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悪霊のいる場所

 中に入ると打ち捨てられた遊園地は霊達の遊び場となっていた。

 さっきまでの静かな景色とは打って変わって活気がある。

 何か霊的な力が働いているのか、建設中の遊具が何故か絶賛稼働している。

 その光景はどこか非現実的で、それがまともな力による物ではないことを示していた。

 霊達はあちこちに漂い、ある者は遊び、ある者は歩き、ある者は寝て、遊園地を好き放題に利用していた。

 霊達はほとんどが最初の現場でも見た可愛い動物タイプで一匹一匹はたいしたことが無さそうだったが、何しろ数が多かった。


「こんなに霊がいるなんて。結界があるとはいえ、父さんなら気づいたはず。わたしに力がないから……」


 前に違和感は感じていたのだ。

 エイミーが戦った洋館の霊の数はあまりに少なかった。

 あれほどの建物に住み着くには霊にもそれなりのパワーが必要なのだ。

 下級の霊でも数が増えればそのパワーを補うことが出来る。

 あの霊は少しは強かったが、それでもあれだけでアナに危険を感じさせるような被害は出せなかったと思う。

 今思えば、きっとあの霊はただの留守番で、他の多くの霊はこの遊園地に出かけていたのだろう。


「有栖ちゃん、気づかれたみたいよ」

「そうですね」


 侵入者の巫女達に気づいたか、飛び回り遊んでもいた悪霊達が向かってきていた。

 考える時間はここまでだった。

 戦う気力が十分の舞火と天子が前に出て箒を構えた。


「手厚い歓迎ね」

「じゃあ、答えてやらないとね」


 悪霊を恐れもせず二人は迎え打った。

 先頭のグループをそれぞれにたった一撃で粉砕する。

 霊はそれで警戒したか、広く展開して周囲を取り囲んできた。


「今度も何匹倒せるか競争する?」

「冗談。これを全部数えろって言うの?」


 天子の言った通り、霊の数は多かった。小さい奴まで数えていたらきりが無かった。


「それもそうね。それじゃあ、すっきりぶっ飛ばして良い気分になって帰りましょうか!」

「悪霊退散よ!」


 舞火と天子は次々と周囲の敵を打ち倒していく。下級の霊など彼女達の敵ではなかった。だが、数が多い。打ち漏らした敵を、


「悪霊退散!」


 有栖の投げたお札が昇天させた。


「有栖ちゃんも戦えるんだ」

「当然です。油断しないでください!」


 霊はまだ向かってくる。舞火は軽く箒を振ってそれを昇天させる。


「目的変更ね」

「有栖の手をわずらわせず、こいつらを殲滅する!」


 膨れ上がった舞火と天子のやる気に下級の霊達が対抗する術はなかった。

 この付近の霊は瞬く間に掃除されていった。




 多かった霊もあらかた片付いた。

 遠くにはまだまだ飛んでいる霊達の姿があるが、今すぐ向かってこないのならば、ひとまずはゆっくり出来る時間があった。

 有栖は悪霊レーダーを取り出して、強い敵のいる場所を探った。

 下級の霊の相手をしてもきりが無い。目標はボスだ。

 それを見つける。


「あっちです」

「分かりやすいわね」


 三人の視線がその方向を見る。

 その先にはこの遊園地のシンボル、ハムスタワーが立っている。

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