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最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
四章 オルトメイアの背徳者
356/441

58 学院生活1

●アラン・ドヌブ

 ドヌブ村の馬鈴薯農家の長男。黒髪黒瞳。スキルは【雷魔術】。


●トマ・アライソン

 平民。金短髪。スキルは【あおり耐性】。


●アンネ・ヘッシャー

 赤髪。平民。


●リリィ・マーケル

 白髪。平民。シーレ家の雇われ魔術師。


●セバスティアン・シーレ

 伯爵家の御曹司。オレンジ色のおかっぱ頭。"本物"(のアホ)認定された上、グレアムの地雷を踏んでボコボコにされた。

 自室に戻ったグレアムは軽くシャワーを浴び身形を整える。


 黒のズボンに白のシャツ、銀糸が誂えらえた赤い肩掛けローブを羽織って亜麻色の髪を撫でつけた後、"透視"が付与されたコンタクトレンズを両目に入れる。


(……慣れないな)


 鏡を覗き込んで、グレアムは胸が締め付けられる思いがした。


 青い瞳は"妹"を思い起こさせる。


 クリアスカイフィッシュの鱗は透明だが、魔道具にする際の加工によるものなのか、それとも素材の特性なのか、瞳につけると青くなってしまう。変装になると思い我慢してつけているが。


 ただ、瞳の色というのは人物を特定するのにそれほど大きな要素ではない。瞳の色を正確に特定するためには、目を直接見る必要があるし、それよりも年齢、性別、身長、髪の色、髪型、肌の色、入れ墨、傷跡、人相のような身体的特徴のほうが特定には有用だ。変装のために瞳の色を変えることは本当に気休め程度の効果しかない。


 当然ながら聖国にグレアムの身体的特徴は伝わっているはずだ。グレアムはウィッグ、染髪など色々変装の方法を考え、いっそのことスキンヘッドにして顔に傷でもつけてしまおうかと考えたが、"悪目立ちする"というソーントーンの忠告から髪を伸ばす程度に留めることにした。


 そして、最後に顔の半分を覆うような大きな眼鏡をかけて"レビイ・ゲベル"の完成である。


 オルトメイア潜入がどれだけ長引くかわからない。付け焼刃の変装でボロを出すくらいならばと自然な感じで顔を隠せる程度のささやかな変装を選択した。ティーセが自分に気付かなかったことからも、この試みは今のところ成功していると考えていいだろう。


 少し自信を持ったグレアムだったが、ティーセがグレアムに気付かなかったのは別の理由からであった。


 ◇


 しばらく待ってみたが、結局、ソーントーンは戻ってこなかった。【転移】スキル持ちのソーントーンならば戻りは一瞬だ。ソーントーンの部屋の前で待っていた(【転移】直後の衝突の危険があるため、ソーントーン不在時は部屋に入らないルールになっている)が、ついぞ気配はしなかった。あのリザードマンをまだ追っているのか、それとも、自身の計画のために動き出したか。


 グレアムは部屋を出る。廊下には数人、同じ新入生らしき生徒が一方向に向かって歩いていた。グレアムも流れに沿って歩き出す。そのまま寮を出て、やがて、辿り着いたのは大きな掲示板。生徒への通達事項が掲載されている。そこにクラス分け試験の結果が貼り出されていた。


 オルトメイア魔導学院の生徒は成績の良い順にS、A、B、Cと振り分けられる。各クラスには規定人数が存在しており、Sは全学年で最大十人。それ以降は学年ごとにAは二十人、Bは四十人と定められている。グレアムは――


(……名前がない。ということはCクラスか)


 Cに規定人数はない。要するに落ちこぼれクラスだ。


(予想より悪いな)


 だが、かえって良かったかもしれない。


 "ティーセ・ジルフ・オクタヴィオ Aクラス"


 彼女とはできるだけ距離を置きたい。


 グレアムは他に見知った名前があるかと探してみる。


 "アラン・ドヌブ"

 "トマ・アライソン"

 "アンネ・ヘッシャー"

 "リリィ・マーケル"


 見当たらない。もしかすると平民は全員Cクラススタートなのかもしれない。


 "セバスティアン・シーレ Bクラス"


 オレンジ色のおかっぱ頭の名前を横目にグレアムは歩き出す。


『お屋形様』


「……」


 途中で自分にしか聞こえない囁き声が聞こえた。もちろん、辺りを見回すような真似はしない。


 グレアムは用意しておいた紙片をポケットから取り出した。昨日のオリエンテーリングの内容をメモしたものだ。それにサッと目を通して、再びポケットに戻す――フリをして、さりげなく落とす。そして、その場をあとにした。

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