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最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
一章 ムルマンスクの孤児
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15 タウンスライムの特性

 一匹のスライムが天井から落ちてきて、デアンソの頭を飲み込んだ。


 拳大の大きさのスライムが、成人男性の頭一つを丸々飲み込んだ。


 信じがたいことだが、トレバーにはそうとしか見えなかった。


 ドサッ。


 デアンソは一瞬、体を硬直させ床に倒れると、


 プッ。


 スライムが白眼を剥いたデアンソの頭部を吐き出す。


「ぐっ!」


 グレアムの苦痛の声に、眼を向けるとリーが膝から先を消失させてもなお剣を振るい、グレアムの指を切り飛ばししたところだった。


 リーが再度、剣を振ろうとし、天井から別のスライムが落ちてきて、リーの頭を消失させる。


 後はデアンソの時と同じだった。


 リーが倒れ、意識を失った頭をさらす。


 トレバーにはグレアムが何をしたのかまったくわからなかった。


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 グレアムは右手に清潔な布を巻きつけ血止めをする。


 そして、タウンスライムたちに謝罪と感謝の念を送った。


(怖い思いをさせて悪かったな。ありがとう。助かったよ)


 タウンスライムは自分の何十倍もの体積の物体を、内部の亜空間に収納する能力がある。


 タウンスライムは一日の終わりに各家庭からばら撒かれたゴミを夜のうちに素早く亜空間に収納し、安全な場所まで移動する。


 そして、自分の体の九割以上も亜空間に収納し、亜空間でゴミを消化して食事するのだ。


 グレアムは亜空間内に低濃度酸素の空気を充満させた

 タウンスライムを天井を這わせて待機させ、床には限界まで小さくさせたタウンスライムを複数置いておく。


 後はトレバーが見たとおり、リーが踏み込んできた瞬間、リーの足下にいたタウンスライムにリーの足を収納させる。


 バランスを崩したリーに、正面と上からの同時攻撃で仕留める作戦だった。


 正面からの攻撃は防がれたが、上からのタウンスライムの襲撃は成功し、大量の低濃度酸素の空気を吸ったリーは倒れた。


 グレアムはリーの腰から短剣を抜くとデアンソに向かった。


 左手で柄を握り、怪我をした右手を柄頭に添えて、振り下ろす。


「ヒッ!」


 トレバーの小さな悲鳴。


 グレアムは気にせず短剣を引き抜くと、血が吹き出した。


「ヒャアー」


 その光景を目にし、トレバーは逃げ出した。


 次は自分と思ったのかもしれない。


 それでも、デアンソが用意した金を忘れずに持っていったのは、たいしたものだとグレアムは感心した。


 グレアムは孤児院の譲渡証書と借用書を探し出すと、それを破りタウンスライムに食わせた。


 そして、ソファに腰を下ろし、ゆっくりと息を吐いた。

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