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1日目-2:ノエルちゃんのターン(前半ノエル視点)

絶賛書き直し後の第四話です。

旧5話の前にノエルちゃん視点を追記しています。



「あれ全部偶然じゃないの?コマンドワードなんて知らないし…」




 あら、わたくしうたた寝してしまったみたいね。


 魔の森から逃げかえるように走ってきたえっくんは顔色が真っ青。


「よかった……きみに伝えたいことが……」


 そこまで言うと、気を失って倒れてしまった。


 慌てて彼を抱き留めたわたくしは、周囲の方々に助けを求めて大声で叫んだのです。


 が、周囲に人の姿は皆無…


 そうでしたわ…わたくしたちの逢瀬に使えるくらい、この場所は人気ひとけが無いんでしたわ…



 えっくんを草むらに横たえて、彼の左手を両手でそっと握り、回復を待ってはみたものの…一向に回復する兆しは見えません。


 しばらくは、彼の胸に耳を当てて鼓動を確かめたり、頭や頬を撫でたり、普段できない事を楽しんだわたくしも、流石に不安になってきましたの。



 顔色は相変わらず悪く、ひょっとしたらなにか処置が必要なのかもしれない、そう考えると居ても立っても居られず、えっくんを両腕で抱えて、街へと引き返す事にしましたの。俗に言う『お姫様抱っこ』と言うやつですわね。


 わたくしがやって頂きたいのに…



 街の門をくぐり、知り合いに冷やかされるのも気にせず、わたくしはえっくんを彼の部屋に連れ帰る事に成功しましたわ。


 彼をベッドに横たえて、ブーツだけ脱がせて様子を伺うと、顔色も良くなり、ただ眠っているだけのようですわ。



 安心したら、わたくしもすっかり疲労困憊な事に気がつき…ベッドの横の丸椅子にへたり込んでしまいました。


 か弱い女性のわたくしにしては、良く頑張ったと思うの。ちょっと他の人よりも自分は力が強いような気はしていたものの…えっくんを運べるほどとは思ってなかったわ…


 乙女の尊厳にかけて、この事実は隠蔽しないと。見られたのは誰だったかしら…門の守衛さんと…



 そんな事を考えていたらいつのまにか眠ってしまい、今目が覚めたら、えっくんはベッドの上で起き上がり、なにか呟いているわ。

 偶然ってなんの話かしら。と言うか、誰と話しているの?


 独り言や妄想はいつもの事だけれど、今のは誰かと話してる感じだったわね。



 それから、えっくんが右手に握り締めているツルツルの棒。運んでる時も離さなかったけど、なにか大事なものかしら?


 えっくんに話しかけるタイミングを逃し、事態を見守っていると…



 その棒はキラキラ輝き、勝手に浮かび上がって穂先?でえっくんの胸を軽く叩いた。


 なんと、叩いた所から五センチほど先の何もない宙空からまだ新しい羊皮紙が一枚ぬるりと現れた。


 え?え?

 自分から紙を吐き出す魔法??


 えっくんは目が覚めたわたくしに気づかないので声をかけようとしたら、頭におじさまの声が響いた。


『嬢ちゃん、あとで声かけるから、今は黙って見ててくれないか?』



 侵入者?

 とっさに身じろぎひとつせずに目の動きだけで辺りを見回す。

 二人しかいないわね…


 あなた誰よ?

 その羊皮紙何よ?



 声を頭に直接飛ばすってことは、魔法絡みよね?

 声だそうとした絶妙なタイミングで話しかけるということは、

 わたくしが考えていることが分かるのね?


『するどいな嬢ちゃん。そういうことだ。今契約者のキャラクターシートの確認中で手を離せないから、マスターとの話がひと段落するまで静かに待っててくれると助かる』


 そう。今は大事な所なのね。

 黙っているわ。

 ていうか、マスターとの話って、あなた、わたくしにしか話しかけてないわよね?


 えっくんは無言で表情をコロコロ変えているので、きっと同じように頭に直接話しかけてるのね?


 なんて言ったかしら、

 そうそう、確か『念話』だったはずだわ。



 魔術師だけが操れる呪文にあるけど、念話してるのはこの棒のような魔道具よね…

 ということは、念話を付与できるような最上位クラスの魔導師による伝説級の魔道具ってこと?


 信じられない!

 うちの商会が『商えないモノ無し』なんて言われてるけど、そんなもの聞いたことないわ。



「えー私には素養がない凡人ですから無理ですわよおほほほ」

「えーでもお高いんでしょ?それ?」



 ……えっくんは何を話してるのかしら?

 商売の交渉?

 なぜおかま言葉??



 おもむろに魔道具の棒が自分を一振り、

 あら不思議、象牙のような材質の小さなさいころが3つ羊皮紙の上に出現したのだった。



 サイコロまで出てきたわ…

 なんか色々売りつけようとしてるのね!

 たしかにえっくんは世間に疎いところがあるから、騙されてるに違いないわ!


『待て待て嬢ちゃん、これはマスターの能力値を改変する儀式だから。怪しいインチキ商法じゃない!』



 そんな事を言われても信じられませんわ。

 だって、


「よっしゃー頑張るで~!お兄さん前しっぽ生やす感じで頑張るで~」


 こんな怪しげな発言をするえっくんは見たことありませんもの!



 コロコロと転がるダイスの目は…

「1」「2」「4」


 全くもって乱数という感じの出目ですわね…


「まさか、これって...」


 え?違うの?何か意味が?

