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最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
二章 ブロランカの奴隷
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126 サンドボックス2

スキル名に使う括弧を『XXX』から【XXX】に変えました。

 元王国八星騎士"剣静"リー。


 "静かなる剣"というその異名は、武闘大会で目隠しをしたまま相手の攻撃を最小限、かつ紙一重でかわし、一撃を持って相手を倒すスタイルから付けられたものだ。


 リーが【危機感知】スキルを持つからこそ、できる芸当であったが彼は生まれた当初から【危機感知】スキルを持っていたわけではない。


 リーが先天的に授かったスキルは【危険感知】。文字通り危険な場所が漠然とわかるというものであった。


 いわゆるハズレスキルである。


 魔物が頻繁に出没するこの世界においては、よほど防備の固められた場所でなくては危険と無縁ではいられない。


 本当に求められるスキルは危険な場所にあってなお、自身に迫り来る白刃を感知できる能力である。


 故にリーは自身がスキル持ちであることは十歳で鑑定紙を使うまでわからなかった。


 本名バルトリーフェンは、とある小国の片田舎で生を受ける。


 両親は農夫であったが、リーの生後すぐに魔物の襲撃に遭い命を落とす。村に防壁はあったが空を飛ぶ魔物には無力であったのだ。


 そのような環境で生まれ育ったため、【危険感知】スキルは常に発動し、リーにとってはそれが当たり前の状況であったためにリーがスキル持ちであることは自身も周囲も気づかなかったのだ。


 代償を求められるようなスキルや、リーの兄のように姿が変わるスキル、もしくは周囲に何らかの影響を与えるスキルであれば発覚はもっと早かったのであろうが。


 子供の成長を祝う祭りで鑑定紙を使われ、リーがスキル持ちと判明した際の周囲の期待と、そのスキルが【危険感知】と判明した際の周囲の失望は、幼いリーの心に強烈に刻み込まれた。


 だからだろうか。


 リーが剣を握るようになったのは。


 一応、才能はあった。


 だが、それでも兄には敵わないという劣等感がリーに傭兵団の門を叩かせた。


 そして、リーが生涯、後悔する結果となった。


 ◇


 リーの話を酒を飲みながら黙って聞いていたヒューストーム。


 やがて意を決したように口を開いた時に異変が起こる。


「島が!?」


 ブロランカ島の中心部と思われる場所から、白い光の柱が天空に向かって伸びた。


 強烈な光は真昼のように周囲を明るく照らす。


 急速に柱は拡大し、あっという間に島を飲み込んだ。さらには海上に浮かぶヒューストーム達にも光が迫ろうとしていた。


「あれだ! あれがこの島に来てから常に感じていた危機だ!」


 リーが真っ青な顔で叫ぶ。


「ジョセフの小僧め! そこまでやるか!」


 ヒューストームが珍しく声を荒げる。


 光の洪水はディーグアントのイカダごと一向を飲み込んだ。

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