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最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
二章 ブロランカの奴隷
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72 反乱3

「盾だ! 盾持ってこい!」


 エイグは砦からあるだけの盾をかき集めさせた。

 ただの木の盾に、それに革や鉄板を貼って補強したもの、あるいはスキル持ちでなければ持ち上げることも難しい指三本分の厚さもある鉄製の盾など。


 エイグは門の前でそれらを持った部下たちに、怒鳴りつけるように鼓舞する。


「いいか、おまえら! ただの蟻の餌の分際の奴隷どもが俺たち戦士に牙を剥きやがった! こんなことが許されていいのか!? いいや、許さねぇ! 大地母神と天龍皇が許しても他ならぬ俺が許さねぇ! おまえらどうだ!? 許すのか!?」


『いいや、許さねぇ』


 部下たちが唱和する。


「だったらぶっ殺せ! 奴らの元に走って血祭りにあげろ! 奴らの家畜小屋に追い返すんだ!」


『うぉおおー』


「門を開けろ!!」


 エイグのスキル『戦気鼓舞』の効果で恐れ知らずの戦士となった部下たちは我先にと飛び出していく。


 バシュ、バシュ、バシュ。


 それと同時に奴隷たちがあの魔術を放ってくる。アホ顔の頭を一発で吹き飛ばした正体不明の魔術だ。


<火矢>よりも速く、硬い頭蓋骨を吹き飛ばすことができる魔術などエイグは知らない。


 部下はヒューストームの魔術だと言った。砦の外の集団にはヒューストームの姿も確かにある。だが、エイグの勘が違うと告げていた。奴隷たちが全員持っている棒のようなもの、そのうちの一つから魔術光がほとばしったのを見た。


(あの棒は魔杖か? 全員があの魔術を撃てるのか? 撃てるとしたらどれだけ撃てる?)


 考えるべきことは多かったが、部下たちに動揺が見られた。その動揺が怯えとなる前にエイグは動くことにした。


 部下たちに盾を持たせて突っ込ませる。


 その作戦に総数五十名の突撃隊が編成される。


 その結果は惨憺たるものだった。


 突撃隊に雨霰のように魔術が放たれる。


 木の盾を持った者は、持たせた意味もなく簡単に盾を貫かれ死んだ。


 革や鉄板で補強した盾も一、二発で吹き飛ばされ、無防備となった身体を穴だらけにされた。


 三人がかりで持たせた鉄盾も、奴隷たちとの距離が半分となったところで、集中砲火で泥のように赤く融解した。


 かくして、五十名の突撃隊は全滅した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 少数とはいえ傭兵団の頭を張ったこともあるリーには敵のリーダーの考えが分かる。


 多少の犠牲を払うが、勝算はあると思ったのだろう。あんな強力な魔術を何発も撃てるわけがない。一人一、二発、多くて三発が限度だろう。こちらの()()()()の人数は三十人。多くても九十発を耐えきれば届く。届いて接近戦になれば奴隷たちに負ける理由はないと。


 リーも同じ立場なら同じように考える。


 "魔銃"の存在を知らなければ。


 スライム一匹の魔力保有量は小さい。<炎弾>一発で魔力はほぼ空になる。


 だが、スライムたちはコミニュケーションをとるための思念波で魔力交換ができる。


 スライム同士で魔力の受け渡しができるのだ。


 グレアムは受け取った電波で充電ができるようなものとよくわからない説明をしていたが、とにかくグレアムはこの作戦に五万匹のスライムを準備したという。それは<炎弾>を五万発撃てるという意味である。


 二の村の住民はディーグアントを相手に銃の訓練をしてきたためか、命中率が良くほとんど無駄弾を撃っていない。全員で千発も撃っていないだろう。


(魔力が枯渇したと勘違いして、このまま突撃を繰り返してくれれば楽なんだろうがな)


 敵のリーダーはそれほど馬鹿ではないようだ。


 城壁に傭兵を並べ、手には弓矢を持たせていた。

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