131 サンドボックス7
オーソンがアリダと再会を果たしていた頃、王宮近くのある高級宿の一室に一人の少女と一体のスライムの姿があった。
少女は"妖精王女"ティーセ。グレアムの魔術で深く眠らされた後、一度も目覚めることなく、そのままオーソンによって王都に運び込まれたのである。
そのティーセはベッドの上で寝返りをうった。グレアムの魔術は既に効果を無くし、目を覚ますのは時間の問題であるように見える。
そして、白い半透明な体のタウンスライムはグレアムが二番目に使役したムサシである。彼もまた、オーソンによってこの王都に運びこまれた。グレアムからある使命を帯びて。
(上位存在G″4〆◎KⅥにアクセス…………
接続不可…………
再試行……………
接続不可…………
再試行……………
接続不可…………
再試行……………)
愚直に何千、何万と繰り返した接続要求は、その夜、遂に実を結ぶ。
(上位存在G″4〆◎KⅥにアクセス…………
接続不可…………
再試行……………
接続不可…………
再試行……………
接続確認…………
上位存在G″4〆◎KⅥの権能【XXXX】にアクセス…………
接続確認…………
上位存在G″4〆◎KⅥの権能【XXXX】をレベル●まで使用可能…………)
自らの主に再び繋がれた喜びからか、ムサシはブルリと体を震わせた。
そして、ムサシは周囲に思念波を飛ばす。
(非支配下の同胞をサーチ…………
サーチ完了…………
上位存在G″4〆◎KⅥの権能【XXXX】に基づき、上位存在G″4〆◎KⅥの支配下に入ることを要請…………)
(…………要請受諾
…………~t5Z#&)qは以後、上位存在G″4〆◎KⅥの支配下に入る)
(…………~t5Z#&)qの受諾を確認
上位存在G″4〆◎KⅥへのアクセス権を付与…………)
(………… 上位存在G″4〆◎KⅥのアクセス権を受諾
上位存在G″4〆◎KⅥにアクセス…………
接続確認…………
権能【XXXX】のアクセス権と使用権限を要請…………
上位存在G″4〆◎KⅥの受諾を確認…………
上位存在G″4〆◎KⅥから権能【XXXX】のレベル●までの使用権限を取得…………
上位存在G″4〆◎KⅥの権能【XXXX】をレベル●まで使用可能…………
非支配下の同胞をサーチ…………
サーチ完了…………
上位存在G″4〆◎KⅥの権能【XXXX】に基づき、上位存在G″4〆◎KⅥの支配下に入ることを要請…………)
ムサシもまた、別のスライムに思念波を飛ばし、先程と同じプロセスでの【スライム使役】の支配下に置いていく。
一体から二体。
二体から四体。
四体から八体。
八体から十六体。
十六体から三十二体。
三十二体から六十四体。
六十四体から…………。
王都の人口は30万人である。
そして、人が一日に出すゴミの量は平均1000グラムと言われている。
一方で、グレアムの研究によれば、タウンスライムが一日に処理できるゴミの量は300グラム。
全てのゴミをタウンスライムが処理していると仮定すれば、王都には少なくとも100万体のタウンスライムがいる計算になる。
今、王都100万体のタウンスライムはグレアムの支配下に入ろうとしていた。