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温泉



竹中さんは、お風呂に入ることを提案した。

お姉さんたちは血や土埃で汚れていたし、竹中さん自身も汗と土埃とお姉さんの血なんかでべとべとだったからだ。

わかっている。

確かに、汗や汚れにまみれてる状態の方が興奮するかもしれないという理屈ももっともだろう。

しかしながら、今はそんな場合ではないのだ。なにより疲れていてゆっくりベッドで眠りたいし、ベッドで寝るのならば、やっぱり石鹸の匂いがした方が気持ちいいし、あと、下心はないがほんのちょっとはお姉さんの本来あるべき美しいおっぱいを良く良く見ておかなければならないような気もするのだ。


そんなわけで、城の地下からの階段を上りきったところで、背中にいるお姉さんが目を覚まして、とりあえず3人で城の廊下を歩き出して、まず、竹中さんはお風呂を提案したわけである。


『えっと・・、あなたは誰なの?』


綺麗な髪と肌が、無残にも焼け焦げてしまった最初のお姉さんがたずねた。


「これはすみません。私は竹中といいます。そして・・、お二人とお付き合いしたいと想っています・・・よろしくお願いしますっ」


竹中さんは頭を下げる。

えっちなお姉さん2人に挟まれて眠りたい。それはもう、避けては通れないことなのです。


『『・・・・・』』


『そうね・・・、いいわ。あなたは妹を背負って一緒に逃げてくれたもの。私たち付き合ってしばらく行動を共にしても構わないわ』


ここで、くどく突っ込んで説明しても空気が悪くなるというものなので、竹中さんは伝わらなかったことをスルーする。


『おじさん、連れてきてくれてありがと。あとお風呂だけど・・・』


さっきまでおんぶという肉体関係をはぐくんできたお姉さんが、お風呂のことを説明してくれた。

この城には、裏手の山から魔力を満たす湯が引かれており、もとより消毒や回復のために湯浴みに向かうつもりであるのだという話だ。ありがとうございます。




漂う湯気で奥まで見通せないけれど、それはとてもとても大きな池のような温泉だった。

岩石で囲まれたその池には、天井から幾本ものつるが垂れ下がっており、その先端からはトポトポと液体が流れ落ちていた。

湯面は、立つ波紋にあわせて水銀のようにキラキラと光を反射しながら揺らめいている。

それはとてもとても美しく、とても神秘的な温泉だった。


お姉さんの体に巻き付いている金属のつるの様なものはいったいどの様に脱ぐのだろうかと見ていると、まるで蛇のようにしゅるしゅるとお姉さんの体を滑りながら離脱していった。

お姉さんたちは、つま先からゆっくりと湯へつかり、シュウーッと傷口を焼くような音に痛みをこらえる表情を浮かべながら、体を静かに湯へと沈めていった。


続いて竹中さんもすぐに服を脱ぐと、かがんで、一生懸命何度もかけ湯をしてから湯の中へ入る。

おじさんが湯船を汚しちゃったら、嫌われちゃうかもしれない。


とろりとした柔らかいローションのような湯だった。

お姉さんたちは、しばらくぶくぶくと周りの湯から気泡と蒸気を立ち昇らせていたが、15分もそうしていると、次第に蒸気は落ち着きを見せて、お姉さんたちの表情も穏やかになっていった。


『ふうっ、だいぶ楽になったわ』


ザバッっと湯から立ち上がったお姉さんは、近場の岩へと寄って腰かけた。

褐色の肌に、とろりとした湯がしたたって、お姉さんのおっぱいはむちむちとはち切れんばかりに実っていた。


『あたし、もうのぼせちゃったよー』


よたよたとお姉さんに近づいていくもう一人のお姉さん。

岩に両肘をついておっぱいを乗せ、ぷっかりと湯から浮かび上がらせるお尻は、それはもう艶々つやつやと、竹中さんを呼んでいた。


ここだっ!


