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1日目-1:部屋と茎さまと私

絶賛書き直し後の第三話です。

旧二話目と三話目をまとめ直して一部設定を変えました。


 ふと目覚めると、そこはいつもの天井だし、いつもの殺風景な自分の部屋だった。「見知らぬ天井」という単語が頭を過るが何のことかはよくわからない。


 年季が入ってすっかり飴色に色付いた楓のベッドから身を起こし、あたりを見回す。



 10人中12人が振り返る(エクトル独自調査)という噂の美少女で幼馴染のノエルちゃんが、ベッド横の丸椅子に腰掛け、うつらうつらしている。居眠りしてても可愛いな。まぁ本人にはこんなこと言えないのだが。



 確か…



 ベッドから身を起こした私は、

 まず自分自身を確認することにした。


 右手に…うん持ってる♪茎さま(泣

 夢じゃなかったみたい……



『よおマスター、お目覚めかい?』


 あ、渋い方の声だ。

 うん、でも何も安心できない。

 何も状況は変わらず何も分からないのだし。



『俺はインテリジェンスロッドのコマンドウズってもんだ。挨拶も無事に済んだことだしこれからよろしくな』



 お、おう。名前ダサいな。

 茎さまなんて勝手に呼んでたけど…まぁいいや。茎さまで。


 そんなことより、

 マスターとか、よろしくとか、

 どうもずっと一緒に居るつもりなんだろうか?


 怖すぎて、もう夜しか眠れない。

 あ、外は暗いし、もう夜か。寝よう。



『おーい、ここで寝るなよー少しはこの俺様に敬意を示そうぜー』


 敬意も何も茎さま改めインテリジェンスロッドさまって言われてもなぁ。



 あれ?

 唐突に頭の中に書物の一項目のようなものが頭に浮かんでくる。


『ロッドは典礼儀礼用の武器のことで、物理的強さはないが魔法との相性はいい。魔法のロッドは特殊な効果を持つ。その中でも知性を宿し超強力なモノがインテリジェンスロッドたるもの』

 らしい。


 俺の頭にこんな機能は無かったハズだが…さっきのアレで魔改造されたか?


 その国宝級レア物の茎さまがなぜこんなところに??



『条件満たしたろ?』


「え?」


『俺を見出し、俺の声を聞き、コマンドワードを解いた』


「あれ全部偶然じゃないの?コマンドワードなんて知らないし…」


『合言葉は合言葉としての形式がある。それを満たさないなら裏がある、と考える事をあの魔導師は望んだんだろうよ?俺は知らん』



 そんな無責任な…

 魔導師ってのはこの茎さまを作った人だろうか?

 えらくテキトーな選び方だな。

 そうか!あの時おっぱいの大きなナントカさんと答えていれば今の悪夢は無かったのか!


 なんなら今から台詞変えるから、お帰りになってくれないだろうか?



『マスター遠い目してるとこワリーんだが、一つさっさと片付けないとイケネー問題があるんだよ』


 ん?すでに色々問題が山積だと思うんだけど?



『まずは一つだ、俺を使え…なさそうだから勝手に失礼するぜ?』


 茎さまはキラキラ輝き、勝手に浮かび上がって穂先?で私の心臓あたりを軽く叩いた。


 なんと、叩いた所から五センチほど先の何もない宙空からまだ新しい羊皮紙が一枚ぬるりと現れた。



 え?

 何もない所から紙が出て来るのも驚きだが、

 その紙には枠やら文字やら数字やらが色々書かれてる!


 どっから出てきた?

 ヌメヌメかもしれないと思うと触るのは嫌だな。


(キャラクターネーム)エクトル

(キャラクタークラス)魔術師

(レベル) 1

(ヒットポイント)6 ( 4+2)

(ステータス)

 - STR 13 +1 → 筋力

 - INT 15 +1 → 知力

 - WIS 16 +2 → 知恵

 - DEX 15 +1 → 器用さ

 - CON 16 +2 → 丈夫さ

 - CHA 14 +1 → カリスマ


 他にも色々書いてあるが、

 意味がわかったのは今のところこれだけ。

 なんかどの数値もプラスがついててかなり優秀なんでは??


