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俺と妹の望んだ世界

2話目となります。

《ようこそおいでくださいました》


ん〜、ここは?

目を覚ませば見たことのない場所が広がっていた。


《この世界はあなた方の望んだ世界です。》


ここが俺や紫織が望んだ世界?そもそもこの頭に入ってくる声は誰なんだ?つか頭に思い浮かべるだけで会話可能なのか……


《自己紹介申し遅れました。私の名前は創造神です。》

「はぁ、創造神……」


《この世界の説明をさせていただきますと、この世界はあなたたちが好きなように使ってくれて構わない世界です。のんびり暮らすもよし、王様になって統治するのも良しです。》


「悠慈お兄ちゃん!これってどういうこと?私怖いよ……」

「俺もわからない。」


俺が頼んだのは妹が、紫織が安心して楽しく暮らせる世界だ。

しかしまさか、こんな世界を好きに使ってくれて構わないと言われるとは思ってもなかった。そもそも、俺の願いなんて通じるとも思ってなかったしな。



「……ちゃん…!悠慈お兄ちゃん!」


ハッと俺は紫織の声で我に帰った。

俺はどうやら創造神とやらとの会話に夢中になっていたようだ。


「今の話全部聞こえていたけど、あんまりよく分からなかったよ?」


「いいか、重要な話をするからよく聞いとけ。この世界では俺たちは自由だ。つまり、非人道的なこと以外何をやってもいい。ここまではわかった?」


「つまりお父さんとお母さんに暴力振るわれる心配がないってこと?」


俺がうんと頷くと紫織は涙を流した。自然と溢れ出てきている涙がいままでどれだけ辛かったのかを物語っている。




《ご明察の通りです。》


あぁなるほど、よくできた世界だ。

最後にもう1つ、創造神とやら、ここは暴力が行われる世界か?


《この世界では大抵の人が争ったりしません。先ほども言ったように言葉にすればなんでも出てくるからです。しかし、ゼロではありません。この世界には人間以外の他の種族が存在します。そのため種族間の争いが絶えることはありません。》


ならば俺と妹の目標は決まったようなものだ。

俺たちで争いのない国づくりをするまでだ。種族の壁を取っ払えるようなそんな国を。


「なぁ紫織。お兄ちゃんについてきてくれるか?」

「もちろんだよ。私たち家族なんだから!例えどんなことがあっても悠慈お兄ちゃんについていくって誓うよ」


創造神とやら、俺と妹をここにつれてきて感謝するよ。そしてあなたが作ったこの世界を本物の平和な世界に変えてみせるよ。


《ええ。お待ちしております。》


まずはどこか大きい国に行かなければ。


まず当面の目標は人間の国で国王になることだ。

この近くで一番大きい国ってどこだろうか。


《そうなりますとブルムンド王国ですね。》


え?まだ創造神さんいたんだ。


《はい。私はあなた達の作りたい国とやらに興味があります。》


期待に応えられるか分からないけど頑張るよ。

私も頑張ります。


紫織もようやくこの会話に入ってきたようだ。


それはそうと創造神さんの姿がいつまでも見えない。


《ご希望でしたら私も人型となってあなた達に尽力させていただきます》


そう言うと目の前が光に包まれた。俺と紫織はあまりの眩しさに目を閉じた。

光が治ったことを確認すると俺たちは目を開けた。

そこには見たこともないぐらい美人な女性が裸で立っていた。


「創造神さん!前隠して前!悠慈お兄ちゃんは見ちゃだめ!」


俺は紫織に目を覆い隠された。

目の覆いが外された時にはすでに創造神さんは服を着用していた。


『改めまして創造神です。このように声でも喋ることは可能です。また、先ほどの脳内会話もいつでもご利用できます。』


創造神さんはそう言うと軽くお辞儀をした。


「どうしていつもは姿を見せないんですか?」


妹がそう尋ねると


『とくに理由はございませんが、強いて言うのであれば、公平性が保たれなくなるから、と言ったところでしょうか。私は本来このように誰か特定の人物に肩入れはしません。しかし、今回は私も興味がありますので、尽力させていただくために姿を見せることといたしました。』


「それじゃああの……私と、友達になってください!」

『ええ。友達というものはよくわかりませんがもちろんいいですよ。』


俺は驚いた。昔から人見知りだった紫織は友達と呼べるものがいなかった。そんな紫織が自分から友達になってほしいと言ったのだ。

俺は感動せずにはいられなかった。これこそ俺が待ち望んだ風景だ。今まで虐げられてきた紫織の初めての友達……


「悠慈お兄ちゃん?どうして泣いてるの?」


どうやら俺は泣いてしまっていたようだ。


「泣いてるんじゃねーよ。これは、ただの汗だ。」

「なにそれ。それで隠しているつもり?」


紫織は俺を見て笑った。

随分前に見た紫織の笑顔。いつ頃からだっただろうか?紫織が笑わなくなってしまったのは。でも、そんな紫織が笑っている。夢みたいだったのだ。こんな当たり前の生活が送れることが。


『ここではなんですから、ブルムンド王国へ向かいましょう。』


と創造神さんが言った。

俺は涙を拭って周りを見た。

ここは山の上。下を見るとかすかにブルムンド王国が見える。


今日この場所から新たな人生が始まるのだ。

俺は意気込むと同時に紫織の手を固く握り締めたのだった。














ご覧いただきありがとうございます。

毎日投稿目指すので楽しみにお待ちください。

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いつも見てくれてありがとうございます! 今後ともよろしくお願いします!
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