婚約破棄の瞬間に前世の記憶を取り戻したけど何の問題もなかった
「カトリーナ・ドミニオン。貴様の卑劣な行動には呆れ果てた。今をもって貴様との婚約は破棄させてもらう!!そして私はアナシアとの婚約を行うことをここに宣言する!!」
あっれーこれなんか見たことある……ってかあれだ【君の瞳にフォーリンラブ!!】のエンディングじゃない?
なんで今記憶が戻るんだ!!どうせ戻るならもっと早く戻ってほしかったよ!!そうすれば悪役みたいな行動してこんな状態にな…っ……て………?あれ?やってないな?
「卑劣な行動とはどのようなものでしょう?私には全く心当たりがないのですが」
いや、ほんとに心当たり無いんだよね。記憶が戻る前も嗜好と性格は前世から引き継がれてたみたいで王子に全然興味なかったんだよ。婚約者としてちゃんとしなきゃなという意識はあったけど、卑劣な行動とかやる理由がない。
「アナシアをいじめていたことだ!!聞けば教科書を破いたり、ドレスを汚したり、挙句に昨日はアナシアのことを階段から落としたと言うではないか!!」
やってないんだよなぁ……これあれだよね冤罪ってやつだよね。後ろで控えてるアナシアさんもたぶん泣き真似だよね。
「ふぅ……それで?証拠はございますの?」
「アナシアが言っていることが何よりの証拠だ!!こんなに怯えて……貴様には謝罪するという優しさすら無いのか!」
それ証拠にならないんだよねぇ……せめて物的証拠を持ってこいって……それで謝罪と言われましてもちゃんちゃらおかしいと言わざるをえないよ。
「失礼ですが私昨日は色々と予定がありましてアナシアさんにそのような危害を加える暇などありませんでしたの。まあ危害を加える気もありませんが」
昨日はほんとに忙しかったんだよね。授業が終わった瞬間に廊下を速足で歩いて早急に移動しなきゃ間に合わなかったくらいだし。
「放課後に何の用事があったというのだ!!誤魔化しはいい加減にしろ!!」
「私、昨日は放課後になった直後から王妃様に呼び出されていましたの。王妃教育として王宮で勉強していましたのよ?」
そろそろ教育も最終段階だとかでまたすごい厳しかったんだ。帰ったのも夜ぎりぎりで今もすごく眠いんだよね……。いやもう王妃様もちょっとくらい手加減してくれてもいいじゃないか……。
「そんなもの嘘に決まっている!!」
「あら?王妃様にも確認しましょうか?」
嘘じゃないから王妃様も王宮に居たって証言してくれるはず。そこで嘘つく必要もないだろうし。
「う……いや……そうだな。そこまで言うなら信じてやる。だが他の事はどう言い訳するつもりだ!!まさかすべての時間王宮に行っていたというわけではあるまい?」
お、信じてくれたみたい。さすがに王妃様の手を煩わせるわけにもいかないよね。こんなしょうもない事で。で、まあ確かにずっと王宮に行ってたって事はない。さすがにそれは私の精神が死ぬ。まあだけど……
「はぁ……確かにそれは言いませんけれど。そもそもなぜ私がその子を害する必要がありますの?」
そう、そこが問題だ。王子に興味無いんだからその子にも興味無いに決まってるじゃないか。王妃の地位もぶっちゃけ興味無いし実家も権力欲なんか無いからね。王妃に相応しい子が居れば押し付ける気満々なんだよ。
「それは………………無いな。」
だよねー。自分への興味の無さを知ってたらその子へ何かする必要も無いんだって気づくよね。王子も馬鹿じゃないし。
「えっ!?えっと私がナイア王子に好かれているのを知って嫉妬してというのは!?」
「だって私、王子のこと苦手ですもの。」
「そうだな。政略結婚だから結婚はするが俺のことを好いてはいなかった。ではなぜだ?」
そうそう。つねづね次期王妃が必要ですので結婚は致しますしそれに伴う様々な作業も行いますが貴方に興味はありませんのでと言ってたからなぁ……。よくよく考えなくても酷い発言だけど。でも王子もそれなら結構、こちらも貴女には興味が無いのでな。って言ってたからお相子だよね。お互いよくこれでやっていけてたよな……。
「えっと……婚約者の地位を奪われるからとか……」
「確かそれも興味なかったな?」
「ええ。そうですわね。」
王妃になる事も面倒だし嫌だったんだよ。正直、別の候補が居たら辞退してた。それが居なかったからずっと婚約者のままだったけどさ。
「えっと……じゃあ……」
「これは出直してきた方がよさそうだ。アナシア、帰るぞ。婚約破棄については一旦保留とする。」
王子も頭が冷えたみたいだね。一旦帰って検討し直すんだろう。どうせ自作自演がバレてまた私が婚約者に戻るだけだろうけどね。
「え!?えっ!?!?断罪イベントは!?婚約破棄は!?」
あっやっぱりあの子も転生者かー。こっちが何もして無いのに勝手に断罪イベが起きるはずないもんね。そっかー君が黒幕かー。
「いべんとの意味はわからないが婚約破棄についてはもう一度考える必要がありそうだ。」
「私は大歓迎ですが。」
「はっ???」
うむ。大歓迎なのは大歓迎なんだがこの様子だと無理だろうなぁ。あの子に王妃は任せられん。
「そうだよな。じゃあなぜアナシアはいじめられていたと……?」
「そこも調べればいいではありませんか」
「えっ!?」
「ふむ……そうだな。感謝する。」
よし。これでアナシアさんは没落コースだな。人を嵌めようとしたんだから因果応報ってやつだ。
「では私はこれで。」
「ああ。」
「えっと……あっ……えーっと……おじゃましましたー……」
ふぅ。王子も何でいきなりこんな事したのやら。また聞いてみるべきかなー。まあひとまず一件落着っと。めでたしめでたし。
こういう展開の悪役令嬢ものがあってもいいんじゃないかなって。
タイトルは主人公の感想なので王子やヒロインにはこの後いろいろ待ち受けてると思います。




