表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
二章 ブロランカの奴隷
67/440

49 地底湖6

 完全に油断していたティーセは避けることもできない。顔中を白いドロドロした粘液に塗れさせて、驚きの声をあげる。


「なに!? クサッ!」


「ディーグアントの体液だ。臭いは……、すぐに慣れる」


「うう、洗い落としたい」


 強烈な臭気に涙目になるティーセ。


「我慢してくれ。この臭いでディーグアントに仲間だと誤認させることができるんだ。……そういえば、ティーセ。おまえカダルア草入りの食事をとったか?」


「ええ、蟻の数を減らすことも目的の一つだったから」


「そうか。まあ、数日分の食事なら蟻を引き寄せるほどの効果は出ていないと思うが、念のためだ」


 グレアムはティーセに治癒魔術をかける。


「今のは?」


「"毒消し"だ。これで体内からカダルア草の成分を消した」


 日々の食事に混ぜられたカダルア草は血中に溶け込み、自身の魔力と反応して特殊な成分となる。それが汗として体外に排出され、ディーグアントを引き寄せる臭いとなるのだ。


 グレアムは血中の成分を"毒"として治癒魔術で消すことに成功していた。


 グレアムを始め、二の村の住民たちのほとんどから、カダルア草の成分を消している。


 残しているのはオーソンと、腕に自信のある数人だけだ。そうでなくては、ディーグアントは二の村に来ず、傭兵たちに不信を持たれていただろう。


「なるほど。心なしか、体液の臭いも気にならなくなったわ」


「あ」


「あ?」


「……すまん。体液の成分も消してしまったかもしれない」


「……つまり?」


「今、体に付いている体液を洗い落として、もう一度、ぶっかけさせてくれ」


 ティーセはグレアムの腹に拳を放つ。


 グレアムはそれを甘んじて受け入れたのだった。


 ◇


「さて、それじゃ、今から移動するんだが……」


「ええ、何を見せてくれるのか知らないけど、早く行きましょう」


 ティーセは元気を取り戻したように見えた。


 泣いて心情を吐露したことと、グレアムに腹パンしたことで何かが吹っ切れたのかもしれない。


「その前に、今から見せるものに驚かないでもらいたい」


「何よ。もったいぶって」


「騒いだり、斬りつけるのも無しだ」


「……それって、私が斬りつけても仕方がないものが出てくるってことよね」


「ズイカク。来てくれ」


 グレアムは暗闇に向かって呼びかける。


 カシャカシャカシャ。


 聞き慣れた足音とともに現れたのは、白い人の上半身と黒い外骨格で覆われた虫の下半身を持つ魔物ーーディーグアントだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