カッと目を見開くと竹中さんは、ザバザバっとお姉さんたちに近付いていき、バッと頭を下げる。


「そのおっぱいとお尻を揉ませてくださいっ」


『『・・・・・』』


『竹中さんはとっても優しいのね・・。疲れの溜まっている私たちにマッサージまでしてくださるなんて。何だか申し訳ないわ・・』


うまく伝わらなかったことを竹中さんはするっとスルーする。


『やたー、マッサージっ』


お尻なお姉さんのセリフをガッチリとキャッチした竹中さんは、とろとろの艶々つやつやになった、むちむちのお姉さんたちの体を、全身くまなくもみもみしていった。


神秘的な温泉の湯気の中、美しい嬌声きょうせいが、延々と響き渡っていた。




ふわっふわの黒いバスタオルで体を拭いて、ふわっふわの銀色のバスローブを羽織った3人は、ふわっふわの清潔なベッドで、ぐっすりと眠りこんで疲れを癒した。

なぜ敵の追撃を心配しないのかと言えば、この城の中へと至るために通らなければならない何枚もの扉は、住人による生体認証セキュリティで閉じられており、城の住人でなければ決して開かないからである。

もっとも竹中さんは、勇者の追撃については初めから全然心配していなかった。


答えなど、聞かずとも決まっているのだ。

勇者もきっと・・・、あの後もみもみに忙しかったはずだもの。


女性の話声が竹中さんの鼓膜を震わせ、竹中さんは眠りから覚醒する。

テレビがつけっぱなしだったのだろうか?時間を確認して出勤しなければならない。


体を起こして、豪華な部屋の造りに一時いっとき理解が及ばなくなる。

けれども、すぐに素敵なおっぱいが脳内いっぱいに思い出されて、竹中さんは夢の続きを納得する。

ありがとうございます。


開け放たれた大きな窓の向こう側はテラスになっていて、そこで2人の美しいお姉さんたちが真剣に話し込んでいた。

竹中さんは、温泉で二人をマッサージしてる合間にお姉さんたちの名前を教えてもらっている。


後ろ髪が短くて、長めの襟足程度になってしまってるお姉さんはメラさん。

温泉から上がる前に、焦げ付いてしまった長い髪をばっさりと切ってしまったのだ。

温泉の湯は、お姉さんたちの体を癒したが、髪までは綺麗に戻してはくれなかった。

メラさんは、竹中さんのことを『竹中さん』と呼び、とても上品な気質を持ち合わせたお姉さんである。

そして、褐色でむちむちな張りのある体はとても妖艶で、まさに上位魔人族とでも呼ぶべきお姉さんである。


長い髪がくるんと撥ねていて、人懐っこい雰囲気のお姉さんはイオさん。

イオさんは竹中さんのことを『おじさん』と呼び、少し子供っぽい素直さと愛くるしさを備えたお姉さんである。

そして、褐色でピチピチな張りのある体はとても妖艶で、まさにキュートな小悪魔さんと呼ぶべきお姉さんである。


竹中さんは、枕もとにあった水差しとグラスで寝起きの口臭を相殺すると、テラスへとお姉さんたちに挨拶にいった。

40歳の口臭は、きっとすぐに嫌われてしまいそうだもの。


「おはようございます。何かありましたか?」


城の向こうをじっと見つめているお姉さんたちに、竹中さんは後ろから声をかける。

振り返った2人のお姉さんを見て、竹中さんはあまりの美しさに心が震えてしまった。

40歳にして女神さまと会えました。ありがとうございます。


『おはよーおじさん、よく眠れた?おじさんのマッサージのおかげで、あたしはめっちゃ調子いいよー』


『おはようございます竹中さん。本当に昨晩は良かったですわ。また、お願いしてもいいかしら?』


「もちろんでございますっ。ありがとうございますっ」


竹中さんは勢いよく90度に頭を下げた。


そのあと上体を戻した竹中さんは、じっと、向こうに見える大きな生物を見つめた。

黒い鱗が鈍い輝きを放つ、とても巨大なドラゴンが、闘技場の手前辺りに居座っていた。

2人のお姉さんもドラゴンに視線を戻し、じっと見つめる。


『ご覧の通り・・、スーパーハイパーウルトラドラゴンが来てしまいましたわ・・・』


メラさんが、ドラゴンの種類的な感じのことを教えてくれた。







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