはなんかわからないの?〉
《私も全能神ではありませんので全てが分かるわけではないのですよ?》
〈確かに頼りすぎてたかもな。悪りぃ。〉
「ちょっと!いい加減にしてください!誰か、助けて!」
突然女性の怒号が耳に飛び込んできた。
どうやら今いる場所から程遠くない所のようだ。
《助けに行きますか?》
〈助けないなんて選択肢はないだろ。いいかクーリ、人は普通助けてなんて言わない。我慢に我慢してそれでも耐えられなくなってこうやって助けを求めるってことは、それは本当に助けを必要としてるってことなんだ。そんな叫びを無視するなんてことをするのはクズのすることだ。俺はそんな非常識な奴なんかになりたくねぇ。〉
《覚えておきます。》
〈よし、ならさっさと行くぞ!〉
俺はその助けを求める声の方へと走った。どうやら大通りから少し逸れた裏道で何か起こっているみたいだ。
裏道に入るとすぐに目に飛び込んできたのは数人の大人が学生、それも中学生くらいの子を囲んでいるようだった。
「おい女!怪我したくなかったらそこどきやがれ!」
見るとその中学生くらいの女の子の後ろにもう1人、男の子がいるようだった。
「こいつもついでに連れていっちまえばよくねぇか?」
「それもそうだな。予定変更、テメェも付いて来やがれ。」
「い、いや!触らないで!」
「うるせぇ!大人しくしろ!」
「このアマ……?アニキ、後ろみてくだせぇ!また女ですよ!」
「あ?なんだよ?お、ほんとだ!今日は豊作だな!なぁお嬢ちゃん。痛い目見たくなければ大人しくしろ。」
そう言うと、リーダーっぽい男は俺に向かって銃のようなものを突きつけてきた。
「……それは?」
「これは魔術が使えなくてもこれだけで魔術が使えるアイテムでな。俺たちはこいつを魔銃って呼んでる。威力が見たいか?」
そう言って俺の足元にあった空き缶に向かって撃った。するとその撃たれた空き缶は勢いよく弾けた。
「な?これでわかったろ?俺たちに逆らえばどうなるか。」
「えぇ、よく分かりました。」
「ヘッヘッヘ、じゃあこっちに来な!」
そう言って脇にいた子分らしき人が俺の腕をつかもうとしてきた。
「触るな」
「あ?今なんかーー⁉︎⁉︎」
その子分は腕をつかもうとした腕がないことに気づいた。
「う、うわぁーー!なんだよこれ!俺の、俺の腕が!」
「く、くそ!てめーら!やっちまえ!」
ボスがそう言うと、残りの子分たちが一斉にその魔銃で撃ってきた。
しかしその魔銃から放たれる魔術は俺にかすりもしない。
しばらくすると魔銃も魔力切れを起こしたのか魔術が使えなくなってしまった。
「魔力切れみたいだな。もう気は晴れたか?」
「クックックッ、お前こそその余裕どこまで続けられるかな?お前たち、時間稼ぎご苦労だったな。実はな俺は魔術が使えるのさ。こいつら雑魚とは違う、正真正銘の魔術さ。」
「それで?」
「お前は死ぬってことだよ。食らいやがれ!」
火属性の魔術だろうか?手には赤く光る石を持っている。あれが触媒ということか。
唸り声のような音を立てて俺に迫ってくる炎。
なんてことはない。
〈頼むよ、クーリ。〉
《術式解析……完了。対魔術用障壁展開開始。》
そう、クーリのおかげで俺にはかすり傷1つすらつくことはない。向こうからは俺が炎に飲み込まれたと思っているだろうがね。
「ヘヘッ!ヘッヘッヘ。俺に逆らうからこうなるんだ。燃え尽きやがれ!」
仕方ない。早く俺もどこかで休みたいんだ。手早く済ませるとしよう。意識を刈り取るぐらいでいいかな。さっきの男は腕切り落としちゃったけど、死なないように切り口は焼いておいたから大丈夫。できるだけ死者は出したくない。
俺は相手の死角になるような場所を通って相手の背後に回り込んだ。
「どうだやったか……!!いないだと!?」
俺は戸惑っているこいつに腕を振り下ろした。
「ガッ……。いったい、何が……。」
バタン
どうやら気を失ったようだ。まぁもうすぐここの警察か何か来るだろう。
俺はこの場を放置して行くことに決めた。
「ちょっと待って!お礼を言いたいの!この子と私を救ってくださってありがとうございました。お名前を教えていただけませんか?」
「名乗るほどのもんじゃないさ。俺はできることをしただけ。別にお礼をしてくれなくてもいいことさ。それとな、もう今度から裏道には入るんじゃねぇぞ。」
「あ!待って!あー、行っちゃった……。ちゃんとお礼言いたかったのに。あ、そういえば僕?もう今度からこんな裏道入っちゃダメだよ?」
「うん!ありがとうお姉ちゃん!」
「はいはい。気をつけるんだよ〜。よし、私も帰ろうかな。またいつか会えるといいな、名無しのヒーローさん。」
◇◇◇
《よかったんですか?名乗らなくて?あのまま教えてれば、私の計算だと90%の確率であの子はあなたに恋心が芽生えてましたよ?》
「どんな計算だよ。いいのいいの、別にお礼なんかして欲しくないし。誰が助けたって一緒だろ。それよりも、どこで一夜過ごそうか?」
《なら、大丈夫ですよ。ここからすぐのところにある喫茶店で一晩過ごしましょう。》
「はぁーー。疲れた!今日いろんなことありすぎだっつーの。」
《たしかに、1日でこれだけのことをこなすのですから、大変でしょうね。》
「他人事みたいに言うな?」
《実際私疲れませんもの。》
「そうゆうもんなのか。」
《あぁ、それと言い忘れてましたが、この体で人やそれ以外でもそうですが、殺すことはできませんよ?》
「え?どうゆうこと?」
《私はあくまで創造神。創る神であって、壊す神ではありませんから。》
「なるほどな。なら、今度から相手を殺さないように、とか気をつけなくていいってことだな?」
《はい。その通りです。私たちの攻撃によって死ぬことは何人たりともあり得ません。》
「そういや今日の夜合格者発表じゃね?」
《そういえばそうですね。はい、ではさっさと引き返しますよ。》
「ちぇ、せっかく休めると思ったのに。」
俺はさっき来た道を引き返す羽目になった。
前書きの茶番、すみませんでした。
もう1つの書いてる作品の方がなかなかアイデア浮かばなくて四苦八苦してますが、こちらはすぐにでも書きますのでご安心を。