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最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
二章 ブロランカの奴隷
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115 化学プラント19

「俺はここで百数える。数え終えたら追いかけるから、逃げるなり隠れるなりすればいい。但し、砦の方に行くのは無しだ」


「まぁ、当然だわな」


「じゃあ、始めようか」


 そう言うとグレアムは亜空間を開き、魔銃を取り出した。以前、全員の前でミリーに撃たせたものより銃身が短い。


「そいつは?」


暴動鎮圧用銃(ライオットガン)だ。<炎弾>の代わりに、非殺傷用の<衝撃弾(ショックバレッド)>を飛ばす。<炎弾>よりも射程距離は短いが、衝撃波が放射状に展開されるので命中率が高くなる」


「いや、銃の説明じゃなくて、なぜ今取り出した?」


「お前たちを捕まえるために決まってるじゃないか」と笑顔のグレアム。


(あれ? 実はこいつ、ぶち切れている?)


 グレアムの心理状態を把握したジャックスは一瞬、謝ろうかと迷うが、逃げ切れた場合の報酬の魅力と――


「では、始める」


 ドゴォン!!!


 号砲として地面に撃ち込まれた<衝撃弾>の威力に、恐れ慄き、一目散にその場から離れるのだった。


 ―――― 三十分後 ――――


「はぁっ、はぁっ。とりあえず、ここまで逃げれば大丈夫だろう」


「ああ、そうだな」


 鬼役のグレアムに対し、逃げる側の子は九名。その全員が固まって森の中にいた。


「なんだよ、あれ? 思わず逃げちまったが、まさか、あれを俺たちに向けて撃ってこないよな?」


「ま、まさかな。地面がめり込んでたぞ」


「非殺傷とか言ってたけど、あんなの食らったら、ただじゃすまねぇぞ」


「お、脅しだよ! 脅し! これから村作りで人手が必要になるんだ。わざわざ人数減らすような真似、するわけ――」


 ドォン!


 轟音と共に、子の一人が吹っ飛び大木に叩きつけられる。ジャックスは祭りの日に見た操り人形が壁に叩きつけられた光景を幻視した。


 ズル。ドサッ。


「お、おい。ファルコ?」


 ファルコと呼ばれた子は白目を向いて地面に倒れた。手足がおかしな方向に曲がっている。


「「「………………」」」


「まず、一人」


「「「う、うわああああああ」」」


 グレアムが姿を見せた途端、悲鳴を上げて、逃げ出す子たち。


「ば、ばか! 散れ! 散れ! 固まってたらやられるぞ!」


「やべーぞ! あいつ! なまじ、高度治癒魔術が使えるから手加減する気がねぇ!!」


 ジャックスは後ろを振り返って見た。グレアムがファルコを踏みつけ治癒魔術を施している姿を。


「あ、足を止めるな! 所詮はガキだ! 大人の体力に――」


 ドォン!


 また、一人が吹き飛ばされる。ジャックスは目を疑った。先程までファルコの治療をしていたグレアムが一瞬で距離を詰め、<衝撃弾>を放ったのだ。


「し、身体強化魔術!?」


筋力増加(ストレンクス)>、<器用増加(シャープネス)>、<敏捷増加(クイックネス)>、<視力増加(ビジョン)>。


 グレアムはこれらを自身に重ね掛けしていた。無論、スライム達の大規模演算能力を借りてのことである。そのおかげで、今のグレアムはオリンピックに出れば金メダルを総なめにできるくらいに強化されていた。


「だ、駄目だ! 体力でも敵わねぇ! 逃げろ! とにかく逃げて、どこかに隠れるしかねぇ!」


 だが、それも不可能なことであった。彼等は知らない。既にグレアムは森のあちこちにスライムを配置していることを。森はグレアムの庭のようなものであった。


 ドォン!


 三時間後、九発目の"銃声"が森に響き、鬼ごっこは終了した。

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