 てか、人間がこんな数値でランク付けされるなんて知らなかったが、なぜか今この数値がたしかに存在するんだってことが肌でわかる。



『あちゃーやっぱり知力足りないか〜』


 あん?私以外のヒューマンの方々はこれより数値高いとでも仰りたいんですかねぇ?

 泣いちゃうよ?



『違うんだマスター、俺様が特別過ぎて俺様を使役するには知力が18以上必要なんだよ』


 ガーン

 ハイハイ。茎さまは特別ですよね。俺様ですもんね…

 使えるの『神がかった天才』だけってどうなの?


 あんな怖い思いして、おまけにこれから一生茎さまに使役される茎人間…

 どよーん。



『奥様奥様、そんなあなたに取って置きの知力アップ体操がありますのよ?』


「えー私には素養がない凡人ですから無理ですわよおほほほ」


『いえいえ、毎日5分、この知力アップ体操スクロールの術式を唱えればあら不思議!』


「えーでもお高いんでしょ?それ?」


『普段は高いんですけど、奥様のために今回だけは頑張ったの。私の声が途切れてから30ミリ秒以内にテレパシーで購入の術式展開をすれば今なら2GPポッキリですわ♪』


 ……あかんテンションが変な方向にレビテーションしている……



『マスターすまん。つい悪乗りしてしまった。ちゃんとこうなることを見越して対策は打ってある』


 嫌な対策だな。次に就任予定のマスターは知力が足りないの確定~みたいな。



『論より証拠だな。まずはその羊皮紙の上にダイスを三個浮かべるようイメージしてくれ』


 ダイス?さいころだよね?

 博打でもするの?

 もうすでに人生最大の博打に大負けした私に対して...


『マスター、大分荒んできたな。しゃーないダイス出すまでは俺がやるわ』



 そう言うと、茎さまが自分を一振り、

 あら不思議、象牙のような材質の小さなさいころが3つ羊皮紙の上に出現したのだった。



『そのダイス、実際に手出さずに、なんか透明な心の手を伸ばして振るイメージできん?』


 !!透明なる心の手!!

 そんなものを生やして伸ばせるならあんなとこもこんなとこも...そのスキルは欲しい!



「よっしゃー頑張るで~!お兄さん前しっぽ生やす感じで頑張るで~」

『お、おうその意気や...』



 人間というもの、明日への希望を抱くことが出来る限り、心が折れたりはしない。

 不屈の闘志で心の手を伸ばし、ダイスを掴み投げつけた。ファーストトライで成功!



 コロコロと転がるダイスの目は…

「1」「2」「4」


『ダメやん。期待値10すら出てないわ。やり直しー』

「まさか、これって...」

『そうそう、全部6の目の18出すまで頑張りやw』



 こんなルール知らんはずなのに理解出来てしまった。

 人間の能力値は全て、六面さいころ3個を同時に振った目の合計数を各能力値欄に記入して完成するのだった。


 当然人生一回ポッキリ。最低な3とか出たら泣くに泣けない。それも、六分の一の三乗だから、 216人に一人!結構居るな…


 このルールを曲げるために、一度確定しているハズの能力値を茎さまは変えることができる、

 と仰ってくださっているのだ。


 ありがたや~ありがたや。

 18出すには六分の一の三乗だから、216回振れば当たるハズ!よっしゃー


「やった~やったよ~お~おおお初めての~ゾロ目(自主規制」

『確かに揃ったな。5分以上かかったがまあいいか』



 調子に乗った私を茎さまが絶妙にえぐってくるな...


 とはいえ、この記念すべき6ゾロ目に茎さまが柔らかな光を当てると、

 キャラクターシートのINTの数値が「INT 18(+3)」になった。


 そして心なしか、パワーが漲る...茎さまへの忖度力が上がった気がする。

 あれ?これ通常進化?想定内?



「よっしゃー、茎さま(ホントの意味で)ゲットだぜぇ!」


「じゃあ今度はわたくしの番ですわね(はぁと)」


 慌てて声の方向に振り返ると。


 そこには艶のあるこげ茶のストレートヘアを持ちブラウンの瞳を潤ませる、

 幼馴染の美少女ノエルちゃんが立っていたのであった。


 あ、途中から私無意識に声出してたわ。

 そりゃあ起きるよね...


あらすじ 満を持してヒロインちゃん登場!

次は再びノエルちゃん視点です。

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