二日目午前 買い物前のお茶
いつかノエルちゃん視点で同じ場面を描きたいなぁ。閑話ででも。
主人公の以前の描写書けずに進んでいるからヒロインちゃんが不思議ちゃんになっちゃってる…
教団を出た俺たちはお茶しながらこの後の買い物の作戦を練ることにした。
ダイス教団は街の商業地区の真ん中という、かなり便利な立地だった。これから買い物する場所もその辺りに点在するので、一度家に戻ってから出直すのは面倒だ。
通り沿いにまだ真新しい煉瓦造のカフェがオープンしていたのでそこに入ることにした。昔から店決めるのは直感で即決なのだ。
自分でも意外だが。
店名が 「まきまきーの」。
大丈夫だろうか?この店の命名センスも俺の直感も。
コーヒーとカフェオレを注文し、代金を支払おうとしたら、ノエルちゃんもお財布を取り出したところだった。
え?それを見て俺は唖然としてしまった。
財布を出したからじゃない。今までもこういう場合、職に就いてた俺が出すことが多かったし、ノエルちゃんも分かった上で、黙って奢られる訳じゃなく支払う意思はあることを毎回主張してくれる優しい娘だと知ってるから。
偽善や茶番だと笑いたければ笑えばいい。
こういう日々の細かい配慮は、無くなった途端恋が亡くなるキッカケとなるのだから。
そうではなくて、驚いた原因についてだったね。それは取り出された財布が可愛いクマちゃんが描かれた、とっても可愛いタイプのものだったからだ。
普段のノエルちゃんは大人びた雰囲気のグッズで揃えることが多かった。そこにあの口調と身だしなみが重なって、話しかけ辛い雰囲気になってる、と友達から聞いたことがある。
勿論俺にはまるで理解できないレッテルだが。
その可愛いクマちゃんが可愛いノエルちゃんに似合いすぎていて、そうこれは言い訳だが、今にして思えば意識が逸れて油断したんだと思う。
「いいよ、ここは俺…あっ…わ、私が出すから(汗)」
危ない危ない。
俺呼びなんて柄にも無いセリフ吐くとこだったー!(手遅れ)
「えっ??えーっ!!」
ん?そんなに驚くこと?
ノエルちゃん真っ赤になって一瞬化石化。復旧して瞳に力が戻ったなと思ったら、
「私はイヤーっ!」
俺混乱。
いや、だから俺が出すって言ってるのに…
なんか今日はノエルちゃんの奢りとか約束してたっけ??いや無いな。
声小さいからちゃんと聞こえなかったのかな?と思って、
「だから、私が出すって言ってるでしょー!」(普段より大きめの声)
「私 はもうイヤなのー!」(普段より強烈な声)
俺、混乱に次ぐ混乱。
声のボリューム上げたら、もう嫌 宣言された…
イヤイヤイヤイヤ。自慢じゃないが大抵は払ってるよね?俺。そんなに支払い嫌?
もう金輪際支払いなんてしないんだからね?って言うツンデレ宣言?
なんだ最後に知らない単語が勝手に浮かんだがスルーしよう。
しかし、普段のノエルちゃんからは想像できない危機迫る声、口調。
そんな重要な局面か?ここ。さっぱりわからず気ばかり焦る。
そこに茎さまが大笑いの波動を伴いながら念を飛ばして来た。(茎さま器用だな)
『@静かに目を見て「俺が払うよ」って囁いてみ? 黙るぞw』
幾ら茎さまとはいえ、そんな簡単には解決しないよね?とはいえ、他に打破するアイデアがあるわけでもないし、しゃーない。
「お、俺が払うよ?」
やべ、やっぱり噛んだ。恥ずかしい。
「う、うん…」
やべ、ノエルちゃん可愛い。
なんで黙ったのか?は謎だ。
『お前らー、店員さん困ってるぞー』
二人とも我に返って、慌てて俺が金を払い、ノエルちゃんが飲み物載せたトレーを奪うように受け取り、奥の席に逃げ込んだのだった。少しでも店員さんから離れたくて。
――――
最奥の窓に面した四人席に向かい合わせに座り、飲みながらの買い物作戦打ち合わせ開始となった。
『ここにいるのは二人だけだ。周囲から見ると。だから、他人には聞こえない俺の声を考慮して、話をしないと不審者に思われるから注意しろよ?』
まぁ、そうだよね。茎さまはトップシークレットだし、美少女且つ女神の使徒ノエルちゃんを危険な眼に晒すことはできない!(それ言うなら目に合わす、だな)
でも少し…
「面倒だなぁ…」
『おーいマスター、いきなりやらかしてるぞ?』
「ん?」
『会計で一悶着あった若い男女が、テーブルに着くなり女の子に向かって面倒発言だぞ?マダムは皆聞き耳立てまくりじゃないか?』
シマッター!
面倒なワケあるかー幸せすぎるわー
ってこの場で叫んだところで謎男と化すだけだから仕方なく黙っていよう。うん。しょーがない。
ノエルちゃんと見つめ合う事にした。
コレナラ不自然ジャナイシネー(カチカチで不自然)
あらすじ お店で痴話りました。