 いいえ、違うわね。何度も何度も振り直し始めたし…



「やった~やったよ~お~おおお初めての~ゾロ目(自主規制」


 あ、六のゾロ目ですわ。

 これを狙っていたのかしら?

 こんなの10回も振れば出るものじゃなくて?


「よっしゃー、茎さま(ホントの意味で)ゲットだぜぇ!」


 えっくんが大喜びしてるわね。

 意味はわからないけど。


『嬢ちゃん、待たせたな?』


「じゃあ今度はわたくしの番ですわね(はぁと)」



 えっくんが、驚愕の顔をしてますわ?

 ふふふ。

 わたくしに内緒で楽しそうな事をするからいけないのよ?




 ――――――――(エクトル視点)




 思い返してみると、

 最初の頃は、茎さまの意志が勝手に頭に注ぎ込まれ、俺の意志は茎さまに勝手に読心されてた。


 まあ、ここはいい。私の様子がキョドってるだけだ。

 …いや、充分凹むな…



 いや、そんなことよりその後!

 茎さまと掛け合い漫才やってなかったか?

 はたから見たら、俺が一人でボケ倒してるだけ…


 いやだー!おうち帰るー!

 すでにおうちにいる俺は、母なる子宮にでも帰ればいいのだろうか。


「またえっくん遠い世界に行っちゃってますわね?」


 あ、いかんいかん。

 なんの話だっけ?ノエルちゃんの番?


「その棒さんみたいな素敵魔道具でキャラクターシートとかいうの出せるんではなくて?」


「キャラクターシートなんて一言も喋ってないのになぜそれを?」


「あーマスターそれな、この嬢ちゃん、『あなた誰?』とか『その羊皮紙何よ?』とか念飛ばしてきてうるさいから裏チャットしてたんだわ」


「嬢ちゃんじゃなくてわたくしノエルですわ?」



 茎さまちゃんと音出して喋る事も出来たんだ(感心)

 棒さんとかひどい呼び名だけど。


『@エクトル マスターにこっそり話しかけたり』

『(多分ノエルちゃんに話しかけてる) 』

『全員に話しかけたりも出来るぜ』



 何そのコミュ力!

 途中の無言タイムは考えるのやめよう。


 オールって二人限定なのか?定義はなんだろう?同室内の人全員?



「出来なくもないが、普通はパーティ内全員だな」


「パーティ?冒険者じゃあ無いし組んだ事ないぞ?」


「ありゃパーティ組んでねーのか。じゃあつがいか?」


「あーあー聴こえませーん(悶絶)」



 幼馴染だし、いつも一緒にいるような気がするし、

 だけど、ビミョーな関係でテンプレでいつか必ずなんだから…

 突っ込まないでオクレ…(ヘタレ)



「わ、わたくしとえっくんはわたくしとえっくんなんだから…プスプス」


 擬音が声に出ちゃってますが。

 ノエルちゃんのライフはゼロよ!

 ライフってなんだ?HPゼロだともう死んでるしな…



「おーいマスター先進めるぞー」


 空気を読んだ茎さまによる話題転換。ナイス。


「わたくし話が見えないのだけれど?」


 戻された〜泣


「ち、違うわよ!貴方達の会話は知らない単語が多くて話題にイマイチついていけないってことですわ!」


 読心術?

 あ、よかった。

 話題転換には乗ってくれたのね(ヘタレ)



『ここからは他人に聞かれると少々問題だからな。パーティチャットに切り替えるぜ?個々に話がしたいときだけ@つけるからそのつもりでいてくれ』


 色々と面倒だからという大人の事情が本能で察せられた。とやかく言うまい。



『どこの世界にも世界のせかいのことわりって言うルールが存在する。その中から知性を持つ生物が理解できる部分を抜き出したのが『世界の法典』(ルールブック)だ。他の世界では物理法則とかアカシックレコードとかハンムラビ法典とかあるらしい。』


 最後のは違和感があるがスルーしよう。



『魔の森でマスター変更された際にその内容がマスターの魂に刻まれた』


 あーあの強烈に頭に流れ込んできたのがこれか!

 あんまり怒涛すぎて知恵熱出るかと思ったわ。

 あ、倒れたんだっけ…


『@ここでマスターに援護だw』


 え?何それ怖い。今まで何かマズイことしたっけ?

 マズイ心当たりはまぁその色々…



『さて、嬢ちゃん、ここから大事な選択だ』


「ノエルですわ」


『お、おう。で、だ。』


『この世界の法典は決して口外してはいけない秘中の秘だ。俺とマスターは切っても切れない関係だから問答無用に鼻から流し込んだ。』



 せめて一言言ってくれれば心の準備くらいできたのに。いきなり傷物にされちゃった。それも鼻から泣



『嬢ちゃんはマスターと魂の波動が近いようだし、同じやり方である程度共有できると俺は睨んでいる。ただし、これをやるからにゃー…「やって?今すぐやっちゃいなさい」


『一生秘密を共有することになるって言ってるんだぜ?意味わかるかい?』


「えっくんと一緒の人生過ごすんでしょ?いいわよ」



 号泣!!!

 今、心の優勝パレード開催中!

 今の俺は無敵だ。



 ん?ノエルちゃん…知識の欲望に負けたわけじゃ…ない…よね?



『よっしゃ嬢ちゃん!それじゃ行くぜ!』


 茎さまがピカーと輝き光線がノエルちゃんの眉間に吸い込まれていく。


「きゃーナニコレー!あーそんなとこにーアーバビベレノゾベレ…」


 なんか後半から見てはいけない美少女を見てしまった…


あらすじ どうしてこうなった。

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