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最弱スライム使いの最強魔導  作者: あいうえワをん
二章 ブロランカの奴隷
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86 反乱15

 エイグを殺せば、傭兵たちは二の砦を放棄して一の砦に逃げ込むかもしれない。


 そうすると、人質にされている獣人救出のため、一の砦に潜入しているジャックスたちの別働隊が危険に晒される可能性がある。


 エイグ殺害の機会があってもエイグを殺すな。


 作戦開始前のブリーフィングで、グレアムがミリーたちの陽動部隊にそう指示するのを聞きながら、ジャックスは残念に思った。


 作戦行動中に、魔銃を撃つ機会はなさそうだからだ。


 魔銃に出会ってからジャックスはこの武器の虜になった。洗練されたフォルム。シンプルな操作。必殺の威力。どれもジャックスの心を掴んで離さない。


 ジャックスは誰よりも魔銃を撃ち込み、今ではミリーと並ぶ銃の名手である。


 そんな彼が魔銃を撃つ機会の多い陽動部隊より、救出部隊にまわされたのだ。不満を覚えるのは当然だった。


 とはいえ、ジャックスはこの救出作戦に手を抜くつもりはさらさらない。


 この作戦の成否が島脱出後の待遇に大きく関わってくると思っているし、実際にグレアムはそう公言しているからだ。


 正直に言うとジャックスは獣人たちの命など別にどうでもいいと思っている。


 ジャックスの率いる不具者組、否、元不具者組のほとんどはそう思っていることだろう。


 オーソンを除く元不具者組九名と老年組で比較的頑健なドッガーの計十名が獣人救出部隊である。


 救出時に白兵戦になることが想定されている。年少組と老年組にそれは難しいだろうというということで元不具者組が救出の任に当たることとなり、オーソンが不在の今、必然的にジャックスが救出部隊の長を務めることになったのだ。


「ジャックス。外の監視班から連絡が来た。『親鳥は巣を空けた』」


 それは陽動作戦が成功したことを告げる暗号だった。二の砦を襲撃されたエイグは、一の砦に駐留していた部隊を呼び寄せたのだ。


 これで、一の砦に残っている傭兵は少数だ。ジャックスは救出作戦第二段階の移行をハンドサインで指示する。


 ドッガーはそれを受けて、箱についているスイッチを捻った。


 ジャックスたちが居る場所はディーグアントが掘ったトンネルである。真上には一の砦がある。


 スイッチ付きの箱からは銅線が伸びており、銅線の表面はディーグアントの体皮で覆われている。そして、銅線の先には数匹のタウンスライムが繋がっている。


 箱のスイッチを捻ることで銅線に電気が流れタウンスライムに伝わる。それを合図としてタウンスライムは亜空間を発生させた。


 これも魔銃の引き金と同じように思念波の使えない者がスライムとコミニュケーションを取るための手段である。


 タウンスライムが発生させた亜空間は天井を支えていた急造の柱を飲み込み、それと同時に天井が崩落を始める。大量の土砂はタウンスライムの亜空間に残らず飲み込まれていく。


 やがて崩落は止み、視界を覆っていた土埃も収まっていく。


 ジャックスは慎重にタウンスライムたちの居る場所に近づいていく。見上げれば、一の砦の地下牢が天井から覗いていた。

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